「協力隊で任地に派遣される前に、国内で疑似体験がしたかった」これが私の参加動機でした。「派遣前に全く未知のコミュニティに飛び込んで活動する」経験ができるこの機会に参加しない理由がありませんでした。
そして実際にそれは、「参加して良かった」としか思えない、貴重で有益すぎる体験になりました。
私は岩手県遠野市のいわゆる”ド田舎”、宮守町の農事組合法人で活動をしました。農作業や農産物加工場での製造作業など、全てが新鮮で楽しかったです。何より、宮守の皆さんが本当に優しく、明るく、面白い人ばかりで、すぐに大好きになりました。
環境教育隊員としての視点を持ちながら過ごしている中で、ジャムやジュースなどの製造をしている農産物加工場から出る廃棄ビンを活用して、何か地域に貢献できないだろうかと思いました。そこで、同宮守内にある、障がい者の方々の就労施設「わの里」にて、“廃棄ビンを再利用したエコキャンドル”をわの里の利用者の方々と製作し、販売することで利用者の工賃(利益)に繋げるという施策を提案し協業実施しました。
キャンドル製作に必要なろうそくは、葬儀場から大量に廃棄されるろうそくを無償提供いただき、飾り付けに必要なドライフラワーは周辺の大自然から草花を採取するという形で材料調達しました。このように、身の回りにある廃棄物や自然のものを最大限活用することで、環境への配慮はもちろん、最低限の原価で製造販売ができるためコスト面にも貢献することができました。
この取り組みは、協力隊での環境教育活動に直結する、非常に有意義な経験となりました。もちろん私ひとりでは到底成し遂げることはできませんでした。たくさんの人に相談して、協力をして頂いて、自分と地域の方々の思いが重なったからこそ実現できたことだと思います。
自分のやりたいことの見つけ方、周りを巻き込んだ提案の進め方、地域ならではのコミュニティの在り方、お互い心地よい関係性の築き方。「グローカルプログラムに参加していなかったら、私の協力隊活動はどうなってしまっていたのだろう」と思うくらい、任地での活動に活かせるたくさんの経験と学びを得ることができました。
この活動以外にも、遠野祭りの舞台にて伝統芸能である神楽を舞ったり、地域のお祭りにてウクレレやギターで弾き語りをしたり、お世話になった地元の方々向けに感謝を伝えたいと思い企画した最終報告会では、約40名もの方々が集まってくださるなど、やりたいことに何でも挑戦させてくれる素敵な場所でした。
協力隊の活動後、必ずまた宮守へ、皆さんに会いに行きたい。と、本心でそう思います。
「また会いたい」と思える大切な方々とこの宮守でたくさん出会えたこと。
これが、私が一番、グローカルプログラムに参加して良かったと思えることです。
間違いなく、私の人生史に、大きく刻まれた75日間でした。