そこでしか得られない経験

2023年度3次隊 ケニア派遣予定 加藤 圭介さん
実習場所:岩手県遠野市

私の実習地は、岩手県遠野市。遠野は「日本の永遠のふるさと」として、日本人の心の拠り所を目指しています。私は、遠野の予備知識はほとんどないまま、まさに飛び込んで行きました。市役所への表敬訪問後、市の職員から遠野市のブリーフィングを受けてはじめて、知ることが多かったです。唯一知っていたのは、民話のふるさととして柳田國男の「遠野物語」の舞台になっていること。遠野に来た理由は、海外で活動する前に、日本文化のルーツに触れてみたかったからです。

遠野の夏の風物詩 遠野の夏の風物詩

私の受入先は、「BrewGood」というホップとビールで社会的に良い「Good」を企てる「Brew」会社です。ここだけ、切り取っても何をしているのか、よく分からないと思います。自分自身も、この会社が遠野で何をしようとしているのか、理解・共感するまで時間がかかりました。「野菜栽培」の隊員ながら、ビールの原材料ホップの栽培現場を見るのははじめて。BrewGoodの社員やホップ農家をはじめ、様々な方との交流を通して、遠野という地域社会や日本のホップ農業における遠野産ホップの存在感や価値を感じました。

さらに、2023年は遠野産ホップ・ビールにとって節目の年。8月には、コロナ禍の中断期間を経て、4年ぶり6回目の「ホップ収穫祭」があり、運営実行委員会の一員として携わりました。また、関連イベント、視察、取材や撮影のため、多くのメディアや企業が遠野に来ており、遠野産ホップへの注目度の高まりを感じました。実際に、遠野市職員から伺った印象的な言葉があります。「ホップは遠野になくてはならないものになりつつある」です。農業支援において、行政の優先順位が低かったホップは、今は河童と並ぶ二大観光資源になっています。そういった社会的なニーズをプロデュースしながら、農業の課題解決に挑戦している会社がBrewGoodです。

宮守にあるわさびの圃場を視察中 宮守にあるわさびの圃場を視察中

また、BrewGoodは、ホップで培った知見を他の農業課題の解決に活かそうと遠野市宮守のわさびに注目しています。私はホップ収穫祭以降、わさびを中心に活動しました。遠野市が募集している地域おこし協力隊のひとつに、わさび農家の後継者育成プロジェクトがあります。それを具体化するため、宮守でわさび農家にインタビューしました。ホップと同様、わさびの栽培現場を見るのははじめてでした。個人的に、新規就農者を呼び込むアピールポイントは多くあると感じました。私は、そのワクワクするような可能性を多くの人に知ってもらいため、記事を作成しました。

最後に

私はグローカルプログラムに参加して心の底から良かったと感じています。自分の期待以上のものが得られると思います。見知らぬ場所に飛び込む経験やその感覚を覚える意味でも、協力隊として海外で活動する前に、学びの多い時間になると思います。そして、帰国後の社会還元をイメージできる良い機会になりました。