グローカルプログラムで社会人経験を積む

2023年度3次隊 ブラジル派遣予定 垣内 颯真さん
実習場所:岩手県陸前高田市 特定非営利活動法人SET
復旧した井戸 復旧した井戸

社会人経験を積みたい。ただその思いでこのプログラムに参加しました。
私の実習先はNPO法人SET。少子高齢化、人口減少など課題先進地域とされる広田町に事務所はあります。
主な活動は生態系を崩さず自然環境循環の中で作物を育てるパーマカルチャーや、森林で間伐した木々を地域内資源として活用するため焚火などに使用するスウェーデントーチの製作などですが、メインはSET事務所前の井戸の復旧。被災地に貢献したいという想いで陸前高田市を選ばせていただいた経緯もあり、なにか防災や復興事業に携われることはないかと模索している中で井戸復旧をすることに。地元が京都の自分にとって東北は避暑地となるだろうという思いも虚しく岩手史上最悪の暑さの中、長年放置されていた井戸周りに生い茂る雑草を1本1本この手で抜く作業から開始。
基本予算を掛けない条件にスタートしたこのプロジェクト。震災時でも使用できるようポンプではなく滑車で汲み上げる釣瓶井戸製作を計画したものの資材が見つからず難航していた中で手を差し伸べてくれたのが地域の方でした。相手にされないだろうとダメ元で資材提供をお願いすると、何から何まで用意してくれました。おかげで釣瓶井戸も完成することができました。

地元の少年野球チームの子供たち 地元の少年野球チームの子供たち

これらの活動を通し、地域の方との関係性を構築する前に自分で自分を「よそ者」なんだと認識して消極的になることが多くの可能性を潰していると気付かされました。なぜ自分がこの活動をしているのかを明確にして語り掛ければ話だけでも聞いてくれる方はたくさんいる。そこから会話を通すことでアイデアを提案していただいたり、夜ごはんに呼んでもらったりと、仕事・プライベートの両方で地域の方が心の拠り所になることを、身を持って体感しました。

そして、このプラグラムに参加したもう一つの理由は被災地の復興した姿をこの目で見るということ。休日に陸前高田、石巻や気仙沼など震災で甚大な被害を受けた地域を訪れ復興記念館を見学しました。テレビ越しでしか被災地の苦労やこれまでの歩みを見ることが出来なかったが、この機会で復興した姿や被災者の声を聞くことができたことによって震災に対する考え方の変化や風化させないために出来ることを深く考えるようになりました。
様々な経験をさせていただいたグローカル期間中、夕方からは地元の少年野球の練習に参加。千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希選手が野球を始めたところでもある高田野球スポーツ少年団さんでお世話になりました。協力隊での派遣職種に直結する活動ができたのも参加してよかった理由です。

最後に

私のように新卒で協力隊に採用された方は、このプログラムに参加するべきだと思います。
社会の中で、右も左もわからないまま海外に飛び込むのはハードルが高いと思う。単純に自分の得意不得意や苦手な部分が見えてくるだけでなく、仕事の世界がどういうとこなのか良い意味でも悪い意味でも期待を裏切られる。派遣後に現実を目の当たりにすると精神的に苦労するかも。さらに、任国での活動に通ずるポイントがこのグローカルでは多い。その土地に飛び込んで初めて地域の全容が見える状況下で、自分の対応力が試され、人脈も何もない田舎で、予算も限られた状況の中で、誰を頼り、どのように活動をしていくのか考え日々を送る経験は派遣後にも活きてくる。
なにか目を引くような活動や結果を残す必要は無く、活動を通して自分の成長に時間を充てることができる貴重な機会がグローカルプログラムであると感じます。