地域との関わり方を学ぶ3ヵ月

2023年度1次隊 ベトナム派遣予定 永井 淳子さん
実習場所:岩手県釜石市
避難階段を照らす竹灯籠作り 避難階段を照らす竹灯籠作り

私は岩手県釜石市でグローカルプログラムに参加しました。参加を希望したのは、これまでボランティアなど仕事外での社会活動経験がほぼなかったため協力隊派遣前に補完したかったことと、東京以外の日本の地方での暮らしがどのようなものなのか知りたかったことが理由です。
私の派遣職種は観光です。プログラムに参加するまで釜石とは縁もゆかりもありませんでしたが、実習受入れ先例の一覧に観光地域づくり法人(DMO)の社名の記載があったことが目を引き、実習地は釜石を希望しました。実習受入れ先についての希望を出すことはできませんが、もしDMOに配属されれば、職種に絡む経験も積めるのでラッキーだなという期待がありました。

実習は期待通り、DMOで受け入れてくださいました。釜石市にはランドマーク的な観光素材がほぼありませんが、東日本大震災のできごとを踏まえた防災学習プログラムや、持続可能な観光地を目指す地域として国内でも先進的な取り組みを対外発信していることで、企業研修や自治体視察など多くの人が釜石を訪れています。私の実習は、情報の文書化や対外発信のお手伝いを中心に行いました。特に、持続可能な観光地としての取組については、自己完結するだけでなく、取り組み事例を対外発信することで、活動のタテヨコの広がりが期待できるということを学びました。自分の派遣職種に絡む経験を積むことはGPの趣旨ではないのですが、本当に幸運なことだったと思います。

国際交流課との技能実習生支援に向けた会議 国際交流課との
技能実習生支援に向けた会議

実習期間の後半には、根浜海岸沿いの松林清掃活動に参加する機会が得られ、地元の方や市外からのボランティアの方とも知り合うことができました。ボランティアの方は、東日本大震災以降、毎年釜石市を訪れているので、復興の状況が年々進展している様子が良く分かるというようなお話をしてくれました。ひとつの地域と関わりをもつというのは、こういうことを言うのかもしれない、と、とても印象に残っています。
地域の人とのコミュニケーションにおいては、積極性は必要不可欠です。言葉が通じない派遣国ではなおさら難しいと思います。私はグローカルプログラムに参加したことで、地域の方との関係を構築するうえでの”成功体験”を積むことができました。釜石のみなさんが、「海外協力隊派遣前の実地研修の一環として地域に来ている」ということを理解してくださっていて、本当に温かく迎え入れてくれたからです。私はあまり積極的な性格ではありませんが、この成功体験があるからこそ、派遣先でもどんどん積極的に人と関わっていかなくてはならないと思えるようになりました。

釜石市の実習生は私ひとりでしたが、同県にはほかにも実習生がいて、活動の振り返りミーティングを毎日オンラインで実施し、互いの活動状況を知ることができました。派遣訓練前に、同期の仲間と知り合う機会が得られるところも、グローカルプログラムの良さだと思っています。