私がグローカルプログラムに参加した理由は、地域における「健康」の課題を発見したいと考えていたからです。私は理学療法士として病院に勤務していましたが、地域医療の経験がなく、また協力隊の任務が終了した後、社会還元の一環としてとして日本の医療に貢献したいと思っていました。そんな中、グローカルプログラムを知り、特に長野県駒ヶ根市の「健康増進」のテーマに引かれ、自分の専門知識と技術を活かせると感じ、応募を決断しました。
私の活動の拠点は、「ゴッチャ!ウェルネス駒ヶ根」です。ここは地域の「健康増進」を担う拠点で、多世代交流型の居場所づくりとまちなか活性化を目指す運動施設になります。運動だけでなく、地域の交流の場にもなっています。最初は、理学療法士としての専門知識と技術を活かし、地域の方々にとって最適な「健康」を提供することに重点を当てていました。そこで健康をテーマに地域の方々を集める仕組みを考えていました。しかし、ここで活動するうちに、地域の方々の「健康」に対する多様な考え方を学び、自分が一方的に健康を提供することは何か違うのではないかと痛感しました。
悩みながら活動をする中で、地域の方々の居場所づくりをテーマに活動を行う方からお話を聞く機会がありました。その中で、私の考え方を変えるきっかけとなった言葉があります。「医療職種としてある以前に私たちも同じ地域の住民なんだよ。同じ視点に立って、自分たちも楽しいと思えるようなことをしなければ、他の人たちは参加しないと思うよ。その人が生き生きとしてやっていることすべてが健康につながるんじゃないかな。」この言葉を聞いて、自分の行動や活動が一方的であり、医療職の視点だけで考えていたことに気づかされました。
今回の活動を通じて得た最大の学びは、自分の視点を変えることができたことです。何かを達成したいという熱意は大切ですが、その熱意が異なる考えを持つ人を無視したりする結果となりかねません。重要なのは、自分の立場や視点を批判的に見つめ直し、他人の視点からも考えることです。
また活動当初、中心市街地商店街の方からまちづくりについてお話をいただく機会がありありました。「まちづくりは長い時間をかけて少しずつ変化していく。だから小さなことを積み重ねていくのが大切。」今回の活動で何か大きな成果を出すことは出来ませんでしたが、ようやくこの言葉の意味が少しわかった気がしました。答えのない問題に対して自分なりの解決策を見つけ、小さな成功を積み重ねる。悩んで考えながら変化していくプロセスに目を向ける。とても貴重な経験を得ることができました。また、これらの経験は私自身の今後の協力隊活動に対する視点を変えることにつながりました。最も変わったのは私自身でした。
皆様も是非、グローカルプログラムへの参加に参加してみてはいかがでしょうか。