「ガーナでパソコンの先生をやるのに、どうして農業をやっているの?」という質問を実習中は何度もされました。経済活動の根幹である一次産業への尊敬の気持ちと、メディアで取り上げられている若手農家の活躍から農業への関心が元々高く、さらに任国のガーナは主産業が農業なので、現地の活動でも農業の知見は役に立つのではないかという思いから参加を希望しました。
受け入れ機関は群馬県甘楽町にある自然塾寺子屋さんです。数日間の座学研修ののち、実習生の様子を見て、「農村大学校」という農家さんのグループの中から、相性の良い農家さんにマッチングしていただき、農業の実習が始まります。
私はナスと長ネギを中心に少量多品目で野菜を栽培されている若手農家さんが実習先でした。協力隊OBということもあり、農業のことはもちろん、協力隊のことまで丁寧に教えていただきました。もちろん農家さんも忙しいので常にお話をしてくれるわけではありませんが、休憩時間や移動時間はたくさん質問ができるので、意欲さえあれば相当勉強になると思います。私自身、つけていた日誌は、最終的には約6万文字にもなりました。農業について学びたいのであれば後悔することはないと思います。
実習が始まって3週間後から、自分で課題をもって取り組む期間が始まるので、農業以外のことも学ぶことはできます。実際実習生4人は農業を中心に据えてはいましたが、農村大学校に所属する他の農家さんや、地域の染織作家さん、商工会議所、一般社団法人など、さまざまなつながりをもつことができました。オリジナルの名刺を100枚は持っていくといいと思います。使い切るくらい積極的に動けると、新しいコミュニティに入ることに抵抗感がなくなります。
私が設定した課題は、「農家さんの経営規模の拡大を支援する」ことです。深刻な人手不足で意欲的な農家さんが困っている現状を目の当たりにしたことが契機となりました。最終的にITを活用した広報活動や、外国人労働者の受け入れ支援を行いました。
その他、自然塾寺子屋さんも毎週独自の研修を設定してくれるなど、手厚いサポートもあります。
研修生の構成にもよりますが、私たちは4名で共同生活を送っていました。最初に話し合った結果、4人輪番で夕食を作ることになり、毎晩食卓を囲んでその日の出来事や将来展望について話せたのはかけがえのない時間でした。「異文化交流」としても学ぶことは多いと思います。
2か月半の実習を終え、甘楽町、富岡市の方々の温かさに触れ、どういう形であれ、またここに戻ってきたいという気持ちは実習生4人とも共通していました。是非、自然と歴史が調和する美しい町で、充実した日々を過ごしてください。