Books for JOCV 21

「協力隊活動の進め方」について学べる本、協力隊員の「道しるべ」となる本、「国際協力」についての理解を深めることができる本など、協力隊OB・OGたちが「協力隊員向けだ」と勧める本をまとめました。

「協力隊活動の進め方」について学べる本

『参加型開発と国際協力 〜変わるのはわたしたち〜』
ロバート・チェンバース/明石書店/2000年

地域に関する調査を住民自身で行い、外部者はファシリテーターにとどまるPRA(Participatry Rural Appraisal=参加型農村調査法)など、住民が主体となって行う地域開発の方法について、英国を代表する開発学研究者が解説する書。

『フィールドワーク 増訂版 〜書を持って街へ出よう〜』
佐藤郁哉/新曜社/2006年

実際に地域に出かけ、現地の人々を教師としながら、地域の文化や暮らしを知る調査方法の「フィールドワーク」。その目的や方法などを社会学者である著者がまとめた書の増訂版。1992年に発行された旧版に、研究の裾野の広がりなどを踏まえた大幅な変更が加えられている。

『調査されるという迷惑 〜フィールドに出る前に読んでおく本〜』
宮本常一、安渓遊地(あんけい・ゆうじ)/みずのわ出版/2008年

何度もやってきて、聞かれたくないことを根掘り葉掘り聞く——。地域に赴いて行う調査方法の「フィールドワーク」をする際、現地の人にどのような迷惑をかけてしまいがちなのか、民俗学者の宮本常一と人類学者の安渓遊地が「調査される側」の声を拾いながら解説する。

『途上国の人々との話し方 〜国際協力メタファシリテーションの手法〜』
和田信明、中田豊一/みずのわ出版/2010年

「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」など、客観的な事実を丹念に尋ねる対話をとおして相手の気付きを促す「メタファシリテーション」と名付けられた方法について、NGOなどの立場で国際協力のプロジェクトに携わってきた著者たちが解説する。

『ワークショップデザイン論 〜創ることで学ぶ〜』
山内祐平、森 玲奈、安斎勇樹/慶應義塾大学出版会/2013年

協力隊員が現地の人に知識や技術を伝えるためにしばしば実践するのが「ワークショップ」。その「企画」「運営」「評価」をどのようにデザインすれば、より効果的なものになるかについて解説する書。ワークショップの実践者を育成する方法にも触れられている。

『りんごかもしれない』
ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社/2013年

リンゴに見えるけれども、「大きなサクランボ」かもしれない……。本書は、「リンゴらしきもの」をめぐって「真実」を推理する子どもを描いた絵本。協力隊員は、現地の人を理解するうえで不可欠な「先入観を捨てること」の大切さをあらためて認識することができるだろう。

『人を動かす 文庫版』
デール・カーネギー/創元社/2016年

「人を動かす」「人に好かれる」「人を説得する」「人を変える」……。人と共に働くなかで実現したいけれども、容易ではないこれらについて、米国の成人教育の先覚者である著者が、豊富な実例と共にその方法を説く書。

協力隊員の「道しるべ」となる本

『置かれた場所で咲きなさい』
渡辺和子/幻冬舎/2013年

キリスト教の修道女であり、ノートルダム清心学園の理事長を務めた著者が、どのような環境に置かれても自分らしく生きることの大切さを説くエッセイ。「咲けない日は、根を下へ下へと降ろしましょう」など、活動に活路が見出せずにいる協力隊員の励みになるようなメッセージが満載だ。

『アルケミスト 〜夢を旅した少年〜』
パウロ・コエーリョ/KADOKAWA/2013年

ブラジルの作家の小説。ピラミッドに宝物が隠されているという夢のお告げを信じ、エジプトへと旅をする羊飼いの少年の物語をとおして、「何かを強く望めば、宇宙のすべてが助けてくれる」など、困難に立ち向かいながら目標へと進む協力隊員の励みとなるようなメッセージを伝えている。

『走って、悩んで、見つけたこと。』
大迫 傑/文藝春秋/2019年

東京オリンピックの男子マラソン日本代表入りが確定している陸上長距離種目選手の著者が、「走ること」を続けるなかで壁にぶつかっては見つけ出してきたその乗り越え方を振り返る。協力隊員にとって、「走ること」を「活動すること」に重ねながら自分を見つめ直すことができる書だ。

「国際協力」についての理解を深めることができる本

『最底辺のポートフォリオ 〜1日2ドルで暮らすということ〜』
ジョナサン・モーダック、ほか/みすず書房/2011年

バングラデシュ、インド、南アフリカ共和国の3カ国で行った、貧困世帯を対象に「どのようなお金の出入りがあったか」について継続的に聞き取りを行う「ファイナンシャル・ダイアリー」と名付けた調査をもとに、貧困層への効果的な支援の道筋を探る書。

『貧乏人の経済学 〜もういちど貧困問題を根っこから考える〜』
アビジット・V・バナジー、エステル・デュフロ/みすず書房/2012年

ランダムに選んだ途上国の人々に、異なる金額の補助金を提供し、蚊帳を購入してもらう。すると、与えられた補助金の額(ひいては自己負担の額)の違いによって蚊帳の活用度合いに違いが出るのか? そうした実証手法により、あらためて「貧しい人々の経済生活」を明らかにした書。

『善意で貧困はなくせるのか? 〜貧乏人の行動経済学〜』
ディーン・カーラン、ジェイコブ・アペル/みすず書房/2013年

貧困層に対する小口融資である「マイクロクレジット」は、「グループ」への融資であれば、「相互監視」の効果で返済率が高くなる——。従来のそうした説を、「個人への融資への切り替え」という社会実験によって反証するなど、開発経済学の新しい知見を一般向けにやさしく説く書。

『共に生きるということ  〜be humane〜』
緒方貞子/PHP研究所/2013年

国連難民高等弁務官、JICA理事長などを歴任した著者が、人道支援・復興支援の現場で難局に取り組んだ日々や、そこで貫いてきた信念、国際社会での日本の役割などを語る。副題の「be humane(人間性を徹底せよ)」には、「善を持っているのが人間性だ」という著者の信念が表されている。

『私たちが国際協力する理由 〜人道と国益の向こう側〜』
紀谷昌彦、山形辰史/日本評論社/2019年

[特集1]『協力隊向けおすすめ本』で紹介している『貧しい人を助ける理由』の姉妹編にあたる書。外交官と研究者という異なる立場で国際協力にかかわってきた2人の著者が、「日本人が国際協力をするのは、日本の利益のためか、世界の利益のためか」という論点について、それぞれの持論を展開する。

世界の「おさらい」ができる本

『知らないと恥をかく世界の大問題 10 〜転機を迎える世界と日本〜』
池上 彰/KADOKAWA/2019年

『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズの第10弾。大国のエゴのぶつかり合いをはじめ、テロや紛争、他民族排斥の動き、環境問題、貧困問題など、課題が山積みのなか、世界はどこへ向かうのか? 協力隊員の活動現場を視察されたこともある著者がわかりやすく解説する。

『2030年の世界地図帳  〜あたらしい経済とSDGs、未来への展望〜』
落合陽一/SBクリエイティブ/2019年

SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)に盛り込まれている17の目標に視点を借りながら、世界のさまざまな問題を掘り下げ、SDGsの達成期限である2030年までに世界がどのような方向に向かっていくかについて語る書。

『FACTFULNESS 〜10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣〜』
ハンス・ロスリング、ほか/日経BP/2019年

世界についての人々の圧倒的な知識不足をなくすための活動に取り組む著者たちが、「世界は分断されている」など、賢い人ほどとらわれがちな世界についての10の思い込みについて解説。データにもとづいて世界を正しく見る習慣=FACTFULNESS(ファクトフルネス)の獲得へと導く。

「外国語の勉強方法」のヒントが得られる本

『外国語上達法』
千野栄一/岩波書店/1986年

「ポリグロット(多言語使用者)」の伝記に共通して潜んでいた外国語学習のコツとは? 語学への苦手意識に悩まされるなか、英語やドイツ語、フランス語、チェコ語など数々の言語を操る言語学者となった著者が、辞書や学習書の選び方など、外国語学習のコツを広く紹介する。

『純ジャパの僕が10カ国語を話せた 世界一シンプルな外国語勉強法』
秋山燿平/ダイヤモンド社/2018年

どの言語の日常会話でも必ず使われる「200単語・30表現」を覚え、ひたすら使う——。21歳から「マルチリンガル」を目指して複数言語の学習を始め、海外在住経験がないにもかかわらず、独学で10カ国語を習得した著者が、3カ月で日常会話レベルに到達できる外国語学習法を紹介する。

『総理通訳の外国語勉強法』
中川浩一/講談社/2020年

著者は、天皇陛下や首相などのアラビア語通訳を務めた現役の外交官。24歳でアラビア語の学習を始めてから習得するまでの苦難の道のりと、そのなかで見つけた最も効率的な外国語学習法が紹介されている。新しい外国語を学ぶ人、一から英語を学び直したい人におすすめの書。

知られざるストーリー