気候変動や環境問題に関わりのあるツールはたくさんあるが、中にはいろいろな場面で応用できるものも少なくない。日々の活動に利用してみてはいかがだろうか。
森林破壊は人々の生活にも直接影響する問題で、環境系の隊員に限らず、任地の人々に自分たちの暮らしなどを考えてもらうにはよい切り口だろう。
「JJ-FAST」は、熱帯雨林のある中南米・東南アジア・アフリカ・大洋州の78カ国における森林の状態を、オンラインで簡単に見られるシステムだ。人工衛星「だいち2号」の観測データを基に、森林破壊の起きている場所を地図上に示してくれる。データは45日ごとに更新されていて、直近に森林の減少があった場所が50m四方単位で赤く囲まれて表示される。その箇所をクリックすれば、地理情報や減った森林の面積などがわかる。データはKMLファイルなどの形でダウンロードでき、Google Earthなどで開くことが可能。表記が英語のみとなるが、現地の人たちに任地周辺の森林破壊の状況を伝えたり、ワークショップでマップを示したりと、さまざまな使い方ができる。
このシステムはJICAとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が「JICA-JAXA熱帯林監視プログラム」の一環として開発・運用しているもので、世界的な違法伐採対策に活用するためのものだが、誰でも自由にPCやスマートフォンから情報にアクセスできる。ただし、運用予定期間は2023年7月末までなので、データは今のうちにダウンロードしておきたい。
▼詳しくはコチラ!
https://www.jica.go.jp/activities/issues/natural_env/jjfast/index.html
「GIS(Geographic Information System)」とは、コンピュータ上の地図に位置情報とひもづいた現場の情報などを取り込み、編集・解析するシステムを指す。さまざまなデータを地図上で重ね合わせたりすることで、情報の分析や共有が容易になり、複雑な情報を地図という形で可視化してわかりやすく伝えられるメリットがある。
例えば、地域でゴミの落ちているポイントや、インフラ設備の有無を見て回った記録を下記で紹介しているような電子マップに入力し、対策を練るような使い方が考えられる。
GISを扱うためのソフトウェアには有料・無料ソフトや、GoogleマップのようなオープンソースのWeb GISも提供されている。地図データもさまざまなウェブサイトで公開されている。なお使用に関しては、セキュリティとコストに細心の注意を払うこと。
▼GISを用いて水道設備のマッピングを行った先輩隊員の活動事例(クロスロード)
https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/pamphlet/crossroad/202208/pickup_08_22/index.html
▼無償GISソフトの例:FalconEyeGIS(GISソフトラボ)
https://gisswlabo.com/index.html
Text=飯渕一樹(本誌)