「現役隊員の活動の悩みの相談場所」として最も利用しやすいのが、青年海外協力隊事務局が公式で行っている課題別支援LinkedInグループだ。前ページで紹介したJOCVリハビリテーションネットワークのように、職種別OV会とコラボした座談会などを行うグループもある。すでに登録済みの隊員も少なくないと思うが、改めてそのメリットについて、青年海外協力隊事務局の担当者の方々に聞いた。
タイ/日本語教育/1995年度3次隊
編集室 2023年4月現在、LinkedInグループには、人数の多い職種別の15のグループと、どの職種の隊員でも参加できるなんでも職種グループの16グループがあります。まずは積極的に活動している環境教育職種のグループについて教えてください。
倉持さん 環境教育グループは、環境教育に関心のある隊員の方であれば、環境教育職種でなくても参加できるグループです。環境教育OV会メンバーの参加も多く、普段からOVもさまざまな情報を投稿してくださっています。
編集室 環境教育職種のOVの方々は、帰国後も仕事だけでなくプライベートでも環境問題に関わっている方が多いと思いますから、現役隊員の方も心強いアドバイスがもらえそうですね。
星井さん そうなんです。自分が環境教育職種でない場合でも、任地の村や学校などで環境問題に取り組んだり、啓発活動をしたりすることもあると思いますから、参加しておくと活動の幅が広がると思います。
編集室 LinkedInグループから派生しているオンライン座談会もあると聞きました。
星井さん はい。座談会はこれまでに5回行いました。毎回、話題提供者のOVの話の後、現役隊員の活動の悩みや相談に、OVや技術顧問、専門家の方々がアドバイスしてくださっています。
倉持さん 今年1月に、ごみ問題をテーマに座談会を行いました。派遣中隊員が11人、派遣前隊員が9人、環境教育のOVが9人のほか、全部で34人という過去最多の参加でした。1時間半のプログラム終了後も、残った方々で、話が盛り上がったようです。
編集室 座談会の実りはなんでしょうか。
星井さん 「ごみ問題は人間の生活や人間関係で成り立っているため、人間関係を育みしっかり話し合うことが大事」といったアドバイスがOVの方からあり、これには、皆さん納得したようです。
倉持さん 直近では5月に、環境教育OV2名をお招きし、座談会「帰国後のキャリア形成(国際公務員&NPO編)」を実施しました。派遣中の隊員には、隊員経験を生かしたキャリアステップを考える機会になりました。
今後も座談会を計画しています。LinkedInグループも座談会も、悩み相談の場にとどまらず、お役立ち情報や活動のナレッジを共有し、アーカイブ化する場として活用できるように展開していければと思います。
対象:環境教育に関心のある隊員は参加可
登録数:環境教育隊員58名、その他の職種の隊員18名、OV20名ほか(2023年4月26日現在)
平均投稿数:11件/月
内容:派遣中隊員の活動報告や悩みの共有、オンライン座談会の実施。コンポスト作りやごみ置き場の写真投稿リレーなど
https://www.linkedin.com/groups/13972871
その他の課題別支援LinkedInグループについて知りたい方は、こちらの記事から
Text = ホシカワミナコ(本誌) 写真=飯渕一樹(本誌 倉持さん) 写真提供=星井直子さん