バヌアツの防災力向上を目指して
応援基金の活用で訓練用水消火器を入手

干場 圭さん
干場 圭さん

バヌアツ/防災・災害対策/2023年度3次隊・千葉県出身

   自然災害の多いバヌアツで活動する干場 圭さんは、JICA海外協力隊応援基金を活用した第1号だ。

   2024年2月に首都ポートビラにあるバヌアツ教育訓練省に赴任。10カ月後に発生した大地震の災害時支援や、学校防災教育の推進などに取り組む中で、消火器の使い方を知らない人が多いことを知った。水を充填・噴射して何度も使える訓練用水消火器があれば、正しい使い方を学ぶ機会を提供できるが、現地では手に入らないため、日本から調達する方法を模索し、応援基金の申請に至ったという。

   購入費と輸送費を応援基金で支援してもらい、訓練用水消火器2本と放水を当てる的が届けられると、さっそく同僚に使い方をレクチャーし、防災教育の中に小中学生や先生を対象とした消火訓練を組み込んだ。最初は恐る恐るだった子どもたちもすぐに慣れて、楽しそうに訓練に取り組んだという。残りの任期は首都だけでなく、離島やへき地にある50以上の学校に赴き、消火訓練を各地域に広める計画だ。

「消火器の正しい使い方を知ることは、バヌアツ全体の防災力向上にもつながります。応援基金のおかげで、消火訓練が私の帰国後も継続してできる道筋がつき、感謝しています」

「JICA海外協力隊応援基金」活用&寄附の事例
消火訓練で干場さんが子どもたちに消火器の使い方を教える様子。的に水がうまく当たると歓声が上がった
「JICA海外協力隊応援基金」活用&寄附の事例
訓練用水消火器の到着を喜ぶ、職場の同僚たちと干場さん

中学生が探求学習で集めたお金を、
世界中で活躍する隊員のために寄附

   協力隊員の活動を応援したい、とJICA駒ヶ根に直接寄附を届けたのは、駒ヶ根市立赤穂中学校自閉症・情緒障害特別支援学級3年生の9人と担任(当時)の加藤博美さんだ。「自立」をテーマにした探究学習の一環として、自分たちの手でトウガラシを栽培し、唐辛子みそに加工して校内で販売した。その売り上げの使い道を考え、生徒たちが自ら出した答えが「JICAの応援基金に寄附すること」だったという。「苦労して稼いだお金が、世界に派遣され活躍している方々の役に立てば嬉しいです」(加藤さん)。

「JICA海外協力隊応援基金」活用&寄附の事例
トウガラシ栽培は生徒たちが畑を作るところから始めた
「JICA海外協力隊応援基金」活用&寄附の事例
「ぜひ自分たちで手渡したい!」とみんなでJICA駒ヶ根に赴いた

JICA海外協力隊応援基金とは?
~これからも、この歩みを続けるために~

途上国で活動している現役隊員、帰国後に国内外で社会問題の解決に取り組む隊員OB・OG、その他JICAボランティア事業に関わる取り組みをご寄附で応援いただくものです。郵便局や銀行、クレジットカードなどによるご支援が可能です。

応援基金について
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/partner/private/kifu/kyoryokutai.html

応援基金リーフレット
https://www.jica.go.jp/volunteer/60th/pdf/leaflet_60th_kikin.pdf

JICAと百十四銀行が
「遺贈希望者に対する遺言信託業務の紹介に関する協定」を締結しました

   JICA海外協力隊は発足から60年。開発途上国の人々と共に笑い、汗と涙を分かち合い、世界と日本の「かけはし」となる人材を育ててきました。平和で豊かな世界の実現を目指すこの国民参加型の事業を支える「JICA海外協力隊応援基金」には、遺産の一部を寄附する「遺贈」という支援の形があります。

   2025年7月、JICA四国センターは百十四銀行と、遺言信託業務紹介に関する協定を締結しました。これはJICAとして初の地方銀行との連携です。遺贈寄附を検討される方は、百十四銀行を通じて専門的なサポートを受けながら、安心して寄附を行うことができます。皆さまの寄附が、協力隊の歩みを未来へとつなぐ力となります。

詳細はこちら
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/partner/news/2025/1571973_66368.html

Text=秋山真由美(応援基金事例) 写真提供=ご協力いただいた各位