JICA海外協力隊に応募するにあたっての疑問や不安に、協力隊OB・OGでもある青年海外協力隊事務局の中里大介さん(マダガスカル/コミュニティ開発/2022年度1次隊)と魚山紗野倫さん(ボリビア/環境教育/2019年度2次隊、2021年度7次隊)がお答えします。

JICA海外協力隊Q&A 応募にあたっての疑問や不安に答えます!

そもそもJICA海外協力隊とは何ですか?

JICA海外協力隊は、「青年海外協力隊」「海外協力隊」「日系社会青年海外協力隊」「日系社会海外協力隊」「シニア海外協力隊」「日系社会シニア海外協力隊」の総称であり、途上国で現地の人々と同様に生活し、同じ目線で課題解決に貢献する活動を行っています。独立行政法人国際協力機構(JICA)が派遣国からの要請内容に基づいて、それに見合った技術や経験を持つ人を選考し、派遣しています。JICA海外協力隊は、青年海外協力隊事業として1965年に発足し、2025年12月現在までの派遣実績国の累計は99カ国です。

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派遣国の人々と共に活動することで、協力隊員が学ぶこともたくさんあります。視野が広がり、帰国後の生き方が大きく変わる隊員もいます。

語学が上達するか心配です

訓練前には、自宅で受ける「語学事前学習」があり、語学教材(eラーニング)などを用意しています。また、二本松・駒ヶ根の両訓練所で行われる派遣前訓練の語学授業では、語学講師が現地で活動と生活をスムーズに始めるために必要な語学力を身につける授業を行います。派遣国に赴任してから配属先に着任するまでの間にも、数週間~約1カ月にわたって「現地語学訓練」があり、より実践的な力を養う目的で、派遣前訓練で学んだ言語や現地語を学びます。

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派遣前訓練は70日余りの合宿制で実施しています。訓練の約6割の時間は語学授業ですので語学もしっかり学べます!

途上国で体を壊さないか、また安全面も心配です

JICAは協力隊員の健康・安全・生活面のサポートに力を入れています。派遣前には赴任にあたって必要な健康診断や予防接種を案内・実施しています。また、派遣前訓練中に、任地での活動と生活に必要な健康と安全の管理に関する意識を培うための講座を実施しています。

派遣中は、日本の看護師免許を持つ在外健康管理員が現地の医療機関や医師と連携しながら、健康に関する相談、病気や医療に関する情報の提供、疾病発生時の対応などを行っている国も多くあります。

加えて各国にあるJICAの在外拠点では、安全対策の情報提供を行っています。現地の治安状況をはじめ、犯罪防止や交通安全対策に役立つ情報を提供するほか、通信連絡手段の確保、必要に応じて住居の防犯対策強化なども実施しています。

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職種の専門性があまりないので、派遣国で役に立てるのか心配です

派遣前訓練に先立って、①講座事前学習や②課題別派遣前プログラムがあります。派遣前訓練中も③各種講座で知識や経験を増やしたり、同じ職種の隊員と情報交換ができます。派遣中は技術顧問や技術専門委員への④活動支援依頼のほか、現役のJICA海外協力隊員に向けた実践ガイドである⑤クロスロードで情報を得ることができます。

Q&Aで不安や疑問を払拭!JICA海外協力隊ガイド
職種選びで迷ったら、JICA海外協力隊公式LINEの「シゴト診断」を活用してみてください。いくつかの質問に答えてもらうことで、あなたにお薦めの職種を紹介しています。
JICA海外協力隊公式LINE

① 講座事前学習

JICA海外協力隊員として活動を行うために必要な一般知識がオンラインで学べるよう教材を用意しています。


② 課題別派遣前プログラム

派遣前訓練の前に、オンラインで課題別オンデマンド動画教材を配信しています。派遣前訓練の後には、対象となる方に対し、オンラインもしくは対面での集合型の課題別派遣前訓練を実施。これらを通じ、協力隊での活動において必要とされる実務的な技術・技能および教授法などの習得・向上を図ります。


③ 各種講座

派遣前訓練では、JICA海外協力隊員としての基礎知識や、活動の管理手法など、現地での活動と生活に必要なさまざまな講座を実施しています。


④ 活動支援依頼

JICAは、隊員の分野・職種別に技術顧問や技術専門委員を配置しています。派遣中の隊員が活動上の技術的アドバイスなどを希望する場合、技術顧問や技術専門委員に支援を依頼することができます。


⑤ クロスロード

派遣中の隊員に向け、現地での活動と生活の参考となる実践的な情報などをまとめた「クロスロード」が毎月発行されていて、JICA海外協力隊のウェブサイトから閲覧・ダウンロードができます。先輩隊員たちの活動での工夫や帰国後の進路についても紹介されているので参考にしてください。

お金のサポートはありますか?

訓練所までの往復交通費、派遣国への赴任・帰任にかかる旅費はJICAが負担します。現地での住居は派遣国の政府またはJICAが用意、国や地域によっては住居に警備員が配置される場合もあります。現地では業務連絡用に携帯電話(SIM)なども貸与される場合があります。他に、派遣国の住民と同等程度の生活を営むための現地生活費、また、条件によっては国内手当(※)の支給もあります。

※国内手当…条件に合致する方を対象に、 国内で必要な経費などに役立てるための手当や派遣期間を満了した方への協力活動完了金がある。また、シニア案件で派遣される隊員に支給される経験者手当がある。

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派遣中の住まいは、一人暮らし、住居シェア、ホームステイなど、派遣される国や地域の状況によりさまざまです。すべてJICAの安全管理チェックをクリアした住まいです。

派遣中に余暇や休日、長期休暇はありますか?

あります。活動先により勤務時間や休日・長期休暇の日数が違い、朝7時から昼過ぎまでで活動が終了する隊員もいれば、夕方くらいまで活動が続く隊員もいます。あらかじめ申請して現地のJICA事務所の承認があれば、私費で任国内旅行や任国外旅行をすることもできます。

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私費にはなりますが、任国外旅行で派遣国の近くの国などに行くことができます。また、行き先を日本にすることもできますよ。

新卒でも参加できますか?

協力隊員の中には新卒で参加される方も多くいて、柔軟な対応力や自由な発想力を生かして活動されています。JICA海外協力隊の要請の中には実務経験が必要ないものもありますし、実務経験に代わる経験をもって対応可能な要請もあります。

JICA海外協力隊Q&A 応募にあたっての疑問や不安に答えます!
新卒参加を考えている人は、在学中に応募職種に関連する分野の実習など、実践的な経験を積んでおくことをお薦めします。

仕事を辞めずに参加する人もいますか?

所属先の制度と承認に基づきますが、退職せずに現在の身分を保持したままJICA海外協力隊に参加することもできます。待遇については現状、無給休職での参加が多くなっていますが、有給での参加が認められる組織もあります。ご自身の所属先の制度を確認し、よく相談するようにしてください。また、教員の場合は、一般公募に加え、現職教員特別参加制度での応募機会もあります。

JICA海外協力隊Q&A 応募にあたっての疑問や不安に答えます!
年に1度、現職教員特別参加制度での募集を行っています。制度を活用した多くの隊員が、帰国後も経験を生かし、教育現場などで活躍しています。

帰国後の進路に関する支援はありますか?

JICAでは、①就職支援、②進学支援を通じて帰国した隊員の進路をサポートしています。また、③社会還元支援では、協力隊で得た経験を国内外の社会課題解決に生かしていくため活動する人を支援しています。

JICA海外協力隊Q&A 応募にあたっての疑問や不安に答えます!
協力隊活動を通じて感じた課題を解決するために、起業して社会貢献をしているOB・OGもたくさんいます!(左・魚山さん)
2年間のJICA海外協力隊経験が評価され、自治体によっては職員採用試験における特別措置や教員採用試験の一次試験の免除などもあります。(右・中里さん)

① 就職支援

   国際協力分野のキャリア情報サイト「PARTNER」による求人情報の提供や、進路相談カウンセラーによる個別相談や進路開拓メニューの紹介、教員・自治体職員の特別採用枠の案内などを行っています。また、「JOCV枠UNV制度」といって、国際協力分野でキャリアアップを目指しているOB・OGを国連ボランティアの候補として推薦する制度も設けています。


② 進学支援

   帰国後3年以内のOB・OGのうち、協力隊への参加で得た知識や経験を生かす社会還元を促進するために、国内外の大学院への進学を志望する方および進学している方を対象とした奨学金事業があります。また、進路開拓に役立つ技術の取得、免許・資格取得につながる学習に対して経費を支援する教育訓練手当があります。その他、OB・OG向けの大学・大学院の特別入試制度や、国際協力人材を目指す人向けの研修制度などもあります。


③ 社会還元支援

   帰国隊員を対象に、研修やセミナー、勉強会などを通じて協力隊経験の社会還元活動のサポートを行っています。「JICA海外協力隊相談役」を全国に配置し、社会還元活動に関するさまざまな相談を受け付けています。また、協力隊経験を生かし、起業することで社会へ貢献しようとする人を支援するJICA海外協力隊起業支援プロジェクト(BLUE)もあります。


Text&Photo=阿部純一(本誌)