ボリビア/青少年活動/2021年度3次隊・富山県出身
大学で国際協力について学び、インドやフィリピンでの教育ボランティア、留学生との寮生活などを経験し3年時にイギリスへ留学。卒業前に協力隊に合格するもコロナ禍の影響で派遣延期となり、国内待機を経て2022年にボリビアへ。任期満了後、JICAボリビア事務所勤務を経て、26年に国際開発ジャーナル社入社。
大学卒業後、協力隊員としてボリビアで活動した平田すみれさん。スペイン語漬けの派遣前訓練は「少ししんどかった」ものの、自身の海外経験から「言葉が完璧でなくても非言語コミュニケーションがある」と気負わず、楽観的な気持ちで任地に赴いた。
配属先は首都ラパスの市役所。15~22歳の青少年ボランティアが参加する「セブラ(スペイン語でシマウマの意)グループ」の活性化に向けた企画の提案が求められていた。これはシマウマの着ぐるみを着て、街で交通安全を呼び掛けたり学校や市場で啓発活動を行ったりする取り組みで、平田さんはまずメンバーと一緒に動きながら徐々にスペイン語会話を身に付けていった。
「他者への愛情(amor)を表現する言葉が多く、温かい雰囲気のスペイン語が好き」という平田さん。得意の歌と踊りでコミュニティに飛び込み、多くの時間を共にする中で、メンバーの性格なども分かってきて、「現地に溶け込めている」と思える充実した日々を過ごしていた。
しかし、1年ほどたった頃、グループの活動を振り返る会議に出席した平田さんに小さな衝撃が走る。メンバー間のトラブルや市役所内部の動きなど、周囲で起きている物事の情報を理解・把握できていなかったことに気付いたのだ。
「リスニング力や語彙の不足で自分だけが知らなかったことが多く、急にみんなと溝ができたように感じました。日常会話レベルで満足していて、さらに上を目指す地道な勉強は後回しにしていたのです」。
この日を境に、語学学校に週1回通いながら、スペイン語の国際資格であるDELEの勉強を始めた平田さん。日常の中で自然に覚えるに任せるのではなく、語学試験という一定の目標を設けて勉強することにしたのだ。
過去問を解いて分からなかった単語をエクセルにまとめて復習し、寝る前にはポッドキャストで毎日最低15分間はニュースを聞いた。
また、語学学校の先生の指導の下、日常会話で出てこないような熟語や複雑な文法構造も再確認していった。当時、活動では市役所や学校で企画内容を提案したりイベントで司会を務めたりする機会が増えていたため、上司や外部の人と話す場面で「フォーマルな言葉遣い」はさっそく役に立った。
例えば、スペイン語には「もし可能なら~していただけると嬉しいのですが」とへりくだる表現があるが、適切に使うことで交渉がうまくいく場面も。試験対策を通じて実践力も磨かれた。そして、帰国前に受けたDELEに見事合格。スペイン語圏で働く際に必要とされるB2を取得し、任期終了後も再びボリビアで働く道を選んだ。
任地で暮らす中である程度まで語学力は伸びるが、その先へ行くには自分で勉強するしかない。任期の途中でそう気付いた平田さんは、「試験」という目標を定めることで、さらなる高みを目指す勉強に集中することができた。
Text=新海美保 写真提供=平田すみれさん