小林 勤(こばやし つとむ)さん シニア海外ボランティア

長く培ってきた経験を存分に
生かせる場で活躍したい。

2014.07

定年を控え海外での経験を生かせる道を模索。
シニア海外ボランティアと出会い、直感で参加。

長年メーカーに勤務し、シンガポールとマレーシアの工場で7年にわたり製造技術と品質管理を担当してきました。定年を目前に控え、退職後は一企業に縛られず、もっと広い世界へ踏み出したいと考えていました。
 そんなとき、妻が見つけてきてくれたのがJICAのシニア海外ボランティアでした。資料を見て、日本のシニア世代が培ってきた経験や技術を欲している人々が、開発途上国にはまだまだいるということに気付かされ、自分が探していたものはこれだと直感。今までの自分の経験を生かせることに喜びを感じ、応募しました。
 派遣前訓練では、60歳を超えて初めてチャレンジしたスペイン語に大苦戦でしたが、若い人たちと同じ場で訓練を受けたことはとても良い刺激になりました。

現地向上で日本式生産管理システムを説明

日本式生産管理の実践技術を指導。
意識の違いに戸惑いながらも、根気強く向き合う。

赴任先はメキシコのケレタロ工科大学。教員たちに私が日本のメーカーで一貫して携わってきた日本式生産管理の実践技術を教えたり、近郊の中小企業・工場を訪問し、生産改善を支援したりしてきました。
 事前に前任者と現地の様子について情報交換していましたが、現地の人々の時間に対する意識の違いには苦労しました。約束の面会時間に工場に訪問したら、責任者が不在だったことも。しかし根気強く向き合っていると、状況も次第に変化。彼らが自ら問題解決のために動き出してくれたときは本当にうれしかったです。
 他にも大変だったことは、例えば5Sなどの日本式生産管理手法を導入しようとしても、現地の人々には簡単には浸透しません。「どうしてやらないの?」と強く言っても、なかなかこちらの真意が伝わらず苦労しました。彼らが自分で進んで行動しなければ意味がないので、無理強いせず、じっくり待つ方法に途中から切り替えました。時間はかかりましたが、少しずつ理解者が増えていったことはうれしかったです。

JICAボランティアで得たもの

帰国後もスペイン語の勉強を継続。
時間に対する意識が大きく変化した。

スペイン語検定試験4級を取るなど、帰国後も継続してスペイン語の勉強をしています。また、地域コミュニティでのボランティアや、「帰国後報告発表会」の準備などで忙しく過ごしています。赴任中に覚えた「Baile de salon(社交ダンスのような踊り)」を日本でもやりたいので、現在仲間を探しているところです。
 また意識の変化としては、メキシコに2年間いたことで、時間におおらかになりました。最初はメキシコの人々の時間のルーズさにストレスさえ感じていましたが、しばらく時間を気にせずに生活してみると、自由でおおらかな気持ちになることに気付いたのです。家族を第一に考えていることも、彼らの心の豊かさを生んでいるように思えました。

これからJICAボランティアを目指すみなさんへのメッセージ

大切なのは一歩を踏み出すこと。
そうすれば広がる違った世界。

JICAのシニア海外ボランティアは、家族随伴制度を利用することができます。
私はこの制度を使って妻に一緒に来てもらい、生活面のサポートをお願いすることができました。
私が海外ボランティアに行くと知らせたとき、友人からの反応はさまざまでした。
「なぜ今開発途上国に自ら進んで行くの?」という人がいる一方、「頑張って行ってきて!」と激励する人も。
私は、定年退職を経た後も自分の力を生かせる場所に行けることほどうれしいことはないと思っていたので、
どんな反応があっても気持ちはブレませんでした。
ボランティアを目指す皆さんには、まずは一歩踏み出してほしいです。
踏み出せば必ず、全く違った世界が広がっていきます。
異文化に触れることで、驚きと面白さが見えてくるのが海外ボランティアの醍醐味。
そして新たな自分を再発見する、またとないチャンスでもあるのです。
ぜひ、チャレンジしてください。

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シニア 社会貢献キャリア # 民間起業 # 経験を生かす # 家族随伴