外部有識者事業評価委員会 第7回会合の概要

1.日時:

平成17年6月9日(木)10時00分〜12時00分

2.場所:

独立行政法人国際協力機構 13A 会議室

3.出席者:

牟田委員長、青山委員、杉下委員、中山委員、三好委員及びJICA関係者(小島理事、総務部、企画・調整部)

4.議事概要:

(1)外部有識者事業評価委員会・委員交代について

川口委員が異動により退任し、後任として(社)日本経済団体連合会の中山洋・国際協力本部アジアグループ長兼国際協力グループ長が委員に就任した。

(2)平成16年度評価関連事業実績と平成17年度事業計画について

事務局より「平成16年度評価関連事業実績」「平成17年度評価関連事業計画」のそれぞれについて報告・説明が行われた。

各委員から出されたコメントは以下のとおり。

(ボランティア事業の評価について)

  • 青年海外協力隊(以下「JOCV」)事業の評価に際しては、開発協力の成果だけではなく、相手国との相互理解の促進や、日本の国際協力人材養成という視点も重要である。
  • JOCVをプログラムに組み込むのであれば、他の専門家等との関係やTORを明確にする必要がある。またJOCVの効率性の評価は、費用対効果の面での検証は難しいと想定される。

(効率性の評価について)

  • 効率性の観点については、部分的にでも構わないため評価実施の際に盛り込むようにし、その中から事例を集めてマニュアル化していくとよい。
  • 評価フレームワークの中で、成果と活動・投入に関して数値化することができれば、コスト意識も少しずつ上がってくる。将来的には、事業の生産性に関しても数値化できるとよい。

(評価結果の公開について)

  • 評価セミナーについては、平日以外の曜日に実施することや東京以外で開催を検討し、地方からも参加しやすくなるような工夫が求められる。

(3)JICA事業における今後の評価のあり方について

技術協力プロジェクト小規模案件の評価、2005年度2次評価の枠組み、平成17年度事後評価計画、「事業評価年次報告書2005」の作成、Fast Track制度の導入等に関し、事務局より説明が行われた。

  • JICAの内部評価の透明性と客観性を確認するため、2次評価を引き続き実施する。
  • 「事業評価年次報告書2005」については、「事業評価年次報告書2004」に関するアンケート結果および外部有識者事業評価委員会の意見を参考に進める。
  • 大・中規模案件及び小規模案件等、協力規模の異なる案件において、同じ方法で評価を実施することは効率的ではないことから簡易な手法を導入する。
  • 緊急性の高い事業を、より簡素化された手続きなどで迅速に計画・実施するため、Fast Track制度を導入する。

各委員からのコメントの概要は以下のとおり。

(平成17年度事後評価計画について)

  • 対パレスチナ支援は、JICAのみならず国連開発計画(UNDP)等を通じた支援など、日本のODAの多様なスキームを活用して支援しており、様々なNGOも活動している。日本の対パレスチナ支援の評価においては、全体の枠組みのなかで、JICAが行った成果や課題・教訓などを抽出することが必要である。
  • 緊急援助事業の評価の際には、JICA以外の取り組みを含め、日本の緊急支援を全体的にみて、その中での位置づけを考えていく必要がある。

(事業評価年次報告書2005/2次評価について)

  • アウトカムは重要なポイントであるが、その際に時間的な経過の視点も必要である。日本の援助は長期的な取組みが多く、特に人を育てるプロジェクト等ではすぐにアウトカムは表れてこない。中間期ではプロセスを重視して評価を行わないと、日本の援助の良さが適切に評価されなくなる恐れがある。成果にとらわれすぎると、人材育成がおろそかになる可能性もあり、プロジェクトの時間的経過と成果の関係について留意するべきである。

(Fast Track制度の導入について)

  • 緊急性を要する事業と通常の課題を扱う事業とでは取るべき方法論も違ってくるため、評価の仕方も自ずと違ったものになる。

以上