外部有識者事業評価委員会 第10回会合の概要

1.日時:

平成18年6月30日(金)10時00分〜12時00分

2.場所:

独立行政法人国際協力機構 13A 会議室

3.出席者:

牟田委員長、青山委員、磯田委員、杉下委員、長尾委員、林(薫)委員、林(寛)委員、三好委員及びJICA関係者(黒木理事、総務部、企画・調整部)

4.議事概要:

(1)平成18年度2次評価実施方針(案)について

牟田委員長および事務局より、平成18年度2次評価実施方針(案)について、説明が行われた。

各委員から出されたコメントは以下のとおり。

  • 2次評価は報告書という限られた情報に基づいた評価であるところ、現地調査を通じて手法の有効性を検証したい。
  • 手法の有効性の検証には、1次評価と同規模の評価調査の実施が望ましいが、現実的には困難であることから、限られた案件で手法の適切性を検証できるように、何らかの特徴を有する案件を調査するなど、現地調査の案件選定が重要となる。
  • 現地調査では、2次評価の有効性の検証とあわせて、報告書の記載内容との相違の有無や、評価結果の活用状況についても確認する必要がある。
  • 現地調査の際の評価者の視点の統一を図るため、事前に評価の観点を明らかにする必要がある。
  • 2次評価において比較的良い評価がなされている案件についても、実情を視察し、2次評価を行う際の留意点などを検証することが重要である。
  • 現地調査は、2次評価の主な目的の中でもフィードバックに果たす役割が大きい。本委員会が評価結果のフィードバックにどのような役割を果たせるかが問われていることを考慮すると、現地調査では事業内容にある程度踏み込むことが必要である。
  • 今年度の現地調査の結果を踏まえ、調査結果の活用方法や対象案件の選定方法など、現地調査のあり方について検証する必要がある。
  • 昨年度の2次評価では、評価ガイドラインの導入や評価研修の実施により、評価の質やプロジェクトの質が改善されていることが明らかとなっている。平成18年度に実施する2次評価では、事前評価を導入したことによる影響について分析することが望ましい。

(2)「教訓データベース」について

事務局より、教訓データベースのコンセプトの説明と試行版の紹介が行われた。

各委員から出されたコメントは以下のとおり。

  • 毎年、多くの事業の評価が実施され、様々な教訓が抽出されていることから、教訓の有効な活用に向けて、データベースを取りまとめていく必要がある。
  • 現場主義により様々な意思決定が現場でなされる中、事業の質の向上に向けた支援が重要となってきており、教訓データベースも現場をサポートする重要なツールとなる。
  • データベースに基づき、教訓や提言の書き方についてのガイドラインが作成され、今後の報告書に活かされることで、提言や教訓の質が改善することが期待される。
  • 教訓が活かされるためには、その教訓が形成された前提条件や時期的な背景があることから、教訓の関連情報も分かるようにする必要がある。
  • 報告書に埋もれた良い教訓をどのように抽出するかが、データベースの有用性を高める上で重要であり、2次評価と連動した形で教訓を抽出できないか検討したい。
  • データベースという「情報」をいかに活用ができる「知識」へとつないでいくかが重要となる。

(3)「平成18年度プログラム評価(試行)」について

事務局より、プログラム評価の概要について説明が行われた。

各委員から出されたコメントは以下のとおり。

  • 各国ドナーが協調して援助を実施している分野を対象にプログラム評価を実施する場合、相手国の国家開発計画そのものを対象とするのか、あるいは国家開発計画の中でのJICAの取り組みを対象とするかで評価の視点が変わってくる。前者の場合には、日本単独では困難であり他ドナーとの協調が重要となる。
  • 相手国の政策体系における事業の位置付けやアプローチを明確にしていくことで、今後どのように援助を実施していくかが整理されるようになる。
  • 地域開発型案件は比較的評価がしやすいが、貧困などの横断的な分野は国家開発計画全体を取り上げることになるため困難が伴うのではないか。
  • JICAプログラムの評価にあたっては、技術協力にあわせ、無償資金協力や有償資金協力なども視野に入れる必要があり、日本の援助政策や外交政策とも関係してくるので、関係機関と連携して実施する必要がある。

以上