フォローアップの状況

JICAでは、終了時評価の結果に基づき、当初目標の達成、協力効果の持続性の確保などを目的として、必要に応じ、協力期間の延長やフォローアップ協力などを実施している。さらに、プロジェクトの成果をいっそう拡大することを目的として、新規のプロジェクトが開始される場合もある。

また、事後評価によって、プロジェクトの運営などについて問題が指摘されたプロジェクトについては、協力効果を高め、さらにその効果を持続・発展させるために、必要に応じ、個別専門家の派遣、機材の修理、スペアパーツの調達などの支援を行っている。

以下は、今回の評価結果に基づき実施されたフォローアップの主な事例である。

1. 当初目標を達成するためのフォローアップ

インドネシア「家畜繁殖バイテク実用化」(個別専門家チーム派遣)では、受精卵移植の基礎的な技術移転はほぼ達成されたものの受胎率が低いレベルにあったため、「牛受精卵移植」の短期専門家2名を派遣し、「牛受精卵移植技術」のカウンターパートを研修員として受け入れた。オマーン「漁業訓練計画」(プロジェクト方式技術協力)では、オマーン側による実習施設の建設の遅れにより技術移転が遅れていた水産加工および品質管理技術を対象として、1年10カ月間のフォローアップ協力を実施中である。

2. 自立能力を高めるためのフォローアップ

タイ「皮膚病学」(第三国集団研修)では、タイ側の自立運営能力向上のために、タイ側スタッフによる講義数の漸増、日本でのカウンターパートの長期研修の実施などによるタイ側の実施指導能力向上を協力内容に含め、引き続き5年間、協力を延長することとした。

ホンデュラス「養豚開発計画」(プロジェクト方式技術協力)では、協力終了後、当初計画どおり、養豚開発センターが農牧科学技術局から国立農業大学に移管されたため、短期専門家を派遣し、移管後の同センターの活動状況の確認と運営に対する指導助言を行った。

3. 協力の成果を一層拡大するためのフォローアップ

ヴィエトナム「チョーライ病院プロジェクト」(プロジェクト方式技術協力)では、医療技術レベルの向上は達成したが、同国南部の拠点病院である同病院の教育機能を強化するために、協力期間を1年間延長した。また、フィリピン「公衆衛生プロジェクト」(プロジェクト方式技術協力)では、同プロジェクトで有効性が実証された結核対策のモデルの全国展開を支援するために、「結核対策プロジェクト」(プロジェクト方式技術協力)を新たに開始した。さらに、コスタ・リカ「中米域内産業技術育成計画」(プロジェクト方式技術協力)では、同プロジェクトの成果の中米諸国への普及を支援するため、「生産性・品質向上」(第三国集団研修)を開始した。

4. 事後評価結果に基づくフォローアップ

カンボディア「道路建設センター改善計画」(無償資金協力)では、供与した道路建設機材のさらなる有効活用を図るため、長期専門家を3名派遣し、道路建設機材の操作・維持管理、道路建設センターの運営などについて指導・助言を行っている。ヴィエトナム「青年招へい事業」では、本事業は日本・ヴィエトナムの参加者間の相互理解や有効関係の醸成に大きく貢献しており、ヴィエトナム側からも高い評価を得ていることから、1999年度、同国からの招へい人数を100名から115名に拡大した。また、パプア・ニューギニア「テプテプ野菜プロジェクト」(青年海外協力隊)では、4代にわたった野菜指導の隊員に代わり、村落開発分野の隊員を派遣し、農業協同組合の運営強化を支援するとともに、野菜に加えて淡水魚養殖やキノコ栽培などを試行的に取り入れた総合的な村落開発普及活動を展開するために活動中である。