【-いばらきから世界へ!-エルサルバドルでの活動を経て】JICA筑波 研修業務課 内田冴美さん(平成27年度2次隊/エルサルバドル/コミュニティ開発)

【写真】内田冴美さんJICA筑波 研修業務課
内田冴美さん

2017年12月からJICA筑波 研修業務課で研修員受入業務(主に中南米コース)を担当する内田さんに、中米・エルサルバドルでの青年海外協力隊としての活動について話を聞きました。

◎自己紹介

茨城県出身。民間企業での勤務を経て、青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員として中米にあるエルサルバドル共和国で2年間活動。任地の特産品であるハンモックや民芸品を生かした一村一品運動を中心に、地域振興支援に携わる活動を行い2017年9月末に帰国。

【協力隊を目指したきっかけ】

エルサルバドル名物、ププサ(トウモロコシ粉や米粉で作った生地の中に、豆やチーズを入れ、平たく丸い形に焼いたもの)

私の場合、「協力隊をめざした」ではなく、JICA青年海外協力隊にたどり着いた、という感じです。漠然と心に頂いていた想いは、“開発途上国の人の力になりたい。”協力隊以外にも、国際協力に携わる方法はたくさんあります。しかし、インターネットや国際協力のイベント等で情報収集するも、ピンとくるものがありませんでした。ふと目に留まったのは、ボランティア募集説明会。話を聞くだけなら、という想いで立ち寄ったところ、数名の方の体験談に惹きつけられたことがきっかけとなりました。

【任地の一押しポイント!】

路地で見かけるハンモック作り

ずばり、「ハンモック」です!エルサルバドル北部に位置するコンセプシオン・ケサルテペケ市、ここが私の任地でした。同市は人口の80%がハンモックをはじめ手工芸品に携わり生計を立てています。そのため、夜明けから日が暮れるまで、あちこちでハンモックづくりを垣間見ることが出来ます。小さな子供から、お歳を召した方まで家族代々引き継がれている伝統です。素材や長さ、色を組み合わせ、自分だけのオリジナルハンモックを作ることが出来るのはもちろんですが、ハンモックづくりの工程が街のいたるところで自然と目に入ってくる、こんな素敵な光景はどこか暖かい気持ちにさせてくれます。

【現地の活動について】

ホームステイ先の家族とキャンプ

“市民の収入向上、生活改善を図る“これを目標に、さまざまな活動を試行錯誤の中展開しました。特に、注力した活動は一村一品運動の普及です。生産者(手工芸品・農産物)を訪問し、約半年かけて一村一品委員会を結成しました。その後、任地の手工芸品に関する歴史や販売促進を目的にガイドブックの作成、他市で活動していた協力隊と共に意見交換会・視察等を行いました。やりたいこと、やるべき活動はたくさんありましたが、地元に根づく慣習が常に隣合わせで、職場や住民と衝突する事が幾度とありました。そのたび、活動が本当に住民の役にたっているのか・押し付けになっていないかと振り返りながら進んできました。
 一村一品運動の普及以外に、幼稚園や小学校で折り紙を教えたり、楽器を教えたりしました。また、市のお祭りで日本文化紹介を行うなど、振り返れば無我夢中でいろいろな活動に手を出していました…。
 これらの活動はすべて、職場の同僚や任地の方々、JICA関係者のみなさんの支えがあったからこそ、実現しました。

【協力隊活動で思い出に残っていること】

手工芸品・市の情報満載のガイドブックが完成!

イグアナを食べたことがありますか?思い出に残っていることはたくさんありますが、あえてイグアナのお話をします。私が住んでいた市では、一部の人の間でイグアナを食べる慣習がありました。1年の中でも限られた期間しか食べることが出来ないため、高級な珍味です。赴任当初、仲よくなったご家庭に招待され、ものめずらしさにイグアナのスープと炭火焼き、卵をご馳走になりました。”好奇心”が数日後に”後悔”へ変わる事に。数日後から吐き気と下痢、高熱に襲われ、薬を飲む日が続きました。あまりにもひどい症状だったため、「もう二度と食べない」と心に決めました。ごちそうしてくれたご家族に美味しかったよ、とお礼を伝えると「よかった。来年も食べににおいで」と予想外の言葉が返ってきました。そして翌年、「イグアナあるから食べにおいで」と有りがたくも恐れていたお誘いを数回断りましたがついに断りきれず、おそるおそる食べることに。そして案の定体調不良になりました。具合が悪くなると分かっていても、つい根負けしてしまう、現地の方々の笑顔と純粋な優しさにはかなわないと実感した出来事です。

【これからの抱負】

第1回ハンモック作り体験の一コマ

青年海外協力隊として2年間貴重な体験をさせて頂きました。今後も、開発途上国の人々に関わっていきたいと考えています。また、日本の子供や学生さんたちに向け、少しでも途上国に興味を持ってもらえるよう経験をお伝えしていきます。

【国際協力・協力隊を目指す方へのメッセージ】

国際協力や発展途上国に興味がある方は、ぜひ青年海外協力隊/シニア海外ボランティアへの参加をお勧めします。そんなこと簡単にいうけど、一歩踏み出すのは容易いことではありませんよね。語学や治安、医療など、様々な葛藤・悩み・不安があるかもしれません。しかし、純粋に“やってみたい”という気持ちがあるのであれば、意外となんとかなります。想像を絶するようなハプニングや日本ではありえない場面など多々ありますが、人生の糧となる機会として考えてみてはいかがでしょう?現地の人と同じ環境で生活し、同じものを食べ、目線を合わせてみると、本当に必要とされている国際協力の在り方を考えるきっかけになるのはないでしょうか。