【-いばらきから世界へ!-】JICA海外協力隊 中根望夢さん(パプアニューギニア)

【写真】中根 望夢さん(茨城県取手市出身)2018年度2次隊(青年海外協力隊)・2018年10月~2020年3月派遣・パプアニューギニア・感染症・エイズ対策
中根 望夢さん(茨城県取手市出身)

自己紹介

配属先(公衆衛生担当)の同僚

配属先(救急外来)の同僚

医療船内部の様子と船から見た大自然

大学では保健学部救急救命学科を専攻し、救急救命士になるための勉強をしていました。在学中に国際協力に興味を持ち、大学卒業後に海外協力隊に応募。2018年度2次隊、感染症・エイズ対策隊員としてパプアニューギニア国ミルンベイ州保健局の総合病院で協力隊活動をしておりました。

現在は、待ってくださっている同僚のためにも、出来るだけ早く任地に戻り活動の再開が出来ることを信じ、日本国内で待機をしております。テレビ会議を行い任地の状況確認やコロナウイルス啓発のための垂れ幕、ポスター、パンフレットのデザインを作成するなど、国内でできることを模索しております。

海外協力隊を目指したきっかけ

任地の離島にて、けん玉で遊ぶ現地の子供たち

カルチャーショーにてタワラ族との写真。
口が赤いのは現地の嗜好品“ブアイ”のせい

One Tok(部族)の仲間入り?

海外に全く興味がなかった大学生2年生の時、偶然当選した宝くじを元金にし、約1か月半、東南アジアへ初の海外旅行(バックパック)に挑戦致しました。きっかけは「世界の果てまでイッテQ」というテレビ番組内でアジアの特集が放映されているのを見て、「行ってみたい」と感じた単純な好奇心でした。放送終了後、すぐに航空チケットを購入し、人生初の一人旅を始めました。

旅行中、それまで当たり前であった日本での生活とは異なる生活様式や貧富の差を目にして衝撃を受けたことを今でも覚えております。また、異文化交流を通じて価値観を共有することの重要性を考える機会にもなりました。

そして帰国後、微力ながら何かお手伝いをすることが出来ないか、と思うようになりました。国際協力について情報を集めたところ、偶然にも出身大学の教授が青年海外協力隊保健医療分野の技術顧問を担当されていたことがわかり、様々な相談や質問をさせて頂き、JICAのボランティア事業や国際協力についての理解を深めました。また、海外医療ボランティアへの参加や外部セミナーの聴講をして、国際保健に関する知識の補完を行いました。これらの経験から「私でも協力隊で活動することができる」と確信し、青年海外協力隊に応募致しました。協力隊を目指したきっかけは、“偶然の重なり”と“周りの方々の温かいご支援”であると考えています。

任地パプアニューギニアと活動紹介

地域課題の抽出のため村落で住民と話し合い

健康診断、BMI測定による肥満度チェック

現地の小学校にて紙芝居を使った栄養とマラリアの啓発

任地では、平日は州保健局でDisease Control Officer として、①州内で流行している病気の分析②病気の啓発活動③ワクチンや薬の配布計画・実施をしておりました。土日は④州内の総合病院救急科で救急医療補助を通した技術支援活動を行っておりました。

大洋州では、食の欧米化が進み、糖尿病や高血圧、ガンなどの生活習慣病への対策が重要な課題です。同国も例外ではなく、糖尿病・高血圧の有病率が上昇傾向にあり、保健局では啓発・予防対策が必須となっていました。そこで、市内2つの保健所に健康診断所を設置し、特に口腔がん、高血圧、糖尿病の早期発見・治療に役立てました。
また、総合病院救急科の目標である「マラリア検査数及び感染者の検出数を増加させる」、というニーズに応えるため、「マラリアトリアージシステム」を提案し、導入の補助を致しました。
その結果、その月の院内マラリア検査数を前年比の約1.2倍に増やすことができました。私の一時帰国後、健康診断所の活動は残念ながら持続的に行われていませんが、マラリアトリアージシステムは継続して行われているとのことです。自分の考えや良し悪しだけで活動するのではなく、ニーズを把握し、現場に合った活動をすることが、地域に根付く鍵ではないか、と考えています。

協力隊活動で印象に残っていることは?

新型コロナウイルス感染予防のための垂れ幕

現地のバンドと「上を向いて歩こう」と「啓発ソング」の演奏練習

同僚と過ごしたクリスマス休暇。お酒を飲めばみんな仲良し

国内待機をしている今です! 
私は任地に1年5カ月滞在しておりました。任期が後半に差し掛かり派遣当初に気付かなかった現地の課題や問題を新たに確認しました。国内待機期間は、発見した課題解決のために情報を収集し知識を蓄える良い機会だと考えております。また、国内でできる社会活動や国際協力に関する研修に積極的に参加し、ブラッシュアップをしております。残りの任期は3か月ですが、再帰任できることを願いながら日々できることを模索し再派遣に備えております。

JICA筑波の研修「稲作技術向上(普及員)」コース(2020年6-7月)に参加しての学び、気づき、印象に残っていることを教えてください

研修員さんによる除草機の使い方のレクチャー

土壌の栄養素を調査するための実験

【学び】研修旅行で栃木県を訪れた際、“食の安全性と有機農業、種子”について勉強させていただきました。手間をかけずに効率良くお米を収穫するためには殺虫剤や除草剤、化学肥料が必要です。しかし、こうした農薬を利用し作られた米を摂取すると人間が共生している腸内細菌を殺し、腸内環境を崩してしまい様々な疾患(アレルギー、生活習慣病、精神疾患)を引き起こす可能性があります。また植物に必要な栄養素の吸収を阻害してしまうため、人間に必要な栄養素の摂取を制限してしまいます。これまでは、人工農薬を利用した作物の摂取と各病気発症の関係性について無関心であったため、学んだことは非常に新鮮であり有意義な時間を過ごすことが出来ました。またJICA筑波の図書館でたくさんの本や研修レポートを紹介して頂き、国際協力についての知見や視野を広げる良い機会になりました。

【印象】研修参加を通して、先生方をはじめ多くの素敵な方々に出会えたことが一番の印象的な出来事です。研修員さんの”学ぶ姿勢” や ”自国を変えたい“という熱い気持ちは、一時帰国後、何もできずにもがいていた私に勇気と活力を与えてくれました。

今後の抱負

コンポストの作成、温度の変化をチェック

現在は、待ってくださっている同僚のためにも、任国パプアニューギニアに戻り、早期に活動を再開することしか考えておりません!
任期満了後は、スキルアップのため大学への進学を考えております。そして、学んだ専門分野の知識を活かし、国際協力に従事し社会に貢献したいと考えております。常に内なる情熱と好奇心を持って何事にも挑戦したいと考えております。ボランティアへの参加を通じ、支えてくださったすべての方々に対する感謝の気持ちを忘れず、今出来る事に最大限取組み、最後まで活動に尽力する所存であり、その気持ちを持って国内待機をしていきたい、と思います。