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PART.1 世界と私たち

今さら!? 聞けない 難民問題、ポイント解説

2022年末時点で、紛争や迫害などによって家を追われた難民や国内避難民の数は、世界全体で1億840万人にものぼり、過去最多となっています。そのうち約41%が18歳未満の子どもたちで、親や保護者とはぐれ1人での避難を強いられています。ここでは、難民問題のポイントを分かりやすく解説します。

難民とは

難民とはどのような人を指すのでしょう。
国際的に保護・支援する国連機関の「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)」では、難民とは、紛争や迫害から自分や自分の家族の命を守るために、自分の国を離れて国外に逃れなければならなかった人のこと、としています。
迫害の原因はさまざまですが、宗教・人種・国籍・政治的意見・特定の社会集団に所属していることで、迫害を受けるおそれがあり国外へ逃れる人、さらには、紛争や戦争によって国外へ逃れた人も難民であるとされています。

「難民」という定義に入らない人々でも、世界には、家や故郷を逃れなければならなくなった人がたくさんいます。
特に多いのが、他の国に逃れるのではなく、自分の国にとどまって避難している人々です。このような人々を国内避難民といいます。

難民でも、国内避難民や無国籍者でも、重要なのは、そうした人々が、家や故郷を追われて避難しなくてはならず保護を必要としている、ということです。

世界の難民の状況 (出典:Global Trends 2022(UNHCR))

国外に逃れた人たちの出身国は、内戦が続くシリアが最も多く、続いてウクライナ、アフガニスタン、ベネズエラなどとなっています。
また、難民の多くが近隣国に逃れ、76%が中低所得国に避難しており、全体の20%を開発途上国が受け入れています。難民だけでなく、受入れ国側への支援も必要な状況です。  

家や故郷を逃れなければならなくなった人(※):117,300,000人(2023年末時点)
(※)国内避難民、難民として保護を求めている庇護希望者、無国籍者、その他の国際保護を必要としている人

難民流出国トップ5

●難民の出身国トップ5

①アフガニスタン 640万人 
②シリア 640万人
③ベネズエラ 610万人
④ウクライナ 600万人
⑤南スーダン 230万人

73%が5カ国に集中しています

* UNWRAが支援するパレスチナ難民は除く
出典:UNHCR「Global Trends report 2023」

受入国トップ5

●受入国トップ5

①イラン 380万人
②トルコ 330万人
③コロンビア 290万人
④ドイツ 260万人
⑤パキスタン 200万人

39%が5カ国に集中しています

* UNWRAが支援するパレスチナ難民は除く
出典:UNHCR「Global Trends report 2023」

日本と無関係ではない難民

日本は1970年代後半のインドシナ難民(ベトナム・ラオス・カンボジア)の大量流出を受け、1981年に難民条約に加入し、インドシナ難民を11,319人受け入れました。(インドシナ難民の受け入れ事業は、2005年度をもって終了。)
  1982年の難民認定制度導入から2021年までの申請数は91,664人。そのうち1,117人の条約難民(※1)を受け入れました。難民と認定しなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認めたものは5,049人となっています。また、2010年からは、第三国定住(*2)によって、ミャンマー難民を受け入れており、2019年までに90家族250人を受け入れました。

日本は、受け入れた難民の人々に対して、日本語教室を開いたり、就職等各種相談への対応など、定住促進のためのサポートを行っています。(出典:外務省)

(*1)条約難民:難民条約(1951年の難民の地位に関する条約)に定義された難民の要件に該当すると判断された難民
(*2)第三国定住:難民キャンプ等で一時的な庇護を受けた難民を、当初庇護を求めた国から新たに受入れに合意した第三国へ移動させることで、難民は移動先の第三国において庇護あるいはその他の長期的な滞在権利を与えられる枠組み。

日本の難民支援

日本の難民支援の特徴は、難民に対する直接的な”人道支援“と受け入れ国やコミュニティの経済発展を支える”開発支援“を、国連機関やNGOなどと連携しながら一体的に進めている点です。
例えば、JICAはパレスチナ自治区・ヨルダン・シリア・レバノンのパレスチナ難民キャンプで、生計向上や母子手帳の普及を進めたり、UNRWAの運営する学校へJICA海外協力隊を派遣するなど、パレスチナ難民を支える取り組みをUNRWAとも連携しながら行ってきました。

また、2016年11月よりUNHCRの協力を得て、「シリア平和への架け橋・人材育成プログラム」を通じ、ヨルダンやレバノンに難民として逃れているシリア人の若者たちを留学生として日本国内の大学に受け入れ、2023年12月までに国費留学生あわせて136人のシリア人留学生を受け入れました。就学の機会を奪われたシリア難民の若者に教育の機会を提供することによって、将来のシリアの復興を担う人材育成を支援しています。

難民支援についてもっと調べてみよう!

JICAの難民支援活動

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JICA-UNCHR パートナーシップ~人道と開発の懸け橋~

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パートナーシップ
~人道と開発の懸け橋~

JICA MAGAZINE 2022年10月号

平和構築 争いのない世界のために
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シリア平和への架け橋・人材育成プログラム

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難民についての関連情報

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

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