100. カントー、ハウザン、ソクチャン、カマウの水産養殖実験施設を駆け巡る!(2024年8月25-29日)
この1週間、鹿児島大学の小谷知也教授と東京海洋大学の遠藤雅人准教授に日本から出張していただき、共同研究モデル7「メコンデルタにおける気候変動と塩水遡上に適応した先進的かつ持続可能な水産養殖システムの開発」およびモデル8「メコンデルタにおける気候変動および塩水侵入下での水産養殖のための種の多様化と種苗の質改善」について、カントー大学(CTU)水産養殖学部の先生方と現地視察や議論を行いました。
移動日を含む5日間、カントー市内にあるCTU先進養殖技術応用研究センターのタウナギ養殖池を皮切りに、ハウザン省、ソクチャン省、カマウ省と、メコンデルタ全域を駆け巡るハードスケジュールでした。それにもかかわらず、両先生には精力的に視察を行っていただき、現地や移動中にも多くの意見交換がなされました。また、カマウ省では8月28日に、CTU水産養殖学部修士課程の学生や同省農業農村開発局水産支局のスタッフを対象に、小谷先生と遠藤先生によるセミナーも行われました。
タウナギの安定した養殖生産に向けた進展が確認されたことに加え、先日行われた研究進捗報告会(こちらのニュースレターをご参照ください)で多くの課題が指摘されたクロホシマンジュウダイの繁殖にも、一定の進展が見られたのは大きな成果でした。また、両先生とも、タウナギやエビの閉鎖循環式養殖について「研究が進展するとともに、民間養殖場における実証試験も順調で、データも集まりつつある」と高く評価しており、研究成果の社会実装に向けて前向きな結論が得られました。今後の普及に向けて目標設定や解決すべき課題は残されていますが、今回の現地視察で多くの専門家と議論を深めることができ、大変実りのある出張となりました。
出張いただいた先生方、CTUの先生方、お疲れ様でした!
関連参考プロジェクトニュース:
第45号「先進的かつ持続的水産養殖システムの開発のために(その1)」
第59号「閉鎖循環式養殖システムとは?」
第60号「タウナギの繁殖技術と種苗生産の確立のために」
第61号「クロホシマンジュウダイの養殖技術の向上と産業展開のために」
第62号「タウナギとクロホシマンジュウダイの商品化のために/東京海洋大学准教授・遠藤雅人」
第63号「水産養殖プロジェクトの社会実装のために/東京海洋大学准教授・遠藤雅人」
第66号「先進的かつ持続的水産養殖システムの開発のために(その2)/鹿児島大学教授・小谷知也」
写真1:ソクチャン省ビンチャウのエビ養殖拠点にてCTUカウンターパートと。右端後方が小谷教授、その左が遠藤准教授、その左が田中チーフアドバイザー。
写真2 クロホシマンジュウダイの稚魚を観察しながら、日越双方の専門家同士で真剣な議論。
写真3 カマウ省で行われたセミナーの後に。