JICA海外協力隊に応募するにあたっての疑問や不安、心配事の数々に、協力隊OB・OG でもある青年海外協力隊事務局の髙島笑里さん（写真左：元日系社会青年海外協力隊／ パラグアイ）と脇田雄気さん（写真右：元青年海外協力隊／ベナン）がお答えします。
A JICA海外協力隊は、「青年海外協力隊」「海外協力隊」「シニア海外協力隊」「日系社会青年海外協力隊」「日系社会海外協力隊」「日系社会シニア海外協力隊」の総称です。独立行政法人国際協力機構（JICA）が派遣し、開発途上国で現地の人々と共に生活し、同じ目線で課題解決に貢献する活動を行っています。派遣国からの要請内容に基づいて、それに見合った技術や経験を持つ20歳～69歳までの日本国籍を持つ人を採用し、派遣しています。JICA海外協力隊は、青年海外協力隊事業として1965年に発足し、2021年12月現在までの派遣実績国の累計は98カ国です。 ▶派遣実績国はPDFを一括ダウンロードしてP2へ
隊員の多くは派遣国の人々を支援したい気持ちで出発しますが、現地の人々から学ぶこともたくさんあります。これからの日本を考えるきっかけになるかもしれません。
A 派遣前には、自宅で受けていただく「語学事前学習」があり、オンラインで学べる語学教材（e-ラーニング）などを用意しています。また、二本松・駒ヶ根の両訓練所で行われる派遣前訓練の「語学講座」では、語学講師が現地で活動と生活をスムーズに始めるために必要な語学力を身につけるための講座を実施します。
派遣国に赴任してから配属先に着任するまでの間にも、数週間～約１カ月にわたって「現地語学訓練」があります。より実践的な力を養う目的で、派遣前訓練で学んだ言語や現地語を学びます。
▶「語学講座」の詳細はPDFを一括ダウンロードしてP10へ
訓練所では100時間以上の語学講座を受講できます。語学漬けになることで、グンと語学力がつくはずですよ！
A 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、2020年3月に全隊員が一斉帰国しましたが、21年度は少しずつ派遣が再開している国もあります。また集合型の派遣前訓練も一時中止を余儀なくされていましたが、21年度から人数規模を縮小、感染症対策を取りながら再開しています。新型コロナウイルスに限らず、テロや世界情勢の影響によっては、派遣を中断し、国外退避が行われる場合もあります。
訓練所ではコロナ対策委員会が発足し、試行錯誤しながらよりよい環境づくりを行っています。
▶詳しくはPDFを一括ダウンロードしてP10へ
派遣現況はウェブサイトで公開しています。
https://www.jica.go.jp/volunteer/outline/publication/results/jocv.html
A 派遣前訓練に入る前に「1.講座事前学習」や「2.派遣前課題別支援」があり、派遣前訓練中も「3.各種講座」で知識や経験を増やしたり、同じ職種の隊員と情報交換したりすることができます。また、派遣中は技術顧問・技術専門員への「4．活動支援依頼」のほか、現役のJICA海外協力隊員に向けた実践ガイド「5.クロスロード」で情報を得ることができます。
「クロスロード」はバックナンバーもウェブサイトにアップされています。職種や活動の悩み事から料理まで、先輩隊員たちのノウハウが詰まっているので、ぜひ活用してください。
A 健康、安全、生活面のサポートもあります。派遣前には、赴任にあたって必要な健康診断や、予防接種を案内・実施しています。予防接種は、自己手配で接種いただくものと、訓練所で接種いただくものがあります（詳細は合格後にご案内させていただきます）。また、派遣前訓練中に、現地での活動と生活に必要な健康と安全に関する管理意識を養うための講座を実施しています。 派遣中は、看護師免許取得者である「在外健康管理員」が健康に関する相談、病気や医療に関する情報の提供、疾病発生時の対応などを、現地の医療機関や医師と連携しながら行ってくれる国も多くあります。 在外事務所では、「安全対策の情報提供」を行っています。現地の治安状況、犯罪防止や交通安全対策に資する情報を提供するほか、通信連絡手段の確保、必要に応じて住居の防犯対策強化なども実施しています。
派遣前訓練中には、具体的な例をもとにしたケーススタディの講座もあるので、現地での生活がイメージしやすくなると思います。
派遣中は在外事務所の企画調査員にも相談ができます。
A 訓練所までの往復交通費、派遣国の赴任・帰任にかかる旅費はJICAが負担します。住居は派遣国の政府またはJICAが用意します。国や地域によっては住居に警備員がつく場合もあります。訓練期間中の「国内手当(※)」や「現地生活費」（派遣国での生活費で、JICAが、派遣国の住民と同等程度の生活を営むに足る金額を、物価、為替変動などを勘案のうえ、定めています）などの支給もあります。(※)支給要件に合致する場合のみ
派遣中の住まいはホームステイや住居シェア、一人暮らしなど、国や地域の状況によりさまざまです。それぞれの良さがあります。
A 勤務先の承諾が得られれば、現職のまま参加することが可能です。特別な制度としては、学校の教員がその身分を保持したまま参加できる「現職教員特別参加制度」、自治体職員がその身分を保持したまま参加できる「自治体連携」、企業と連携してグローバル人材の育成に貢献するプログラム「JICA海外協力隊（民間連携）」などがあります。 ▶詳しくはPDFを一括ダウンロードしてP30,P32へ
各企業のボランティア休暇制度や、公務休暇制度などを利用して参加する方もいます。また、勤務先に対する現職参加促進費の活用による参加もあります。
A あります。活動先により、勤務時間や休日・長期休暇の日数は違い、朝７時から昼過ぎまでで活動が終了する隊員もいれば、夕方くらいまで活動が続く隊員もいます。あらかじめ申請して現地のJICA事務所の承認があれば、私費で任国外旅行をすることもできます。
休日に任地が同じ隊員同士で情報交換することもあり、そこから共同で活動しようといった話になることもあります。
A 青年海外協力隊事務局では、「１．進路開拓支援」「２．キャリア支援」「３．進学・研修支援」を通じて帰国したみなさんをサポートしています。
派遣国で活動していくうちに、将来進みたい道が変わる隊員も多くいます。そんなときは進路相談カウンセラーや青年海外協力隊相談役に相談してみてください。
Text＆Photo＝ホシカワミナコ（本誌）
