松本 峻(まつもと しゅん)さん 青年海外協力隊

モザンビークの畜産業を担う生徒へ
日本の実践的な技術を通じた支援を

2015.03

協力隊への参加は高校時代からの目標!
大学選びも開発途上国支援に役立つかどうかが基準に。

父が開発途上国を相手に仕事をしていたことが影響し、幼いころから将来は海外で活躍したいと漠然と考えてきました。大学時代には、卒業後すぐに就職するのではなく、人間として一回りも二回りも成長してから社会に出たいという思いもありました。私にとってその2つを満たしてくれるのが青年海外協力隊だったのです。
 大学で専攻した畜産も、途上国の食糧事情に貢献したいと考えてのこと。将来の協力隊への参加に向けて、食糧に深くかかわれる畜産を専攻しました。

語学力と技術力不足に悩みながらも
生徒たちと誠実に向き合った2年間。

私が配属されたのは、モザンビーク共和国中部のマニカ州にある、国立シモイオ農業専門学校。農業コースの教員として、畜産学基礎の授業と実習を担当しました。赴任して間もないころは、同僚の先生たちが話している内容がうまく聞き取れず、作り笑顔でごまかす日々。語学力向上のために必死で勉強を続けましたが、つたない語学力で行う私の授業でも、生徒たちが一生懸命聞いてくれたことが唯一の救いでした。
 そんな生徒たちを将来畜産業に従事できる人材に育てるため、活動で力を入れたのは実践に直結した授業の導入です。モザンビークにあるものを使って畜産技術を向上できるよう気を付けつつ、理論に偏った教科書を補足するために日本の農業高校の教科書を翻訳して使用。同時に、実践力をつけるために実習に多くの時間を充てました。
 例えば、日本に古くから伝わる「頭絡(とうらく)」(注)の技術。1本の縄を、家畜を縛る道具へあっという間に形を変えて見せたとき、生徒たちは手品のようなこの技術に歓声をあげ、自分もできるようになりたいと真剣に取り組んでくれました。
 現場経験の少ない新卒参加だったため、時には実習に失敗することもありました。そのときは、分からないことをそのままにせず、時間をかけて調べた上で、一つひとつ丁寧に対応。この心掛けが実を結び、ゆっくりながらも信頼を得て、1年後には教科を任せてもらえるまでになりました。
 帰国直前の最後の授業。「君たちはこの国の希望だ」と今までの感謝を込めて伝え、生徒たちが「先生もこの国の希望です」と返してくれたときは、涙があふれました。

(注)頭絡(とうらく)…家畜を移動させたり農耕作業を手伝わせたりする際に、家畜を縛って管理するために用いる縄。

JICAボランティアで得たもの

モザンビークの教員経験を日本の学校で生かしたい。経験値と信念をもとに生徒を進路指導。

慣れない土地での生活に苦しんでいるときに助けとなったのは、自分のことを大切に思ってくれている家族や友人の温かさでした。活動で自信を失っていたとき、国際電話で妹に励ましてもらったこともあります。そして、「忙しさで心の安定を失うくらいなら、出世は望まない。人生の軸は家族だ」という現地同僚の言葉は、今も自分の座右の銘として心に刻んでいます。
 帰国後は、モザンビークでの活動を生かして教育現場で働きたいと思うように。海外で働きたいと漠然ながら考えていた派遣前には想像もしていなかった道です。青年海外協力隊での経験が、自分が変わるきっかけになったことは間違いありません。
 教員の資質として必要な人生経験を積みたいと思い、まずは留学支援を行う民間企業で3年間勤務。その後、教員へ転職し、現在は中高一貫校で理科の教師をしています。
 協力隊、民間企業、教職とさまざまな経験を積んだからこそ、進路を決めるスピードは人それぞれであって良いのではないかと思っています。進路の選択で大切なことは、生徒自身が、自分の心が揺さぶられるものを探すこと。そのような信念のもと、生徒一人ひとりの立場にたった進路指導に取り組んでいます。

これからJICAボランティアを目指すみなさんへのメッセージ

誰もがチャレンジできる国際協力。
自分の経験を生かせる分野はきっとある。

モザンビークではポルトガル料理を基本とした料理がよく食べられていて、どれもとてもおいしかったです。
男性隊員はみんな痩せて帰るという協力隊の定説(?)を破り、太って帰ってきたほど。
自炊する機会も多いので、料理をはじめ、身の回りのことは自分でできるようにしておくことをお勧めします。
JICAボランティアは、誰もがチャレンジできる国際協力。
さまざまな分野で国際協力に参加できるのがJICAボランティアの素晴らしさだと思います。
120種類以上の分野でボランティアの募集をしているので、あなたの経験を生かせる内容もきっとあるはず。
2年間の活動を通して、人生を豊かに生きるヒントやこれまで想像もできなかった考え方、
魅力的な仲間たちに出会えます。
少しでもやってみたいと思ったら、迷わず参加することをお勧めします。

この記事のタグ
青年 社会貢献キャリア # 教師 # 民間企業 # 経験を生かす # 畜産 # 新卒