中澤 敦子(なかざわ あつこ)さん

中澤 なかざわ  敦子あつこさん

職  種
青少年活動
派遣国
モンゴル
派遣期間
2004年4月~2007年6月
2007年9月~2008年7月
  • 社会貢献キャリア
  • # 児童指導員 # 青少年活動

実務経験のない私がモンゴルへ。
子どもの自立支援という
ライフワークにたどり着きました。

2015.08

応募のきっかけ

中澤 敦子さん

保育士への転職か海外で働くかで迷う中、
JICA海外協力隊の存在を知り2度目の受験で合格。

私は短大を卒業後、一般企業に就職しましたが、子どものころから夢だった保育士が諦めきれず、通信教育で保育士の資格を取得しました。その一方で、幼少期に見た“エチオピアやカンボジアの子どもたちの飢餓の映像”が記憶に残っており、将来は開発途上国で子どもと関わる活動がしたいとも思っていました。そんなある日、友人から協力隊なら保育士の資格を生かし海外で活動できると聞き、応募を決めましたが、資格は持っていても保育士としての実務経験はなく、悩んだ末に「青少年活動」で応募。1回目の試験は不合格。
2度目の受験に向け、平日は会社で働きながら、休日に児童養護施設でのボランティア活動を始めました。この経験が評価されたのか、2度目の受験で晴れて合格しました。

現地での活動

日本文化の指導など

孤児院の子どもたちの生活を支援。
心の成長に力を注ぐ。

赴任先は、モンゴルの首都ウランバートルの国立孤児院。両親を亡くしたり、親の離婚や貧困が原因で預けられた6~18歳までの子どもたちが100人以上暮らしていました。私の活動は、子どもたちの日常生活のサポートから進路相談、日本語教育と多岐にわたりました。大人と接する機会が少なく、心の成長に不可欠な励ましやサポートが十分に与えられていなかった子どもたちには、自分に自信を持てない子が多く、「これは自分にはできない」と、やる前に諦めてしまう姿をよく見かけました。そこで心掛けたのが、見守っている大人がいることを全身で伝えること。子どもたちに寄り添い、悩みには必ず耳を傾けるようにすると、話しかけてくる子どもが増え、自信を持てるようになってきた姿を見られるようになりました。このことから、「親がいないから支援する」のではなく、「子どもの気持ちに寄り添って活動する」ことの重要性を学びました。
 一方で、孤児院を卒業した子どもたちの進路支援は難しく、安定した職や生活の場所、収入の確保が困難で、中にはホームレスになる子、他国に突然嫁いでしまう子もいました。そこで企業の協力による職場見学や、大学での模擬授業など、子どもたちと社会との接点を増やすさまざまな取り組みを実施。でも、子どもたちが社会に目を向けるきっかけにはなりましたが、現状を変えるには至りませんでした。
 この経験から、状況が厳しければ厳しいほど、子どもたちには自立支援が必要だと思うようになりました。同時に自分の経験不足も痛感し、帰国後も子どもたちの自立支援に関わっていこうと決心しました。

帰国後のキャリア

帰国後は児童指導員として自立支援をサポート。
いつでも子どもたちが安心して戻ってこられる場所を。

帰国後は、自立援助ホームで児童指導員として働いています。自立援助ホームとは、家族から支援を得られない子どもたちが、義務教育終了後に働きながら自立を目指すことをサポートする施設のこと。仕事の内容は、入所している子どもたちの生活や就労の支援です。
 今の仕事の一番のやりがいは、子どもたちが挫折や苦労を乗り越え、少しずつ成長して前に進んでいく瞬間に立ち会えること。また、施設を出て自立した子たちが、数年後、遊びに来てくれたときなどは、この仕事を続けていて本当に良かったなと心から思います。どんな状況でも子どもたちが安心して戻ってこられる場所を維持し、信頼して話せる大人であり続けたいという思いも、仕事を継続するモチベーションになっています。
 モンゴルと日本とでは状況が違いますが、子どもたちが求めているものは共通すると感じています。その気持ちを胸に、今後も児童指導員として子どもの自立に向けたサポートを続けていきたいと思います。

JICA海外協力隊で得たもの

現在の仕事に私を導いてくれたのは、JICA海外協力隊での経験です。モンゴルでは、思うようにいかず、壁にぶつかることも多くありましたが、そうした環境に身を置くことで、「自分のできることは何だろう」、「どうしたら力を発揮できるだろう」と自ら考える力が鍛えられました。その中で、限られた状況下でもベストを尽くす「雑草魂」が身に付いたと思います。この「雑草魂」は、今の仕事をしていくにあたって、私のパワーの源になっています。

限られた状況下でもベストを尽くす「雑草魂」

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

JICA海外協力隊の受験にあたっての私の弱みは、保育士の資格は取得したものの実務経験がなく、専門性を確立できていないことでした。今の自分でも応募ができる枠として「青少年活動」を選び、同時に子どもと接する機会を作るために休日に児童養護施設でボランティアを行うなど経験値を高めていきました。協力隊を志望する方は、専門性や資格がないからと諦めないでください。現地のために、また、自分の未来のためにできることは必ずあります。多くの方にぜひ挑戦していただきたいです。

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