髙橋 哲(たかはし さとし)さん 青年海外協力隊

約10年消防局で働き、満を持して協力隊に。
現職参加制度があったから、思い切って挑戦できた。

2016.12

学生時代から気になっていた協力隊。
消防局で培ったスキルを生かしたい。

学生時代から海外旅行が好きでした。開発途上国に興味があり、青年海外協力隊の存在は知っていましたが、「実務経験がない自分には無理だ」と踏み出せずにいたんです。大学卒業後、横浜市消防局に就職してからも、何度か説明会に参加しました。理系の大学を出ていたため、理数科教師(現:理科教育、数学教育)に応募できるとアドバイスを受けましたが、行くとしたら仕事と関連する職種がいいと思っていました。

満を持して協力隊に参加。
他の人にはない「強み」を手にいれる。

募集要項でようやく防災関連の要請を見つけたときには、すでに勤続10年になろうとしていました。周りは、救助隊一本でやってきた人や、すでに管理職に就いている同期もちらほら。そんな彼らと比べると、業務を幅広く担当してきた自分には強みがないと感じていました。だからこそ、協力隊に参加することで他の人にはない強みを身に付けたいと思い、応募を決意。直属の上司に1年ほど前から協力隊参加の意思を伝え、消防局内での書類審査・面接を経て現職参加を承認してもらうことができました。もし仕事を辞めなければいけなかったら、協力隊への参加は断念していたと思います。

自分が動かなければ何も始まらないと、
アクティブに動き続けた日々。

コスタリカでの私の配属先は、首都からバスで1時間弱のアセリ市にある、「アセリ緊急災害委員会」。緊急時の災害対策や防災強化のための計画立案・実施などを行う組織です。しかし、メンバーは市役所などの本業務に忙しく、防災業務をする時間はほとんどない様子。市民も、防災意識を持つことが大事とは分かっていても、そう頻繁に起こるものではないため、日頃から訓練をする意識は低いようでした。このような状況では、自分が動かなければ何も始まらないと感じ、まずは、教職員や子どもたち、地域コミュニティーを対象に防災指導に取りかかることに。桜や雪といった、コスタリカでは見られない日本文化の紹介などを織り交ぜ、少しでも興味を持ってもらえるよう反応を見ながら工夫を重ねました。活動を始めた当初はスペイン語の会話にとても苦労しましたが、同僚や友人に資料の添削をしてもらうなどサポートしてもらい進めました。また、現地の人と仲良くなるために近所のダンススクールに通い、サルサやメレンゲを楽しく踊れるようになったころには、コミュニケーションもスムーズになりました。

学校での活動では、まず防災指導をさせてほしいと1校ずつ直接電話をして依頼していたのですが、あるときご縁があって校長先生が集まる会議に参加させてもらいました。そこで防災の重要性を説明し、各学校を巡回して防災指導をさせてほしいと掛け合ったことがきっかけになり、それまで不安が先行してなかなか行動できなかったことも、ある程度スムーズに進められるようになりました。

活動終盤には、子どもだけでなく、先生や親も参加する防災イベントを実施。自分としては、もっと地域コミュニティーを巻き込んだ大々的なイベントにしたかったため、悔いが残る部分もあるのですが、実際に学校内の避難経路を自分たちで考えたり、ダンボールなどの廃材を使って校舎の模型を作ったりしながら、約100名の参加者へ防災について知ってもらう場を提供できたことには満足しています。

JICAボランティアで得たもの

帰国後、救急救命士という新たなチャレンジへ。
物事を追求し、深く考える習慣が身に付いた。

何かを伝えたいという思いで行ったものの、結局は現地の人々から多くのことを学んだ2年間でした。コスタリカでの人間関係は、面倒くさいところがありつつも居心地がよく、昔の日本もこうだったんだろうなと思わせてくれ、「消防署は家族」と言っていた日本の先輩方の考え方も分かるようになってきたと感じています。いろんな暮らしぶりや生き方に触れ、笑顔で生きることの大切さも学びました。
 帰国後はすぐに復職し、現在は救急救命士を目指して研修中です。もともと興味はありましたが、コスタリカで救命講習を行ったときに救命に関して知らないことが多いと感じたことがきっかけとなり、挑戦してみようと思いました。
 協力隊に参加して変わったことがあるとするなら、以前は指示されたとおりのことをしていましたが、今はひとつのことを追求して調べて、深く考える習慣が付いたことです。疑問点へのアプローチの仕方が変わったように感じます。救命救急という新しいことに挑戦しているから、余計にそう思うのかもしれません。
 今は救急救命士の資格を取って、救急隊長になることが一番の目標ですが、東京オリンピックもあるので、協力隊の経験をさまざまな場面で生かせればと思っています。

これからJICAボランティアを目指すみなさんへのメッセージ

心強い「現職参加制度」。
公務員の方も、ぜひ挑戦してほしい。

現職参加を希望する場合、職場では賛成の声ばかりではないかもしれませんが、
興味があるならばそのハードルを越えて、絶対に挑戦した方がいいと思います。
私は協力隊に参加して、今まで自分が接したことのないような人たちと出会い、視野を広げることができました。
また、好きな仕事を辞めずに参加し、帰国後すぐに復職できる現職参加制度にはとても感謝しています。
2年間貴重な経験をさせてもらった分、仕事を頑張らなければと、新たなモチベーションにもなっています。

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青年 社会貢献キャリア # 消防士 # 経験を生かす # 現職参加制度