片山 弘朗(かたやま ひろあき)さん

片山 かたやま  弘朗ひろあきさん

職  種
野菜栽培
派遣国
ニカラグア
派遣期間
2013年7月~2015年7月
  • グローバルキャリア
  • # 農業 # 野菜栽培 # 経験を生かす

地球環境を守るため、今やるべきは「農業支援」。
中米の山村での奮闘が、今の仕事につながっている。

2017.06

応募のきっかけ

子どもたちへ種まきの方法を伝えているところ

大学で地球環境保護を学ぶにつれ、
開発途上国への「農業支援」の必要性に気付く。

小さい頃からいつかは自分も世界を見てみたいと思っていました。開発途上国への国際協力に関心が向いたのは、実際にカンボジアで目の当たりにした日本との経済格差がきっかけです。
 大学では農学を専攻し、持続可能な農業について研究していましたが、学びを深めるにつれ、環境保護と農業の相互関係を強く意識し始めるようになりました。
 学んだ知識を国際協力分野で生かしたいという気持ちから、青年海外協力隊を受験。野菜栽培の隊員として合格することができました。

現地での活動

子どもたちに植物の仕組みを説明する片山さん

正解はひとつではない。人や地域が変われば正解も変わる。

赴任先はニカラグア最北部のサン・ホセ・デ・クスマパ市。インフラが未整備の山岳地帯で、自給自足の生活です。農閑期の出稼ぎで生計を立てている貧困地域でもありました。現地の人たちは、十分な栄養を含んだ土壌作りの方法や大切さなどの専門知識を学ぶ機会がほとんどありません。僕は農村部を支援している「ファブレット子供財団クスマパ・センター」に配属され、近隣の小学校23校を巡回しながら子どもたちへ野菜や穀物の育て方を教えたり、学校菜園で収穫した野菜を給食で利用するなど、彼らの栄養改善へつなげる活動を行いました。
 高地条件を生かした作物を栽培することができれば、換金作物として首都で高く売れる可能性があります。そこで、アスパラガスとブドウを中心に、陸稲(おかぼ)(※1)・サツマイモ・エンドウ豆といった作物を、子どもや現地の農家さんと共に試行錯誤しながら栽培しました。今もいくつかの野菜が栽培され続けていると聞き、微力ながらクスマパの農業に貢献できたのではと感じています。
(※1) 畑で栽培される稲のことで、「りくとう」とも呼ばれる。水稲に向かない水条件の土地でも栽培でき、病気に強く栽培に手間がかからないというメリットがある。

帰国後のキャリア

帰国後は世界が相手!総合園芸会社で種子を輸出。

帰国後も農業へ関わっていきたいと思い、横浜植木株式会社へ入社しました。入社2年目の現在は、種苗営業部で野菜種子の営業・貿易業務に携わり、主にラテンアメリカの取引先に野菜種子を輸出しています。海外出張を通して現地の顧客と関わる機会も多いのですが、彼らの母国語で会話ができることは信頼関係につながっています。また、文化的な背景や生活習慣といった面で理解できる部分も多く、例えば先方が待ち合わせ時間になっても来ない、スケジュールが急に変更になる、といったイレギュラーな場面にも動じることなく柔軟に対応でき、ニカラグアでの経験が生きていると感じています。
 これからの目標は、種苗営業部で営業トップになること。部署の先輩方は、知識も経験も僕より格段に上でまだまだ敵わないですが、スペイン語や英語のスキルをさらに磨き、グローバルマーケティングの知識を身に付け、自分にしかない強みを生かして会社に貢献したいと思っています。

JICA海外協力隊で得たもの

活動当初は、現地の人たちの中南米独特のアクセントがなかなか聞き取れず、うまく会話できないことにもどかしさを感じる日々。少なからず自信があった語学の壁にぶつかりました。また、現地の人との時間感覚の違いにも悩まされました。連絡もなく約束をすっぽかされることにうんざりし、なぜ直さないのかと聞いたこともあります。でも、クスマパの野球チームに参加するなど、彼らと共に過ごす時間を重ねるにつれ、次第に気付いたのです。ルーズな時間感覚や、計画性がないと思い込んでいた彼らの行動は、別の視点で見れば、彼らなりの理由や背景があってのことなのだ、と。正解はひとつではない、人や地域が変われば正解は変わる――これが2年間のボランティア活動で得た大きな意識の変化です。

正解はひとつではない

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

2年という長期の活動ですから、挑戦は難しい決断だと思います。不安はたくさんあると思いますし、実を言うと僕も、ボランティア経験を帰国後の就職につなげられるのかが一番の心配事でした。でも、JICA海外協力隊へ参加しようか悩んでいる時点で、行きたい気持ちの方が大きいはず。長い人生の中で協力隊に参加するという道を選び、一歩海外へ踏み出すことで見えてくる景色は、きっと今後の人生の道しるべとなるでしょう。今は開発途上国でもネット環境が整いつつあるので、僻地にいても帰国後のキャリアの準備は十分可能です。この環境で、協力隊へ参加しない理由はないと思う。自分を信じて、自分の気持ちに正直になってみると、自然と答えが出てくると思います。

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