渡邊 良子(わたなべ りょうこ)さん 青年海外協力隊

※派遣名称は派遣当時のものです。

ラオスで知った、人とのつながりと基礎教育の重要性。
その経験が看護教育や助産院開設へと導いてくれた。

2018.04

協力隊として、人に寄り添い人を育てた経験が
自分自身の成長にもつながった。

中学生の頃、TVのドキュメンタリーで見た新生児医療の現場に感動し、助産師の道を志しました。短大卒業後は、地元の総合病院で助産師として勤務。以前から、海外で人の役に立ちたいと思っていたこともあり、青年海外協力隊に応募しました。
 赴任先は、ラオスの郡病院です。要請内容は、病院の母子保健科における医療の質の向上と、「母子保健改善プロジェクト」の一員として郡病院のスタッフと一緒に近隣の村を訪れ、健康診断や母子保健に携わる人たちへの指導を行うことでした。
 ラオスでは一概に看護師といっても、知識も育った環境もさまざまです。なかには、経済的な理由で満足に学校に通えず、数を数えるのが苦手な人もいました。ですから、一律に指導するのではなく相手に寄り添い、絵や図なども用いてその人に合った方法で伝えることを覚えました。実は日本にいた頃は「自分がやった方が早い」と、何でも一人でやってしまうタイプで、人に物を教えたり人を育てたりすることは大の苦手でした。それだけに、ラオスでの活動を通じ、人それぞれの事情や、その人の背後にあるものを鑑みて指導できるようになったことは、私にとって大きな変化だったと思います。

「一人の助産師」から「看護全体」に関心が広がり、帰国後は教育の現場に携わることに。

2年間の活動を通じて実感したのは、基礎教育の重要性でした。そこで帰国後は「人を育てることに携わりながら、自分自身も教育をもっと勉強しよう」と、教育現場に携わることにしました。自分の視野が“1人の助産師としての成長”から、“看護全体のレベルアップ”へと広がるとは、赴任前には想像もしませんでした。
 恩師のお声がけもあり、3年間、母校の看護学校で教員を務めました。指導をしていると、皆と同じように教えても、どうしてもできない学生も出てきます。そんな時、話を聞き、その人の背景にあるものが見えれば、適切なアドバイスができます。きちんと向き合ってコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことの大切さは、ラオスでの経験から学びました。
 また、ラオスでは、人と人とのつながりの温かさを感じていました。近所の人同士が家族のように助け合っています。私自身もよく「困ったことはないか」と電話をもらったり、夕食に誘ってもらったりしました。ところが日本は、技術や医療は進んでいても“人とのつながり”という大事な部分が欠けていると思ったのです。そのことを実感するにつれ、助産師としてお母さん同士がつながる場所を作りたいと強く思うようになりました。

心から信頼できる、温かい居場所づくり。
地域のお母さんたちをつなげる手助けをしたい。

教員としての勤務が一区切りついたのを機に、「もっとお産介助の経験を積みたい」と思い、自然なお産を行っている横浜の助産院「バースあおば」で働き始めました。職場では私が一番年下なのですが、先輩方は本当に色々な経験をされているので、日々とても勉強になります。
 さらに、生まれ育った山梨で「助産院 温〜ぬく〜」を開業しました。地元ではお産ができる場所が大きな総合病院しかなく、お母さんたちは自分のしたいお産や育児の選択肢が制限されています。ですから、彼女たちの心の拠り所になるように、妊娠中のトラブルや育児の心配事について気軽に相談し、出産に向けた身体作りができる場を作りたかったのです。月に数回はベビーマッサージの会を開き、親子で交流できる場を設けています。そのような機会を通じて、人と人が地域でつながっていくのが嬉しいですね。
 今は出産は扱っていませんが、将来的にはここを地域に根ざしたお産ができる場所にするつもりです。ラオスで学んだように、人とのつながりや信頼関係があり、困った時にいつでも駆け込める、温かい場所をつくりたいと思っています。

JICA海外協力隊で得たもの

人のつながりの温かさ

青年海外協力隊としての活動と生活、すべてが良い経験になりました。
待つこと、受け入れること、適応力、相手の立場に立ったコミュニケーションの心得が身に付き、
物事の考え方と人間としての幅が広がりました。
日本の外には、まったく違う世界が広がっています。
日本ほどインフラの整っていない不自由な環境では、助け合いの精神が当たり前に存在しており、
人のつながりの温かさや、ゆったりと心豊かに生きることの大切さを学びました。

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

百聞は一見に如かず。興味を持ったら、ぜひ一歩踏み出してください。
実際に経験することで人としての幅が大きく広がります。
その経験が私のように、思ってもみなかった方向に結び付くかもしれません。
一度きりの人生、貴重な時間を有意義に生かしてくださいね。

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青年 スタートアップキャリア # 助産師 # 経験を生かす