帰国後はU-18女子バレー日本代表監督に。
今ではどの国へ行っても「ホームは地球」と胸を張れる。
任期終了後はスポーツインストラクターとしてトレーニングジムに勤務し、2010年から現在まで、JOC(日本オリンピック委員会)バレーボール専任コーチングディレクターとして「味の素ナショナルトレーニングセンター」にて勤務しています。トップレベル競技者の国際競技力の向上を図る施設のため、コーチとして指導しつつ、代表チームの宿泊の調整業務などをしています。また、日本バレーボール協会でU-18女子バレーボール日本代表チームの監督として、選手指導をしたり、海外での試合への引率を行ったりしています。
日本代表監督として生きているのは、やはりJICA海外協力隊の経験です。世界の様々な場所で大会に参戦する上で、物事を受け入れる力やコミュニケーション能力、ネットワークの築き方、そして選手の能力を引き出すバレーボール指導力はニジェールやチリで培ったものがあるからだと胸を張っていえます。今では「自分のホームは地球」といえるほど、どの国に行っても仲間ができますし、対戦相手だったとしても”世界のバレーをやっている仲間”だと思えるようになりました。選手たちに想定外のことが起きた場合でも、動揺することなく「この想定外を感じられるってありがたい経験だよ」と指導することができています。
今、代表監督として、ひとりの大人として意識していることは、「学んできた経験をどう次のステップに生かしていくのか」ということ。どんなに現役で活躍して、世界一になった選手にも、必ず引退は訪れ、人生は続いていきます。そのときに自分の力で考え、成長していけるような選手を育成していかなければいけません。バレーが人生の頂点ではなく、バレーでの学びを糧に、さらに飛躍していける選手を育てていきたいと考えています。
オリンピックは東京からパリ、ロサンゼルスと、その後も続いていきます。東京オリンピックを経験した選手が将来は指導者になっているかもしれません。私が指導者としてできるのは、ゴールが東京ではなく、スタートラインだという想いが世界中に伝わるようなバレーボールを見せていくことだと思っています。