「教えて!JICA中部」第二回 ベトナム日本人材開発インスティテュート(VJCC)ハイフォン第5期経営塾 来日研修

2022年10月26日

「教えて!JICA中部」第二回

Halo semuanya! (インドネシア語:こんにちは!)

中部センターでインターン中のレオナルドです。今回は、「教えて!JICA中部」シリーズ第二回となるベトナム日本人材開発インスティテュート(VJCC)ハイフォン第5期経営塾の来日研修について報告します。皆さんにさらにJICAの研修について理解していただけたらと思います。それでは、研修の背景について紹介します。

ベトナム「経営塾」の背景

ベトナムのドイモイ政策の市場経済促進にあたって、人材開発を支援するために、JICAはベトナムの外国貿易大学と協力して、日本人材開発インスティテュート(VJCC)(元はベトナム日本人材協力センター)を設立しました。ベトナムの市場経済や裾野産業の開発に貢献するために、JICAは2000年からVJCCを対象とした技術協力プロジェクトを実施しています。現在行われている「VJCCビジネス人材育成・拠点機能強化プロジェクト」では、2016-2022年にかけて、ハノイ市、ホーチミン市、そしてその周辺の工業地域を対象に、産業人材育成、日本型経営知識を備えた産業人材育成、日越経済関係の強化等を目的に実施しています。

日本人材開発インスティテュート(VJCC)が運営しているビジネス人材育成コースのうち、日本型経営知識を備えた産業人材を育成するプログラムが「経営塾」です。経営塾は、ベトナムの経営者・幹部層に対して行わる約10カ月間のプログラムで、企業経営についての実践的な知識を身に着けることが目的です。そのプログラムの一つに来日研修が含まれています。開発途上国の行政官・公共機関等を主に対象とするJICAの研修事業では、研修員のほとんどが民間企業関係者である経営塾の来日研修は、ある意味特殊です。今回、ハイフォン市の経営塾5期生を対象に、JICA中部所管により来日研修が行われました。その来日研修の一部として、私が見学させてもらったベトナム経済地域交流事業のイベントと成果発表を皆さんに紹介します。

ベトナム経済地域交流事業イベント—日越の交流へ

ドアン・マン・グエンさんのブースで

ベトナム経営者と日本企業関係者との交流

ベトナム経営者と日本企業関係者との交流

今回の来日研修のプログラムの一つとして、9月20日、中部地方の企業関係者を対象に、ベトナムのハイフォン市の経済地域についてのビジネスセミナーと交流イベントを行いました。同イベントには、ハイフォン第5期経営塾に参加している20人のベトナム企業経営者・幹部と、名古屋を中心とした中部地方の企業関係者が多数参加しました。セミナーでは、ベトナムとハイフォン市の紹介、ベトナムビジネスの現状、投資のために有益な情報が日本企業向けに説明されました。交流会では、ベトナム経営者たちが通訳を介して、日本企業参加者に会社と商品の紹介をしました。セミナーはとても情報密度が高く、日本企業は興味を持って真剣に発表を聞くする姿が見られました。また、イベントが日本語とベトナム語で実施されているため、とても国際的な雰囲気が漂っていました。一方、交流会では、セミナーとは対照的な雰囲気で、日越の経営者たちが、和やかに、笑いながらやり取りをしていました。

一人のベトナム経営者であるドアン・マン・グエンさんのブースにインタビューしに行くと、笑顔で自分のことを紹介し、パンフレットを渡し、英語を使って一生懸命に自分の会社について説明してくれました。ドアンさんに対して経営塾の感想を聞くと、経営塾で参加したことは良かったと言い、経営塾で得た知識や今回の交流会もとても役に立つと話しました。また、この研修機会を通じて、日本企業から応用できるところを取り入れ、会社の発展につなげたいと言いました。このイベントを通じて、ベトナム経営者も、日本企業側も、お互いのことを知り合い、コネクションを作るのに非常に良い機会だと思いました。

来日研修の成果発表

発表会でのプレゼンの様子

閉講式

成果発表は、経営塾生たちが来日研修で設定したテーマのもとに、気づきや学んだことを共有する場です。グループ形式で皆さんがそれぞれの気づきを発表し、それに対して担当講師がコメントをしました。一人一人が違う方法で自分の気づきを説明しましたが、全体的に皆さんは日本人の礼儀正しさ、おもてなしの心、仕事に対する姿勢などの文化的な側面を評価しました。また、人材育成の仕組み、社会貢献、技術投資、女性の能力の高さなど、様々な日本の良い点が評価されました。成果発表とはいえ、堅苦しい雰囲気ではなく、皆さんはジョークを交えながら自由に発表しました。

成果発表の中で印象的だったのは、研修員の発表に対し、講師が、経営塾生に気づいてほしかったのは、自分たちが実際に応用できる情報や、今まで経営塾で学んだことが日本でどのように実行されているのかであって、まねすることが不可能な日本人の態度や文化的な特徴ではないと伝えたことです。日本の表面的な特徴だけではなく、本質的な部分まで見てほしいと話した時、研修員たちは真剣に耳を傾けていました。その様子は、経営者たる真剣な姿でした。

その後の研修全体を振り返る評価会では、来日研修に対する感想や改善点、経営塾に対する課題を挙げていただきました。最後には、閉講式を執り行い、経営塾生に研修修了証を授与し、経営塾の来日研修が終了しました。

個人感想

「教えて!JICA中部」第二回の記事が終了しました!いかがでしたか?私は少しハイフォン市に行きたくなりました(笑)。

今回の研修を通じて、JICAが民間企業に対しても支援を行っていることを知り、私のJICAの支援のイメージが変わりました。JICAにとって、民間企業は協力者であると思っていましたが、やはり支援対象の開発途上国では、国の発展には欠かせない民間企業に対する支援も重要であることを実感しました。

また、この研修を通じて、日越間のさらなる経済協力を後押しすることが期待できると思います。ベトナムはASEANでGDP成長率2位であり、これまで安定した成長率を維持してきました。更なるベトナム経済の成長が見込まれる中で、ベトナム経営者の育成やネットワーク形成を通じて、日本企業との連携、投資促進や経済成長に貢献できると考えます。長期的な視点で考えると日本にとっても、ベトナムにとっても、産業成長によってベトナムがさらに成長に繋がり、日本式経営の理解や、日本文化の理解を持っているベトナム人が増えることは、日越の経済や社会の関係強化つながると思います。

来日研修は終了しましたが、ベトナムに帰国後は、最後の経営塾プログラムの最終発表会があるそうです。一人一人のベトナム経営塾生がこれから研修の知識を応用して各自のビジネスを通じてベトナム成長の原動力になることを信じ、今回の記事を終わらせます。それでは、次回は名古屋大学で学ぶ長期研修員についての記事をお届けしますので、楽しみにしてください!

報告者
JICA中部 研修業務課 インターン プラタマ レオナルド