教えて関西企業さん!SDGsについて聞いてみましたシリーズ② ~姫路生花卸売市場様(兵庫県姫路市)

2019年10月2日

姫路生花卸売市場株式会社 鍛冶課長

 関西でJICA事業を活用しつつSDGsに取り組まれている企業様の事例を紹介するシリーズ。第二弾となる今回は、姫路生花卸売市場株式会社(以下「姫路生花」)の戦略事業部課長の鍛冶英樹様にお話を伺いました。
 年間を通じて冷涼な気候のベトナム国ラムドン省ダラット市近郊は、ベトナム中部高原にあり避暑地としても知られ、農業改革先行地域として花卉生産が盛んです。同社は現地の花卉農家が高品質な花卉栽培ができるよう、ウィルスフリー苗の育苗技術や生産技術を移転し、国際競争力のある花卉産地を育成することで、農業所得の向上や雇用の創出への貢献を目指した普及・実証事業を実施中です。

どのようにSDGsに取り組まれていますか?  

4人の現地スタッフのうち3名が女性です

 特に意識しているのはSDGs目標5の「ジェンダー平等」です。本事業では、ベトナムのダラット市の花卉トレーニングセンターで日本の技術を用いた菊やカーネーションの育苗を現地スタッフともに行っていますが、その採用や作業の役割分担において、性別ではなく各自の資質ややる気を重要視しています。現地スタッフの採用の際、条件に性別は設定しませんでした。その結果女性3名、男性1名の計4名を採用。女性を優遇するのではなく、性別に関わらず能力のある人に平等に機会を与えることこそが「ジェンダー平等」だと考えています。
 現在のところ事業がスタートして1年半が経ちますが、現地スタッフの定着率は100%。全員20代の若いスタッフですが、4名がチームワークを大切にして協力しあい、時には議論しながら試行錯誤で育苗に携わっている姿はほほえましいです。

自分たちの事業がSDGsにつながっていると感じることはありますか?

現地で指導する鍛冶さん

 ダラット市は高地で涼しく花卉生産の自然環境に大変恵まれた土地です。特に菊生産で有名ですが、その恵まれた自然に委ねているがゆえに病害虫も発生しやすいというリスクを伴います。そしていったん病害虫が発生すると、あっという間に周辺に広がり、生産量は減り収入減となってしまう。
 現地の花卉トレーニングセンターでの技術指導以外に、最近は農家の方から「自分の農場を見に来て、その場で指導して欲しい」という要望もあり、出張指導サービスも始めました。
 同じ菊生産に携わっていても、農家によって工夫している点や抱えている課題はそれぞれ違います。まずは私たちが現地の花卉生産を学び、そこに新しい技術をどのように位置づけ提案していくか、決して押し付けにならない指導をすることを心掛けています。
 特定の農家だけではなく地域の花卉産業全体が盛り上がり安定した生産量と収入量を確保できることは、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」につながりますね。

【画像】SDGsを企業の理念に位置づけなければと難しく構えなくても、日々の業務の中で視点や姿勢を少し意識することで、SDGsへの取り組みの成果を実感しておられることが伝わる印象的なお話でした。