子どもたちの笑顔はたからもの

氏名:森 彩華
隊次:2018年度1次隊
職種:障害児・者支援
任地:ナクル
配属先:パンガニ特別支援学校
出身県:埼玉県

Hongera Mwaka Mpya 2020! ケニアから新年のご挨拶を申し上げます。

わたしは2018年7月に赴任し、8月からケニア中央部ナクルにある公立の特別支援学校で教員として活動しています。学校には5歳から28歳までの知的障害や肢体不自由のある生徒達が毎日約150名通学しており、9つのクラスに分かれて日常生活に必要なスキルや基礎的な学習、理学療法や作業学習、職業訓練などを行っています。そんな配属先でのわたしの主な活動内容は、全9クラスを約1ヶ月半ずつ巡回し担任の先生と一緒に授業を行うことです。配属先に赴任したのは8月。1月が年度始めとなるケニアの学校は最終学期である3学期を迎えようとしていました。そこで3学期は各クラスを訪問し、生徒や先生そして学校全体の様子を観察してみることにしました。これから始まる約1年半の活動をどうしようと考えていたとき、有難いことに「わたしのクラスにはいつ来るの?」と言ってくれる生徒や「一緒に授業をしたい」と話してくれる先生が大勢おり、せっかく出会えたのだから学校にいる全員と活動できたらいいなぁという思いから、特定のクラスを担当するのではなく期間を決めて巡回するという形をとることにしました。配属先ではおおよその年齢や障害特性、学習レベルに応じてクラス分けがされています。支援学校では特に生徒一人ひとりの課題や目標に合わせた授業計画と実践が必要ですが、教員数の不足や高齢化、国や自治体からの予算が少ないなどの理由から、教員のモチベーションに差があったり、教材教具に回せる費用がほぼ無かったりという現状があります。日本でも同じ仕事をしていたわたしは支援学校の教員は想像以上にタフである必要があるということを知っているので「人が足りないから、お金がないからできない」と言いたくなる先生たちの気持ちはわかります。しかもここはケニア。給料の支払いが遅れるだけでなく、慣れているとはいえ洗濯は手洗い。電気や水道は止まる。家事をするにも移動をするにも時間と労力が掛かります。更に高齢ときたら…。でも、だから「できない、やらない」というのではなく、「生徒も先生もみんなで無理せず楽しく、身近にあるものを使ってよりよい教育を」というのをモットーに活動を行ってきました。各クラスで行ってきた活動については写真をご覧ください。どのクラスに行ってもまずは教室内の整理整頓を先生と生徒と一緒に行い、活動に使えるものを洗い出すと同時に生徒が活動しやすい環境を整えます。それから担任の先生と話し合いながら授業計画を立て、一緒に実践していきます。一人で授業を行うのではなく担任の先生と一緒に行うといろんなアイディアが湧いてきて、お互いに良い刺激になります。10歳も20歳も年上の先生たちの知識や経験は豊富で、モチベーションと工夫さえあればわたしなんかより素晴らしい授業がたくさんできるのです。約1ヶ月半の巡回でわたしが出来ることはごくわずかなので、休み時間などにクラスをあちこち覗いたりしアフターフォローができるよう心がけています。

さて、日本から遠く離れたケニアに暮らし始めて早1年5ヶ月。ホームシックにもならず毎日楽しく元気に過ごせているどころか、任期終了が近づいてきて早くも名残惜しい気持ちになっています。ケニアの人たちは本当に温かく、元気で、笑うことが大好き。いつも明るいみなさんに、毎日たくさんのパワーをもらっています。この国にはまだまだいろんな困難があるけれど、強くたくましく、より良く生きたいと願う気持ちは世界中のどこで暮らす人も一緒だなと実感しています。世界中に笑顔で健康に暮らしていける人が増えるように、わたしもがんばります。

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学校中の水道の蛇口に野菜ネットに入れた石鹸をつけて手洗い指導。石鹸を使う習慣を。

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男子だけの職業訓練クラスで0から始めた農業。日差しに負けず、力強く耕しています。

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体型が気になる生徒を集めて休み時間にウォーキング。継続は力なり。

 

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先生と一緒にハンドプリンティング。楽しいね

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配属先から私の活動として要望のあった音楽。初めて触れるピアニカに興味津々です。