案件概要表

1 案件説明

1.1 案件タイトル

和文:ヤンゴン都市圏開発プログラム形成準備調査(都市交通)
英文:Project for Comprehensive Urban Transport Plan of the Greater Yangon(YUTRA)

1.2 業務対象地域

「ヤンゴン都市開発プログラム形成準備調査」が定めるヤンゴン都市圏(784平方キロメートル)および周辺タウンシップ(Thalyin,Hmawbi,Helgu,Htantabin,Twantay,Kyauktan)を含む1,500平方キロメートル。

1.3 協力期間

2012年12月21日から2014年11月28日まで

1.4 相手国機関名

ヤンゴン地域政府(Yangon Regional Government)です。運輸省(Ministry of Transport)、運輸鉄道省(Ministry of Rail Transport)、建設省(Ministry of Construction)など運輸交通政策に関連する中央省庁とも連携してプロジェクトを実施します。

2 背景と目的

2.1 背景

【写真】

(1)進む都市化

ヤンゴン市は、ミャンマー連邦共和国(以下ミャンマー)の旧首都であり、人口約510万人を抱えるミャンマー最大の商業都市です。首都がネピドーに移った今もなお、経済活動の中心地として人口が増加しており、2035年には人口900万人以上になる見込みです。

(2)社会基盤インフラの不足や老朽化

ヤンゴン市は中心市街地に人口が集中する一極集中型の都市構造となっており、町の中心部から幹線道路が放射状に配置されています。しかし、放射状道路の間を結ぶ環状道路は不完全な道路網である上に、老朽化も問題となっています。

(3)自家用車の急増

近年では自動車の輸入規制緩和により自家用車が急増し、現在ラッシュ時には主要な交差点や幹線道路において交通混雑が発生しています。車両保有台数の増加率は毎年約5%とも言われており、このまま対策を取らなければ、2020年までに慢性的な渋滞が生じると予想されています。

(4)低質な公共交通サービス

ヤンゴン市における公共交通は毎日280万人という大量の利用者数にもかかわらずサービスレベルが低く、車両の不十分な維持管理や無秩序な運転によって事故率がきわめて高く、また車内はいつも非常に混雑していることが問題視されています。市内のもう一つの公共交通機関である環状鉄道は平均運行速度15キロメートル/時と遅く、駅から周辺地域へ向かうためのバスなど他交通との連携も不便なため、利用率は3%程度にとどまっています。

(5)早期対策が必要な交通管理

市内の交差点に設置された信号機は、決められた周期によって点灯するタイプが主であり、交通量に応じて、周期の最適化はできていません。また、市内への流入交通が増える一方、駐車場は不足しているため、都心部の道路は路上駐車で溢れ、日々悪化していく交通渋滞を緩和するための早期対策が求められています。
こうした状況を改善する新しい都市構造のあり方が模索されており、その都市の活動を支えるバスや電車等の公共交通、そして道路ネットワークや交通管理の指針となる長期的なビジョン・総合的な都市交通計画を作ることが必要不可欠です。

2.2 目標

効果的かつ持続可能性のある公共交通システムおよび道路ネットワークによって、ヤンゴン都市圏の住民が、都市における様々なサービスへのアクセシビリティとモビリティを確保することを目指します。

2.3 目指す成果

  1. 2035年を目標年次とするヤンゴン都市圏の総合都市交通計画の策定
  2. 優先プロジェクトにかかるF/Sの実施
  3. 総合都市交通計画の推進のための実施体制の提案、能力強化計画の策定
  4. 本調査の活動を通じたミャンマー政府関係機関の能力強化

2.4 活動

本プロジェクトでは、客観的な根拠に基づく将来の都市圏全体の交通計画を策定するため、ヤンゴン地域政府と協力して、パーソントリップ調査、鉄道・バスOD調査、交通速度調査等、様々な角度から交通実態を捉える大規模な交通調査を実施します。その調査結果に基づき、ヤンゴン都市圏の都市交通開発について、2035年を目標年次とする都市交通マスタープランを策定します。併せて、2025年までの中期計画および2018年までの短期計画を作成します。また優先的に実施すべき事業については、フィージビリティスタディーを実施します。さらに、ヤンゴン都市圏の都市交通関連機関にかかる実施体制強化の提言を行うと共に、都市交通計画に関わる技術移転を行います。

2.5 プロジェクトの行程

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