障害児及び家族支援アドバイザー

種別:
個別専門家
活動地域:
全国(拠点:プレトリア)
実施期間:
2021年8月~2023年8月
実施機関:
社会開発省
概要:

南アフリカ政府は、児童の権利に関する条約を1995年に、また2007年に国連の定める障害者権利条約を批准しました。また2015年には障害者権利白書を発表し、「扶助的で持続的な統合された地域生活」への取り組みを重点分野の一つとして掲げ、障害児の権利とともに、家族支援の重要性に言及しました。

しかしながら現実には、多くの障害児・者が、地域からの排除や虐待を受けたり、教育や社会的保護等の公共サービスへのアクセスができない状況にあります。また、常時介護が必要な障害児・者の保護者や家族は、仕事や社会活動のための外出が困難となっており、それが孤立や貧困化につながり障害児・者を含めた家族全員に影響が及ぶような厳しい状況が存在しています。

JICAは2002年から日本での研修を含む技術協力事業を通じ、南アフリカにおける障害者のエンパワメントと障害主流化を促進する取り組みを実施してきました。その経験を通じて、社会開発省とJICAは、(1)障害者が日々の生活の中で直面する課題を、個人の問題ではなく地域全体の問題として捉えること、(2)その問題の解決には、障害者、行政官、地域住民が一緒に取り組むこと、(3)対等な立場で取り組むために、障害に対する人々の意識変革とともに障害当事者をエンパワメントすること、の3点に特に配慮が必要であることを確認し、この内容を2020年に指針としてまとめました。

本専門家は、上述の指針を活用しながら、障害児と家族の抱える問題を地域社会の問題として捉え、地域に根ざした支援サービスの在り方を検討します。まずは、社会開発省が検討に着手しているムプマランガ州及び北ケープ州を皮切りに、障害のある子どもが問題なのではなく、「社会が担うべき役割を家族に任せてしまっている。この状況を変えるには社会が変わり、役割を果たすべき」との意識変革をもって、障害児・者、家族、行政官、地域の人々がともに考えながら、サービスを形成することを目指します。