灌漑農業技術普及支援体制強化計画プロジェクト

  • 種別:技プロ
  • 案件名:灌漑農業技術普及支援体制強化計画プロジェクト
  • 実施地域:全国
  • 協力期間:2007.6〜2012.6
  • 実施機関:農業食糧安全保障協同組合省、ザンジバル農業天然資源省
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研修により導入された代表的な技術(直線植えと手押し除草機)

タンザニアではメイズとコメが最も重要な穀物です。特にコメの需要は年々伸びているものの国内生産では賄いきれず一部を輸入に頼っている状況であり、コメ生産の増大が食料安全保障上の課題となっています。こうした背景から、タンザニア政府は「国家コメ開発戦略」を2009年に策定し、灌漑稲作を中心にコメの増産を図り、2018年には2008年の約2倍に当たる約196万トンのコメを生産することを目標に掲げています。

日本は1970年代から、キリマンジャロ州モシ県における灌漑稲作の発展に貢献してきました。その結果、同県の灌漑地区のコメの生産性はタンザニア全国平均を大きく上回る6t/haを達成することに成功しました。90年代からは、この成果を全国に広げるため、キリマンジャロ農業技術者訓練センター(KilimanjaroAgricultural Training Center:KATC)を拠点として、灌漑技術者・農家の育成やモデル地区の農家に役立つ研修手法の確立とその実施により、コメ生産性の改善を支援してきました。

本技術協力プロジェクトでは、過去の協力により確立された研修を、KATCに加えて新たに4ヶ所の農業研修所でも実施できるようにして、さらに多くのタンザニアの農家がコメの増収を達成することを目指しています。この研修では、研修を受けた農家から周辺の農家へ技術が広がっていくように工夫していることや、低コストで重要な稲作技術(畦畔管理、圃場均平、若苗直線植え、農民自身が作れる簡易除草機の使用など)をパッケージ化していること、また、男女の稲作への従事状況を踏まえて研修参加者の男女比を50:50にするなどジェンダーの視点を取り入れたことが特徴になっています。協力期間の5年間でこの研修を全国44ヶ所の灌漑地区を対象に実施していく計画です。また、ネリカ(注1)(NewRice for Africa:NERICA)を含む改良品種の選定支援を通じて、水稲だけでなく陸稲栽培にも取り組んでいます。

(注1)ネリカ(NERICA)とは、高収量のアジア稲と病気・雑草に強いアフリカ稲を交配することにより開発された稲の総称。

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