2022年度の概況 地域別の概況

東・中央アジアおよびコーカサス

域内の安定確保と自立発展を目指して

2022年度の概況 地域別の概況

東・中央アジアおよびコーカサス

域内の安定確保と自立発展を目指して

地域別事業規模(2022年度) 東・中央アジアおよびコーカサス 協力実施国 9 カ国 事業規模 446 億円

資源や周辺国への依存からの脱却と
国内産業の育成が課題

東・中央アジアおよびコーカサス地域の協力対象国は、ユーラシアの内陸部に位置するモンゴル、中央アジア5カ国とコーカサス3カ国の計9カ国です。

モンゴル、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、ウズベキスタンはエネルギーや鉱物資源に恵まれている一方で、国際価格の変動の影響を受けやすく、資源依存からの脱却が課題となっています。他方、エネルギー資源に乏しいキルギスやタジキスタンでは、ロシアなどへの出稼ぎ労働者による送金がGDPの3分の1近くを占めています。中国からの投資や融資への依存度も高く、国内産業の育成と雇用の創出が急務です。

また、いずれの国もロシアによるウクライナ侵攻により経済成長の先行き不安が強まっており、より自立的で持続的に発展する安定した経済システムの強化が求められています。

ガバナンス強化、産業多角化、
インフラ整備、人材育成を柱にした協力

この地域は、中国とロシアという二大国およびアフガニスタンや中東諸国と国境を接しており、これらの国から政治・経済的な影響を強く受けています。

域内各国の自立と安定が維持されることはユーラシア大陸全体の安定に不可欠です。この認識の下、JICAは法整備などの「ガバナンス強化」、民間主導の経済活動の活性化や中小企業振興などの「産業多角化」、空港や発電所など域内外の連結性の強化に寄与する「インフラ整備」、日本人材開発センターや留学生事業などの「人材育成」の4分野を柱に協力を進めながら、域内諸国間の連携促進にも取り組んでいます。

2022年度は、カザフスタン政府が新設した援助機関(KazAID)と協力覚書を締結し、協調して周辺国向けに「カイゼン研修」を実施しました。ウズベキスタンでは園芸作物のバリューチェーン強化に向けたツーステップローンの供与により、農業関連産業の多様化や輸出力の強化を図りました。モンゴルではサイバーセキュリティ人材の育成、また、アルメニアでは日本との連携強化を通じたハイテク産業の振興と輸出促進を目指して協力を進めています。

そのほか、知日派・親日派の拡大を視野に、学生や有識者らを対象としたJICAチェアをモンゴル、ジョージア、カザフスタン、タジキスタンの主要大学で実施しました。

ウズベキスタン:同国政府は輸出力強化に向けて、綿花に依存した農業からの脱却を目指して多様な園芸作物の栽培を推進しており、JICAも円借款事業を通じて協力中。この農家は低利融資を得て、トマト・レモン・イチゴなどの温室栽培を導入した[写真:渋谷敦志]

(注)事業規模についてはJICA年次報告書2023年度版P.37「地域別事業規模」の注記を参照。なお、四捨五入の関係上、合計が一致しないことがあります。