開発効果を高めるパートナーシップ

市民社会との連携

共創を通じたWin-Winなつながりを

開発効果を高めるパートナーシップ

市民社会との連携

共創を通じたWin-Winなつながりを

市民参加協力

JICAは、国際協力に携わりたいという市民と開発途上国をつなぐため、「市民参加協力」事業に取り組んでいます。特に国内のNGO、地方自治体、大学、民間企業などを市民参加協力事業の主なパートナーとしています。これらのパートナーとの「対話」や「協働事業」を通して、開発途上国の開発課題解決とあわせて、国際協力経験を通じた国内の地域課題の解決を進め、「日本の地域社会の国際化・経済活性化」に貢献することを目指しています。

イラン:バリアフリーまちづくりの推進に向け、イランの障害者を支援するミントの会は、行政の都市整備部門のバリアフリー専門家と障害を持つ当事者リーダーを育成。地元の当事者リーダーを中心に、バリアフリー啓発のビデオを制作し、普及に取り組んだ。繁華街の歩道のバリアフリー整備なども支援し整備が進んでいる[写真:(特非)イランの障害者を支援するミントの会]

NGO等との対話

JICAでは、パートナーとの対話のための機会を複数設けています。2022年度、全国規模の「NGO-JICA協議会」では、日本のODAの透明性や外国人材受入れ・多文化共生社会の構築への取り組みなどについて協議しました。また、横浜、中部など複数の国内機関では「地域協議会」を設置し、若手人材の育成など、各地域に根差したテーマを取り上げ議論しました。特定の課題について学び合い、連携の可能性を模索する「NGO-JICA勉強会」も開催しています。2022年度はウクライナ支援の最新動向やジェンダーに基づく暴力、性的搾取・虐待の保護などについて議論しました。

また、開発途上国27カ国に「NGO-JICAジャパンデスク」を設置し、日本のNGO等に向けて開発途上国のNGO等に関する情報提供やセミナーを開催しています。

協働事業(世界の人びとのためのJICA基金活用事業、草の根技術協力事業)

NGO等の国際協力への参加促進の一環として、開発途上国の地域住民の生計向上・生活改善などを目的とした協働事業を行っています。国際協力活動の経験が少ない団体とは、主にJICAへの寄附金が原資の「世界の人びとのためのJICA基金」を活用した協働事業を、また、「国際協力活動をさらに発展・拡大させたい」と考えるNGO、地方自治体、大学、民間企業などとは、主に「草の根技術協力事業」による協働事業を実施しています。

草の根技術協力事業では、草の根レベルのきめ細やかな協力により、多様化する開発途上国の課題・ニーズに応えています。例えばインドネシアでは、アグリツーリズム推進を目的として道の駅を開設し、農産物の販路を拡大。あわせて隣接する避難施設に貯水槽や非常用電源などを設置して、地域の防災にも貢献しました。

JICAは、NGO等がこうした協働事業を実施するための事業マネジメント研修や組織運営能力強化研修なども実施しています。

日本国内の国際化・地域社会活性化

開発途上国での開発課題解決の経験を生かし、日本国内の国際化や地域社会の活性化にも取り組んでいます。地方自治体との協働事業では、水・防災・まちづくりといった地方自治体の知見・経験を開発途上国の問題解決に活用するだけでなく、開発途上国の研修員との交流を通じて自らの魅力や強みを再発見する、まちおこしやビジネス交流の促進につながるなど、双方向の学びが生まれています。

また、全国の国際交流協会などに「国際協力推進員」を配置し、地域の国際協力活動やグローバル人材の育成に協力しています。さらに、JICA職員を地方自治体に出向させ、地方創生、防災・災害復興のために地方自治体と協働しています。昨今では、地域での外国人との共生やSDGsの推進、国際戦略づくりなどにもJICAのノウハウやネットワークが活用されています。

開発教育

地球ひろば

東京都市ヶ谷の「JICA地球ひろば」、愛知県名古屋市の「なごや地球ひろば」、北海道札幌市の「ほっかいどう地球ひろば」では、「見て、聞いて、さわって」体験できる展示を行っています。国際協力の経験を持つ「地球案内人」から説明を受け、「考え、行動に移す」視点から、開発途上国の現状や地球規模の課題、国際協力を学ぶことができます。また、他のJICA国内拠点でも国際協力に関して幅広く情報提供を行っています。

学校現場での開発教育推進

児童・生徒が世界の開発課題と日本との関係を知り、それを自らの問題としてとらえ、主体的に考える力や、解決に向け行動する力を養うため、JICAは開発教育を推進しています。具体的には、教育委員会、学校関係者などと協力して、教員向けの研修・セミナー、教材の制作・提供、国際協力エッセイコンテスト、国際協力出前講座などを行っています。

2020年度より施行の新学習指導要領で重視されている「持続可能な社会の創り手の育成」の取り組みが進むなか、国際協力の豊富な知見と情報・人材を持つJICAが教育現場に果たす役割はますます大きくなっています。

元協力隊員の中学校教師の指導の下、地域に残る戦災建造物を題材に制作したプロジェクションマッピングを通じて、平和についての想いを生徒たちが地域住民に発信する授業が行われた。写真は、授業後、地域の人々が見守る前で講評を受ける生徒たち。この授業で得た学びをエッセイにした生徒の一人は、JICA主催のエッセイコンテストで最優秀賞を受賞[写真:高田裕行(東大和市立第二中学校)]

JICA海外協力隊の経験を教育現場などに還元

JICAは、帰国したJICA海外協力隊員の経験や能力を社会に還元する取り組みを支援しています。協力隊経験で培った課題解決能力、異文化コミュニケーション力といったスキルは、教育現場をはじめ、起業や地域社会活動などの分野でも発揮されています。JICA海外協力隊に参加した現職の教員の多くは、帰国後に、「世界の問題」を「自分の問題」としてとらえ、行動できる生徒を育てるための授業を実践しています。