2022年度の概況 地域別の概況地域別の概況

南アジア

地域の安定と発展に向け強靭な社会システムの構築を

2022年度の概況 地域別の概況

南アジア

地域の安定と発展に向け強靭な社会システムの構築を

地域別事業規模(2022年度) 南アジア 協力実施国 8 カ国 事業規模 9,873 億円

世界情勢と気候変動の影響を
大きく受ける

南アジア地域は、東南アジアと中東・アフリカをつなぐ地政学的な要衝に位置します。人口は世界の4分の1(約19億人)を占め、うち25歳未満が約半数※1と、消費・労働市場の拡大が著しい地域です。

これら若い力を生かし持続的に経済発展するためには、人材育成やインフラ整備などが必要とされています。一方、世界の絶対的貧困人口の4分の1に及ぶ約1.5億人を抱えており※2、SDGsが目指す包摂的(誰一人取り残さない)かつ強靭で持続可能な社会づくりが求められています。

2022年の地域全体の経済成長率は6.1%※3と鈍化しました。ロシアによるウクライナ侵攻に起因する世界的な物価上昇の影響などを受け、各国で難しい経済運営が続いています。さらに気候変動による自然災害の影響も大きく受けています。特にパキスタンでは大規模な洪水により、甚大な被害が生じました。

包摂的で強靭な社会の構築を
協力の中心に

こうした課題に対応できる包摂的で強靭な社会の構築に向け、JICAは積極的な協力を迅速に展開しています。

2022年度は、スリランカの経済危機を受けて、メイズ(トウモロコシ)種子の緊急調達を行い、同国の食料安全保障などに貢献しました。また、パキスタンの洪水に対応して緊急援助物資を供与したほか、被害状況や復興に必要な支援策に関する国際機関主導の分析に協力しました。

地域全体でも、防災や植林といった気候変動対策を重視し協力を展開しました。さまざまな協力の手法を柔軟に組み合わせ、インフラ整備、投資環境整備、教育などの基礎生活分野の改善、地域の平和と安全の確保、域内・他地域との連結性強化、留学生受入やJICAチェアを通じた人材育成にも取り組みました。

今後、ジェンダー主流化やDXにもより積極的に取り組み、協力をさらに強化します。

また、アフガニスタンに関しては、2021年8月のタリバーンによるカブール制圧以降、日本政府の方針を踏まえ、国際機関などとの連携による幅広い人道ニーズに対する支援を継続・検討しています。

※1 United Nations, “World Population Prospects 2022”のデータを基に算出。
※2 World Bank, “Poverty and Shared Prosperity 2022: Correcting Course”のデータを基に算出。
※3 World Bank, “Global Economic Prospects, January 2023”

パキスタン:洪水の被害を受けた農家を対象に、JICAは実施中の技術協力プロジェクトを通じ、小麦種子を配布。種まきの時期である11月に間に合うよう迅速に手配し、翌年の小麦の収穫量回復に貢献した

(注)事業規模についてはJICA年次報告書2023年度版P.37「地域別事業規模」の注記を参照。なお、四捨五入の関係上、合計が一致しないことがあります。