2022年度の概況 地域別の概況

中南米・カリブ

パートナーシップの深化でさらなる共創を目指す

2022年度の概況 地域別の概況

中南米・カリブ

パートナーシップの深化でさらなる共創を目指す

地域別事業規模(2022年度) 中南米・カリブ 協力実施国 30 カ国 事業規模 1,785 億円

地域共通の開発課題と新たなニーズ

中南米・カリブ地域は33カ国、総人口6.5億人※1を有し、GDPは5.4兆ドル超※2(ASEANの約1.8倍※3)です。広大な国土を持ち、食料や鉱物資源の輸出国であるメキシコやブラジル、小国ながら環境への取り組みで世界をリードするコスタリカ、観光業が盛んなカリブ諸国などさまざまな国がある一方、多くの国が共通する言語や文化を有しています。

日本とは自由、民主主義といった普遍的価値を共有するだけでなく、213万人※4を超える日系人をはじめ、歴史的にも強い結びつきがあります。地理的にも太平洋を挟んだ隣人であるほか、多発する災害など共通する課題に共に取り組む重要なパートナーです。

域内では地震や火山噴火、ハリケーンなどの自然災害の被害を受けやすい国や、治安や非正規移民などの問題を抱える国が多いほか、地域全体の所得水準は高いものの域内・各国内の格差拡大も共通課題となっています。さらに高齢化社会への対応やDXの導入、スタートアップ・エコシステムの構築など、新たな協力ニーズも生まれています。

多様なアクターと共に開発課題に挑む

JICAはこの地域に対し、安定的で強靭な社会・経済開発、貿易・投資などを通じた経済発展を一層促進するための環境整備のほか、防災や気候変動対策を含む地球規模課題の解決に向けた協力を展開しています。また、知日派人材の育成や日系社会との連携強化も進めています。

2022年度はパナマの都市交通網整備事業、コスタリカの金融包摂事業など、域内での有償資金協力承諾額が過去最大になりました。また、カリブ共同体(CARICOM)、太平洋同盟(メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ)など域内の開発パートナーと共に地域の共通課題に取り組んでいます。中米統合機構(SICA)と連携した中米物流・ロジスティクスに関する協力などのほか、ブラジルやメキシコなどと南南・三角協力も推進しました。

さらに、米国国際開発庁(USAID)とは、グアテマラでの非正規移民問題の根本原因の緩和に向け連携することに合意しました。米州開発銀行(IDB)とは、質の高いインフラ、防災、保健分野での協調融資スキームによる協力や、革新的アイデアを持つ日本のスタートアップ企業に対し当地域での展開を支援して開発課題解決を目指す「TSUBASA」プログラムに取り組んでいます。支援先として採択され、すでに現地進出した企業もあります。2022年度は新たに11社が採択されました。

※1 World Bank Group, DataBank Microdata Data Catalog(2021)
※2、3 International Monetary Fund, World Economic Outlook Database(2022)
※4 外務省、パンフレット「日本と中南米をつなぐ日系人」。

セントルシア:同国では自然災害が多く、災害時の避難や復興を支える交通インフラの整備が喫緊の課題。JICAは首都と国際空港を結ぶカルデサック橋の架け替えに協力している

(注)中米・カリブ地域については事業規模1億円以上の国のみ国名を表記。事業規模についてはJICA年次報告書2023年版P.37「地域別事業規模」の注記を参照。なお、四捨五入の関係上、合計が一致しないことがあります。