原 小枝(はら さえ)さん 青年海外協力隊

やるべきことを自ら見つけて形にすること

2014.07

希望の会社だったのにパソコン漬けの毎日。
悩みが募ったある日、協力隊の募集と出会う。

大学を卒業後、自分の希望する会社に就職したものの、毎日パソコンと向き合う日々。これが自分のしたかった仕事なのだろうか?と悩み始めていたある日、青年海外協力隊の募集を見つけました。開発途上国で仕事や生活をすることで何か見えてくるのではないかと思い、応募することを決意しました。
 合格が決まってから職場へ打ち明けたため、「相談してほしかった」と言われてしまい、今思えば少し反省しています。一方で、友人たちからは、「小枝らしい選択だね」と受け止めてもらえ、特に家族からは参加を応援してもらっていたので合格をとても喜んでもらえました。

家庭菜園用の調査風景

現地の人々の健康を守るために始めた家庭菜園。
村の一員になりきって、積極的に活動した。

派遣先のパナマでは、JICAが行う栄養プロジェクトの一員として、村の保健所で活動しました。プロジェクトの傍ら、村人の健康増進のために自分にできることはないか積極的に考え、気付いたのは、現地の人々が野菜をあまり食べないこと。偏った食生活のため、生活習慣病にかかる人がたくさんいたのです。
 そこで、村の政府職員の助けも借りながら、地域の貧困層の方々への普及を目的とした家庭菜園を開始しました。初めは無関心だった村人も、私がトマトやナスを作っていると次第に興味を示すようになり、少しずつ家庭菜園が広まっていきました。
 家庭菜園でできた野菜を使ったレシピを考える料理大会も開催。最初は、なじみのない野菜を使ってレシピを考えることに現地の人々も戸惑い気味でしたが、最終的には素晴らしいレシピを編み出してくれるようになりました。そんな皆さんの姿を見るのが、本当にうれしかったですね。
 他にも、子どもたちとヨサコイソーランを踊ったり、町のゴミ拾いをしたり、地域住民の肥満対策としてウォーキングをしたり、私も村の一員になりきってさまざまな活動を展開しました。
 とはいえ、日々の活動の中では、さまざまな苦労がありました。例えば、一生懸命考えた企画に参加者が集まらなかったり、同僚の栄養士の協力を得るまでに時間がかかったりと、その時々でいろいろなことに悩んでいました。そんなときは友達と村のお祭りに行ったり、神父さんのところにギターを習いに通ったり、子どもたちと遊んだりして気分転換していました。結局、最後に私を支えてくれたのは、村の人たち。私が完璧ではなかったからこそ、現地の人にたくさん助けてもらえたと思っています。

JICAボランティアで得たもの

子どもたちに関わる仕事がしたい。
資格を取得し、キャリアを生かした活動を展開。

青年海外協力隊へ参加したことで、何もないところから自分がやるべきことを見いだして、形にするという経験を積めたことは大きな自信につながりました。また、現地の人々からも、たくさんのことを教えられました。まったく異なる文化を持つ私を受け入れてくれて、彼らと一緒に笑ったり打ち解けることで、“人間づきあい”の大切さを彼らから学び、人間がより好きになりました。
 活動の中で子どもたちと関わることが多かったのですが、彼らの成長を見つめる中で、帰国後も子どもに関わる仕事をしたいと思うように。そして、帰国後も栄養改善分野で活動していくためには、栄養士の資格が必要と判断し、栄養関連の短期大学を社会人枠で受験、2年間栄養学を勉強しました。
 短大を卒業して無事栄養士の資格を取得した後、それを生かして現在、公立保育園の栄養士として働いています。また、パナマでの自らの体験や活動について学校で話す「出前講座」も数多く行っています。

これからJICAボランティアを目指すみなさんへのメッセージ

たとえ特別なものは何もなくても、
頑張ろうという気持ちさえあれば大丈夫。

特別な資格や知識がないほど、何かやらなければという思いは強くなるものです。
私自身、体力と精神力と好奇心以外、特別なものはなかったのですが、
振り返るとそれが良かったのかなと思います。
何事もマイナスに考えず、落ち込むときは思いっきり落ち込む。
あとは周囲の人に頼って自分なりに精一杯頑張ろうという気持ちさえあれば、大丈夫。心配はいりません!

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青年 社会貢献キャリア # 栄養士