宇井 美佳(うい みか)さん

宇井 う い 美佳みかさん

職  種
体育
派遣国
ジャマイカ
派遣期間
2011年10月~2013年10月
  • グローバルキャリア
  • # スポーツ # 新卒

陸上大国なのに、教科としての体育に対する
価値意識が低い現実。体育の授業を通して、
スポーツの可能性を伝えたい!

2015.03

応募のきっかけ

宇井 美佳さん

企業の最終面接とJICA海外協力隊の面接が同じ日に!
悩んだ末に海外への夢に挑戦。

以前、カナダへ留学した経験から、将来は海外で働きたいと思っていました。そして大学時代、就職活動と並行して青年海外協力隊に応募していたところ、なんと企業の最終面接と協力隊の2次面接が同じ日に!悩んだ末に、やはり海外への夢が捨てきれず、挑戦することを決めました。
 ところが一般企業への就職をやめて協力隊への参加を決めたことで、周囲からは「なぜ今、行くの?」という疑問や反対意見を投げかけられ、自信をなくしていました。そんな私を見て母が一言。「私も若いころ協力隊の試験を受けたけど合格できなかった。せっかく合格したのだから、しっかり頑張ってらっしゃい」。母が過去に受験していた事実にはびっくりしましたが、この言葉に背中を押されて前向きになれました。

現地での活動

水泳クラスの生徒たち

陸上大国ジャマイカの厳しい現実。
障害を持つ生徒にもスポーツとの出会いを。

赴任先は、ジャマイカの西端に位置する地方都市サブラマ。海辺の町にある「ランダイロ特別支援学校」で体育隊員として活動しました。知的障害者にとってスポーツは、健康の維持・増進以外にも、協力・協同の経験を通じ、対人関係力の向上などさまざまな効果が期待できます。また、現地で増えてきていた肥満や生活習慣病への予防にもつながります。そこで、障害者スポーツの活性化、ジャマイカ人教師の指導力向上に力を注ぐことにしました。
 ジャマイカといえば陸上大国。体育が盛んなイメージがあります。しかし、学校教育においては、手工芸や木工など直接お金を稼ぐ手段になる科目に比べて体育の優先順位は低く、体育の授業を行う必要性すら感じていない教師もいました。
 そして、派遣後まもなくして直面した問題が、現地の教師たちの援助慣れ。配属先の学校にとって私は4人目のJICA海外協力隊であり、「体育の授業=日本人ボランティアの仕事」という認識だったのです。日本人の私にほぼ丸投げの状態では、ジャマイカ人教師の力にならない。同僚や校長先生に相談し、心を鬼にして徐々に体育の授業からは距離を置くようにしました。
 代わりに2年目からは、これまでの隊員が指導してこなかった新しい種目の普及を目指し、体操と水泳の指導へ切り替え。生徒のモチベーションを上げるため、知的障害のある人たちのための競技会「スペシャル・オリンピックス」(※1)への参加を目指しました。ちょうど陸上のジャマイカ代表として活躍している選手が学校の卒業生であったため、彼を目標に指導。最終的に国内大会まで出場することができ、開会式でデモンストレーションを行うなどの成果を残すことができました。
(※1) スペシャル・オリンピックスとは、知的障害のある人たちに様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織です。

帰国後のキャリア

宇井 美佳さん

スポーツを通じて高まった国際協力への思い。
専門性を高めるために大学院への進学を決断。

帰国したら就職しようと考えていた時期もありましたが、派遣中に感じていた「スポーツを通じた国際協力」への思いは、時が経っても変わることはありませんでした。まずは自分の専門性を高める必要性があると感じ、障害者スポーツ支援に力を入れている大学院へ進学。現在は、障害者のための体育教育や健康についての研究を行っています。
 ジャマイカで携わったスペシャル・オリンピックスとの関係は、帰国後も継続中。「スペシャル・オリンピックス日本・東京」の子どもたちに、冬はフィギュアスケート、夏は体操を教えています。同時にこの活動を通じて得た経験を、現在の自身の研究に生かしています。

JICA海外協力隊で得たもの

青年海外協力隊として、ジャマイカで多くの仲間に出会えたことはかけがえのない思い出です。そして、ジャマイカ人から日本人の丁寧さや確実性を評価してもらえ、日本の素晴らしさもあらためて発見することができました。

大切な仲間

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

青年海外協力隊に参加するタイミングは人それぞれですが、私のように新卒で参加を検討している人は、ぜひその若さとエネルギーを生かして活動してほしいと思います。経験が少ないため苦労することも多いですが、私はその分、フットワークの軽さをバネに熱心に動き回って活動しました。帰国後の進路についても、ある程度のイメージを持って参加することをお勧めします。

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