西村 梨沙(にしむら りさ)さん

西村 にしむら  梨沙りささん

職  種
幼児教育
派遣国
シリア/ヨルダン
派遣期間
2009年6月~2011年4月
2013年4月~2013年10月
  • グローバルキャリア
  • # NPO # 保育士 # リピーター

保育士として海外へ挑戦。
シリアへの想いを胸に「国際協力」で生きる。

2015.08

応募のきっかけ

西村 梨沙さん

2度目の受験でJICA海外協力隊に合格。
不安だったシリアへの派遣も訓練を通じ解消。

保育士として働き始めて3年が経ったころ、「このままでいいのかな」と思うようになりました。中学生のころに憧れていた青年海外協力隊のことが頭に浮かんで、幼児教育の職種で受験。結果は不合格でしたが、面接試験会場で出会った応募者の方々が、皆さん目的意識を持ったすてきな人たちで、「私もこの人たちのように活動したい」と強く感じ、2度目の挑戦で無事に合格することができました。
 派遣国はシリア。中東に行くことには正直不安もありましたが、派遣前訓練で仲間と励まし合いながらアラビア語を特訓し、中東の文化や現地の安全管理などを学ぶ中で、不安も少しずつ和らいでいきました。

現地での活動

シリアの幼稚園の様子

シリアの幼稚園に「遊びを通した学び」を導入。
日本の幼稚園とも交流の機会を設けて相互理解を促進。

シリアでの赴任先は、タルトゥース県の幼稚園。私が派遣された目的は、「遊びを通した学び」の導入でした。シリアでは、「幼稚園は小学校入学までに勉強させるところ」という意識が強く、子どもたちは登園したらずっと机に座って勉強です。自ら進んで学ぶことの楽しさや大切さを伝えようと、「遊びの部屋」を企画しました。子どもたちには好評でしたが、新しいアイデアはすぐには理解されず、現場の先生の反応が冷ややかなときもありました。それでも子どもたちが工夫して遊び、自分たちで考えながら友達と関わる姿を見て、先生方も徐々にその必要性を認めてくれるようになりました。子どもたちと同じ目線で遊び、触れ合うことで、子どもたちの新しい側面を見つけることができたようです。私の帰国後も、この幼稚園で「遊びの部屋」が活用されていることがとてもうれしいです。
 また、同僚の先生方は、仕事以外でも食事に招いてくれるなど家族ぐるみで付き合ってくれ、いつも温かく優しく見守ってくれるお母さんのような同僚もできました。心と心の交流を重ねることで家族のような絆が生まれ、派遣前に抱いていたシリアのイメージは大きく変わり、シリアの人たちが大好きになりました。
 シリアの良さを広めるため、日本の幼稚園との交流を始め、ビデオレターや絵の交換などで、子ども同士が国を超えて楽しく交流できるよう心掛けました。そうすることで、相手の国を身近に感じ、好きになってくれればと思ったのです。シリアの園長先生にいただいた「友達—日本とシリアは手を取り合う仲間—」のメッセージには、胸がいっぱいになりました。
 ところが、シリアでの内戦の勃発により、任期を2ヵ月残して日本に帰ることに。家族のように思っていた人々との突然の別れに、胸が張り裂けるようでした。
 帰国後はまた保育士として働き始めましたが、JICAによるヨルダンでのシリア難民支援の活動を知り、半年間の支援活動に参加することに。行く前は「大好きだったシリアの人々の全く違った姿を見ることになるのでは?」という不安もありましたが、難民になっても変わらず温かいシリアの人たちに触れることができました。1度目の活動だけでは見えなかったシリアを知ることができ、行って良かったと思っています。

帰国後のキャリア

JICA海外協力隊の終了後もシリア難民支援の活動に参加。
帰国後はアジアの子どもたちの自立支援へ。

ヨルダンから帰国後は、シリア難民の支援をしているNPO法人に就職。1年ほどイラクで活動した後に帰国し、今は幼児教育の経験を生かして、アジアの子どもたちの教育や自立支援を行うNPO法人のスタッフとして働いています。
 異なる国や地域の状況を知り、新しい価値観を学べたらと感じています。将来的にはシリアの復興支援に参加したいです。 現地で復興支援が始まったときに少しでも早く駆け付けられるよう、現在の仕事を通じて、語学やマネジメント、さらには広報などのスキルを磨いていくつもりです。

JICA海外協力隊で得たもの

JICA海外協力隊を経験して、自分自身が大きく変わりました。一番の変化は目標に向かって進み、行動したからこそ得られる喜びを実感できたことです。また、漠然としたイメージしか持っていなかったシリアが、実はとても素朴で温かい国であることを知りました。自分が感じたシリアの良さを多くの人に伝えるため、国際協力の仕事がしたいと考えるようになったのです。

行動したからこそ得られる喜び

これからJICA海外協力隊を目指すみなさんへのメッセージ

迷っているなら、ぜひ一歩踏み出すことをお勧めします。派遣先での経験はもちろん、受験すること自体も、大きなきっかけや転機につながります。私自身、これまでの人生では出会わなかった人たちと出会い、たくさんの刺激を受けました。一歩を踏み出した先には、見たことのない世界が広がっています。ぜひ新しい世界にチャレンジしてみてください。

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