有償資金協力「地方電化事業(フェーズ1/フェーズ2)」

背景と目的

ブータンは豊富な水資源を利用した水力発電により十分な電力を発電している一方で、総人口の約70%が生活する地方農村部の世帯電化率は低く(54%(2008年))、地方農村部と都市部の間での生活水準の格差が課題となっています。これら格差の是正をめざして、2008年の民主化と共に発足した新政府において、第10次5ヵ年計画(2008年7月〜2013年6月)の期間中に全世帯電化を達成することを公約し、地方の電化促進を開発課題の一つとして掲げました。これに対し、JICAは開発調査「地方電化マスタープラン(2005年度)」の作成に協力し、またこれら調査結果に基づいて、2007年度にフェーズ1事業である「地方電化事業」に対する円借款として約35.76億円を供与、加えて2011年度には、事業対象地域の更なる拡大のため、フェーズ2事業に対する円借款として約21.87億円を供与しました。また、上記マスタープランを基に、ADB及びオーストリア政府も地方電化事業を継続的に支援しており、電化率100%を目指しています。

事業概要

【画像】

ブータンの地方農村部において配電網の整備等を行うことにより、未電化世帯の電力アクセスの改善を図り、もって貧困度の高い地方農村部住民の生活環境の改善、地方農村部の経済・社会活動の活性化及び気候変動の緩和に貢献します(事業スコープ:配電網の新設・改修、コンサルティングサービス)。

【E/N署名日】
2007年4月24日(フェーズ1)、2011年6月23日(フェーズ2)
【E/N金額】
35.76億円(フェーズ1)、21.87億円(フェーズ2)
【対象地域】
14県(Bumthang, Chukha, Dagana, Haa, Paro, Monggar, Samtse, Trashiyangtse, Trongsa, Tsirang, Pemagatshel, Punakha, Sarpang and Wangdue-Phodrang)
【事業効果】
フェーズ1では約2,390kmの配電網整備により、15,322世帯の電化を実現することで、世帯電化率83.9%を目標とする(本事業による寄与分は17.4%)。フェーズ2では、約1,013kmの配電網整備により、3,728世帯の電化を実現することで、世帯電化率100%を目標としています(本事業による貢献は4.2%)。
【実施機関】
経済省再生可能エネルギー局、ブータン電力公社(BPC)

事業ハイライト

現在までに一部の県を除いて全て工事は終了しており、当初目標を超えた15,365世帯の電化を達成しました。唯一残ったHaa県での土木工事に遅延が見られますが、同地域は5000m級の山間に囲まれているために冬季の積雪や雨期の降雨のために道路の通行が制限されることから、比較的時間を要していますが、2014年度内には完工される見込みです。