コンゴ民主共和国(以下、コンゴ(民))は、90年代から続く紛争の影響により、国土の治安の回復・確保が国家の最優先課題となっている。コンゴ(民)国家警察(以下国家警察)は、複数の反政府武装勢力の統合も経て現在に至っており、その多くは警察としての基礎的な知識を身につける機会もなく職務に就いている。それはすなわち、昨日まで銃器を手に市民を攻撃することもためらわなかった者が、ある日から突然、肩書は警察官となることを意味する。
国家警察の人材育成は、こうした直接的な治安要因(警察官自身が市民の生活を脅かす)を取り除き、また国家全体の治安回復・維持を担う組織を育成するという観点から、コンゴ民の発展にとり必要不可欠である。この観点から、JICAは国連コンゴ(民)安定化ミッション(MONUSCO)及び国連開発計画(UNDP)と共同で、首都近郊、及び紛争の続く東部でも警察に対する研修実施を支援している。
2011−2013年度は、3年間で計2,500名に対する長期基礎研修(6ヵ月)に加え、将来的に国家警察が自ら研修を実施する能力を体得できるよう、教官研修(3年間で60名)にも取り組んでいる。なお、2013年度末には、JICA研修受講者は2万人を超え、全体の2割以上(警官の5人に1人はJICA研修受講者)を占める見込みである。