キャリアインタビュー 第5弾!

2023年4月21日

JICAで働くスタッフは、そもそもなぜJICAに入り、どのようにして現在に至り、何を思って働いているのでしょうか?将来国際協力を目指す方への参考に、インターンの猪原が突撃インタビューして参りました!今回は第5弾。JICA筑波の連携推進課長(2023年3月時点*)の石沢さんにお話しを伺いました。 
インタビュー中も笑いの絶えない石沢さんでしたが、仕事への不安から、ニューヨークのど真ん中、グランドセントラル駅で大泣きした過去も明らかに…
 *石沢さんは、2023年4月よりJICA中部の市民参加協力課に所属。

~大学での学びとJICAに入構するまで~ 

◆なぜJICAに入構されたのでしょうか?

今の若い人達に比べれば戦後に近い世代なので、学校で沖縄戦や原爆などについて勉強したり、本を読んだりしていました。小さい頃の自分にとって、「各国の政治家(大統領とか首相)は、トップなんだから頭がいいに違いない。でも、世界の頭のいい大人が集まって、絶対的に悪いことだとわかる多くの人を殺すこと『戦争』を、なぜやめられないのか?」というのは、とても素朴な疑問でした。そこから国連に興味を持つようになり、大学では法学部で、国際法や国連などについて勉強しました。
国際協力にも興味を持つようになり、JICAの説明会に参加しました。説明会では、JICAスタッフの仕事は、専門家などによる技術協力(表舞台)を、裏方として、途上国の要請や現場の状況をふまえてコーディネートする仕事だ、といった説明がありました。もともと私は、表に立つより裏方が得意と思っていたので、JICAの仕事は自分に向いていると思ったんです。
大学院に進学後、1年の留年を経て、JICAに採用いただきました。実は、2年の時に他の企業を受けて、そこに就職を決めようとしたのですが、その企業の人から「本当にここでいいの?悩んでいるなら話しにおいで」と言われ、色々話をするうちに、その方から「あなたはJICAを受けた方がいいと思う」と言っていただき留年を決断。そして一年後、JICAを受け直し、ありがたいことに採用していただきました!

~JICA入構後のキャリア~

◆JICA入構後はどのような業務に携わられましたか?

JICAに入構して20年が経ちますが、実は、JICA外での経験が半分近くを占めています。
入構後、人事部と無償資金協力調査部の保健医療分野を担当する課で、それぞれ約2年半ずつ勤務し、その後、JICAの海外長期研修でWFP(国連世界食糧計画)インド事務所で経験を積みました。インドで約2年間頑張った後、農業開発協力部で、技術協力プロジェクトの事業に携わりました。保健分野は「病気が良くなる」「健康」といった共通の目的があるのに対し、農村開発では、いろいろな利害が絡み合う難しさを実感しました。
そこでの勤務が3年目になる頃、外務省 国連代表部への出向が決まりました。実は、私は留学経験がなく、国際会議で議論を戦わせる自信もなかったので、このような出向は断ったはずなのですが…。ニューヨークでの前任者からの引継ぎ最終日には、自分にできる業務とは思えず、グランドセントラル駅で前任者に「帰らないでください」と言いながら大泣きしました。それでもなんとか約2年間、国連代表部で頑張り、会議が「生き物」であることを体感しました。その時の経験は、その後の(特に途上国での)会議等にも役立っています。
帰国後は、無償資金協力部と企画部援助協調課で勤務したのち、岡山大学に出向。約3年間、同大学の国際センターで留学プログラムの充実や授業を実施しました。ここまでで、研修・出向など、外の機関での勤務を3度、合計で約7年経験しました。JICAにいながらも、さまざまな経験をさせていただきましたが、目まぐるしい日々でもありました。

広尾センター市民参加協力促進課(現在の広報部地球ひろば推進課)勤務時
左側が石沢さん
右側は、私のインターンシップの担当をしてくださった東京センター市民参加協力第二課の小林さんです!(4月より人間開発部に所属)

その後、広尾センター市民参加協力促進課(現在の広報部地球ひろば推進課)で勤務。全国の開発教育支援や市民参加を取りまとめる業務を行いました。実は、小中学生の時には教員になることにあこがれていたのですが、「自分が生徒なら、先生からは世界や世の中のしくみをいろいろ教えてほしい」と思い、自分自身いろいろな経験を積もうと、卒業後すぐに先生、という道は選びませんでした。そのため、学校教育に関われるここでの勤務は特に嬉しかったです。また、それまでの部署での勤務は割と短かったのですが、「できるだけ長くいたい」と要望し、4年間、国際理解教育/開発教育関連の業務に携わることができ、大変やりがいがありました。

※補足:広報室地球ひろば推進課勤務時に、文部科学省国立教育政策研究所との共同調査「グローバル化時代の国際教育のあり方国際比較調査」を現在のTIC市民参加協力第一課とともに実施しました。調査結果はJICA地球ひろばのHPに掲載されています。

ガーナの学校での活動の様子

その後、ガーナ事務所に赴任、実はこれが最初のJICA在外事務所での勤務でした。ここでも教育分野に関わらせていただき、英語圏初、「みんなの学校」のガーナでの立ち上げの一部に関わることができました。現在(2023年3月)はJICA筑波で連携推進課長を務め、自治体や大学他、様々な団体との連携等に関わっています。

~JICAでの業務と仕事の魅力~    

◆日々の業務において、どのようなことを心掛けていらっしゃいますか?

単に、「人との信頼関係」を築くだけでなく、「JICAのツールを正しく使いながら、相手が求めている成果をどう出していくか」ということを意識しながら業務を行っています。また、自治体等の団体だけでは難しいことを、JICAが関わることを通じて実現していくために、「JICAとしてどのように連携をして取り組むか」を考えながら話をし、アイデアを出すよう心掛けています。JICAだけでなく、外部への出向を沢山してきたからこそ、色々な引き出しを持つことができたので、それを活かして業務に携わっています。これまでの自分の経験や人脈などを活かせるというのも、この仕事が楽しい理由の一つです。
  
  
報告者より…
石沢さんへのインタビューはいかがだったでしょうか?
JICAを代表して様々な組織へ出向し、自身の不安や現地での課題を乗り越えて活躍されているのがとても印象的でした。また、これまでの経験や人脈等をどのように活かして、事業の成果を最大化することができるのかを考えながら仕事に向き合われている姿にも感銘を受けました。
JICA一筋で沢山の経験をされてきた第4弾の柴田さん・今回の石沢さんに共通していたのは、「困難なことを乗り超えた先の喜びを糧に、国際協力に携わっている」ということです。常に他者を想いながら国際協力に関わるお二人のストーリーは、JICA入構後のキャリア形成を考える際の参考にもなると思います。

市民参加協力第二課 猪原彩美(インターン)