キャリアインタビュー 第1弾!

2023年3月15日

JICAで働くスタッフは、そもそもなぜJICAに入り、どのようにして現在に至り、何を思って働いているのでしょうか?将来国際協力を目指す方への参考に、インターンの猪原が突撃インタビューして参りました!今回は記念すべき第1弾。JICA東京、市民参加協力第二課で働く池上さんのお話です。当時働いていた民間企業で、フィリピンに勤務することになった池上さん。日本に戻るよう辞令が出たものの、フィリピンが楽しすぎて、仕事を辞めてでも絶対に帰らないと決めていました。 なぜ今JICA東京に…?

大学時代からJICA入構まで    

◆国際協力に興味を持ったきっかけは?   
大学1年生の夏休みに初めてカンボジアに行ったとき、途上国はとても活気があって楽しいなと思い、ハマってしまいました。それからは、夏休みや春休みのためにアルバイトをして途上国に行くということを繰り返していて、ケニアや東南アジアの国々を周遊しました。途上国にいると、普通に子どもがお店の前で「お金ちょうだい」と言っていたり、赤ちゃんを抱えたお母さんがショッピングモールの前で座っているんです。そういうのを見て、関わりたいなと思うようになったのがきっかけです。大学でも開発経済を専攻して、ウェスト・ピッカー(Waste Picker:ゴミを拾って生計を立てている人)をテーマに勉強をし、ゴミ山の訪問などもしました。

NGOのインターン同期2人と(一番左が池上さん)

       
◆大学卒業後はすぐJICAに入構したのでしょうか?
いいえ、最初は民間のベンチャー企業に就職しました。そこで約1年間求人広告の営業をしていたのですが、その会社がフィリピンで新規事業を行うことになり、海外勤務を希望していた私は現地へ行くことになりました。1年後、日本に帰ってきてくださいと本社から言われたのですが、フィリピンの生活にも慣れてきて、とても楽しく、「仕事を辞めてでも絶対に帰らない!」と決めていたので、帰りませんでした。
フィリピンでの勤務期間中も営業をしていたのですが、売り上げ・契約件数・アポイント数などの数字の世界で利益をだけを追求することに疲れてしまっていました。その反動もあり、非営利の世界を見たいと思い、今度はストリートチルドレンの支援などを行う日本のNGOのフィリピン事務所でインターンをすることにしました。他のインターン生が学生の中、一人社会人でしたが、約半年間インターンを続け、そのまま面接を受けて職員になりました。職員になっても、引き続きストリートチルドレンの支援をしたり、日本からスタディーツアーに来る人の引率などもしていました。
フィリピンの滞在期間が2年半ほどになり、日本にいつ帰ろうかと思っていたころ、同じNGOの東京事務所の席が空いているということを知り、東京に戻ることにしました。東京事務所では約一年間、現地やドナーとの連絡、HPの改修、経理などをしており、現地では学ぶことのできなかったバックオフィス業務や、寄付金の集めるファンドレイジングなども学ぶことができました。
その後、JICAを希望して専門嘱託として働きはじめました。というのも、JICAの民間連携事業にある企業が応募を検討していて、その事前調査のために自分が勤務していたNGOが選ばれていました。そこでJICAの民間連携事業というものをはじめて知ったのですが、ちょうど専門嘱託の募集があったので、応募をしてJICA本部で仕事をすることになりました。

NGOに対する周りの理解 

◆民間連携事業部の任期後、JICA東京の市民参加協力第二課に応募をした理由は…?
近年、民間企業がSDGsを目標に掲げるようになって、「これからODAの中核になっていくんだろうな」と感じていました。それももちろん面白いのですが、「自分がやらないとダメだと思えるような仕事をしたい」とも思っていました。
最初、民間企業からNGOに転職したときに「お給料出るの?」「それって仕事なの?」「なんの力がつくの?」と聞かれることが多く、「NGOの見られ方を変えたい」「NGOの業界を盛り上げたい」という想いでNGO連携に関する事業を行っているJICA東京の市民二課に来ました。

民間連携事業部の時(一番右が池上さん)
コスプレをしているのが、当時の部長と次長とのこと!

◆当時、NGOで働くことを応援してくれた人はいましたか?
応援をしてくれる人はあまりいませんでした。大学時代の知人などにも報告をして、「すごいね・頑張っているね」と言ってもらえるものの、本当はどう思っているのかな、という不安もありました。
でも、NGOやJICA東京で働く中で、事業に応募をする団体さんと会うと、企業の経営者と同じくらい考え抜いてNGOを経営していて、「NGO全体を盛り上げる」ということを見据えている人が沢山いたので、そういう人たちにあこがれを持つようになりました。応援してくれるとは少し違いますが、「目指したい人」が沢山います。

今後の目標は…?

NGO職員時代(一番右下が池上さん)

◆目指す人が沢山いるとのことですが、今後は何をしたいですか?
まず、NGOのプレゼンスを高めたい、存在価値を大きくしたいと思っています。それを達成するために、以前のようにNGOの職員として働くのがいいのか、JICAのような立場でNGO業界全体を盛り上げていくのがいいのか、違う企業にいた方がいいのかなど、自分には何ができるのかを考えていきたいです。NGOを取りまとめるような中間支援組織にも興味はありますし、JICAの協力隊は訓練期間もあり、挑戦しがいのある良い環境だと思うので、今からでも参加をしてみたいです。

☆おまけ
私は、稲森和夫さんの「経営とは、人として正しい生き方を貫くことだ」という言葉を大切にしています。団体さんとやり取りをするうえでも、受託と委託の関係だけではなく、人と人のやり取りだということを忘れてはいけない、敬う姿勢を忘れてはいけないと思っています。

報告者より…
今回は、JICA東京市民参加協力第二課で専門嘱託として働く、池上さんへのインタビューでした。
国際協力や一つ一つの仕事と真摯に向き合い、常に上を目指している姿がとても印象的でした。
次回は第二弾、同じ市民二課で職員として働く方へのインタビューです。JICAには職員や専門嘱託など、様々な働き方があります。引き続き、キャリアパスや働き方など様々な面で、JICAの魅力も感じていただけると嬉しいです


市民参加協力第二課 猪原彩美(インターン)