帰国隊員の思い出語り -川柳を添えて-第4回

2019年4月9日

神奈川県・山梨県に縁がある帰国隊員による開発途上国の豆知識や
派遣中の思い出、普段聞くことができない隊員のリアルな心情を川柳と共にお届け!
今回のテーマは『出会い』です。

久留米のご挨拶

読者の皆さんいかがお過ごしでしょうか?
本コーナー担当の久留米です! 季節はめぐりもう春ですね。
ぽかぽか陽気で過ごしやすくなりましたが花粉症には要注意な季節です。
みなさん対策はしっかりと行ってください!

さて、当コーナー第4回となりました!
春は様々な出会いをもたらしてくれる季節ということで今回は「出会い」をテーマに語っていただきます。

第4回の隊員:中野 貴之(21年度3次隊/マラウイ/理数科教師)

中野 貴之(ナカノ タカユキ)
隊次・任国・職種:
21年度3次隊/マラウイ/理数科教師
使用言語:英語・チェワ語
☆好きなマラウイ料理:シマ
☆マイブーム:単眼鏡を使って美術館巡り
☆行ってみたい国:エチオピア
☆JICA横浜のお気に入り:かもめから見えるベイブリッジ
☆座右の銘:過去は追ってはならない、未来は待ってはならない。ただ現在の一瞬だけを、強く生きねばならない。

JICA横浜で市民参加協力事業を担当している中野貴之です。青年海外協力隊として2年間、マラウイ共和国のバラカという町で活動しました。

マラウイはアフリカ大陸の南東部にある内陸国です。国土の約4分の1をマラウイ湖という湖が占めています。マラウイは”Warm Heart of Africa(アフリカの温かい心)”と呼ばれ、その名の通り心の優しい人が多い国です。

マラウイ人はトウモロコシの粉を材料にした「シマ」を主食にしています。各家庭によって少しずつコシや弾力が異なり、マラウイのソウルフードと言えます。マラウイ人のお宅に遊びに行くと、このシマを必ずと言っていいほど出してくれます。
おかずには、お金のある人は肉や魚を食べますが、農村部では野菜と一緒に食べています。また、日本ではマクロビオティックの店などで売っている「ソヤミート(大豆肉)」が、マラウイでは田舎でも安価で手に入り、トマトと一緒に煮込んでおかずにして食べています。
青年海外協力隊の2年間は、セカンダリスクール(中学・高等学校)で数学の授業を行ったり、近隣の学校を舗装されていない道を自転車で巡回しながら、授業改善について現地の先生たちと共に考えていく活動を行いました。

【画像】  

思い出語り:テーマは「出会い」

全校集会の行われるホールの様子(写真は卒業式の様子です)

4月は日本では春。出会いの季節ですね。私が初めて活動先の学校に行って、生徒たちに会った時のことを思い出します。

協力隊は、その国に到着してすぐに活動先に向かうのではなく、まず首都で準備を行います。私も首都で準備を行い、それを済ませると、活動先であるバラカの学校の職員さんが車で迎えにきてくれました。

いよいよバラカに出発です。しかしこの移動が順調ではなく、なんと途中の山道で車が故障して、立ち往生したのです。気がつくと空は夕焼けになり「最初からこんな調子で、2年間やっていけるのだろうか」と思いながら、アフリカの雄大な大地に夕日が沈んでいくのを眺めました。

その後、バラカに到着したのは夜中でした。夜も遅かったのですが教頭先生が待っていてくれて、夕食のシマをごちそうになりました。そして、「明日の朝は全校集会があるから、顔を出してくれ」と言われ、その日は荷物を整理する間もなく1日を終えました。

次の日の朝、校長先生に挨拶を済ませ、先生たちと集会を行うホールに向かいました。ホールからはゴスペルの歌声が聞こえます。活動先の学校では、集会の時には生徒がゴスペルを歌います。
集会が始まると、司会の校長先生がいきなり「日本から数学の先生が来たから、あいさつします」と言って、私をステージに上げました。

ステージからは500人くらいの生徒たちが、興味津々といった感じで見ています。私は緊張しながらも「Muli bwanji? (How are you?)」とマラウイの言葉であるチェワ語で挨拶をしました。
すると、生徒たちが手を叩きながら「ワー!」と大きな歓声をあげ、「Ndi li bwino, kaya inu?(I’m fine. How are you?)」 と答えてくれました。恐る恐る声に出した現地の言葉に、こんなに大きな反応が返ってきて嬉しくなりました。
その時、ステージから見る生徒たちの表情がきらきらと輝いて見えました。2年間の活動をやり通そうと思いました。

これが、私のマラウイでの生徒たちとの出会いでした。皆さんにも、素敵な出会いがありますように。

【画像】 

久留米の川柳 

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□■□■ それではここで一句 □■□■□■□■□■□■

はにかみの チェワ語であいさつ 大歓声

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怖くても、自信が無くても声に出してみることが大事だと教えてくれる素敵な思い出でしたね。
マラウイ人と中野さんが持つ優しい心があいさつで通じ合ったんだなと感じました。
春は出会いの季節、新しい出会いを元気の良い
あいさつから始めましょう!

お粗末様でした。 □■ 久留米 陽平 □■

国内協力員とは?

国内協力員とは、帰国した隊員が未来の隊員をサポートするお仕事です。
主な業務内容は派遣前と帰国後に各自治体で行われる表敬訪問の調整業務、広報やイベントの運営などです。
業務を通して、たくさんの支えがあって協力隊が成り立っていることを知ることができました。
協力隊として国際協力の最前線を知った次のステップとして支える側に興味がある方はぜひ検討してみてください!