NGO活動レポート

循環型地域づくりへの取り組み(日本、ミャンマー)

佃麻実  青年海外協力隊  21年度1次隊/マダガスカル/村落開発普及員

活動期間
平成24年5月7日~平成24年11月7日
活動テーマ
循環型地域づくりへの取り組み
受入団体名
認定NPO法人 地球市民の会
Q1.NGOでインターンをしようとしたきっかけは何でしたか?
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オーガニックコットン

私にとってのJOCV経験は、“人と自然が共存した地域づくりの大切さ”について改めて考える機会となりました。自然あふれる農村部であった任地・マダガスカルのサカイ市。そこで私は、落開発普及員として、住民の栄養改善や、改良かまどによる台所の改善など様々な生活面の向上を目的に、村の女性達と組合をつくり、“家庭から始まる地域づくり”に取り組みました。その中で、毎日のように目の当たりにしたのが、貧困問題や森林伐採による環境問題、また、農業が主産業の土地において若者の農業離れが起きているのも深刻な問題でした。

活動をすすめるにつれ、日本の農業・農村が直面している課題と途上国が抱えている課題とは、似ている部分や関連している点が多いと実感すると共に、「日本の“農”の課題について取組んでみたい」「人と自然が共存した地域づくりに貢献したい」と強く思うようになりました。同時に、これらの活動に、地域に根差したNPOやNGOという立場から取り組みたいと考えるようになりました。

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ミャンマー循環型農業研修

帰国後は、NPOやNGOへの就職を目指して就職活動を始めましたが、具体的にどのようなテーマで地域づくりに取り組みたいのかという自分自身の気持ちの曖昧さと経験の無さを感じていました。その頃、「NGO活動支援制度」を知り、NPOやNGOで働くための力を磨き、循環型の地域づくりに関して様々な知識や考え方を学びたいという思いから、この制度を利用して活動することを決意しました。

そして、“人と自然が共存した循環型社会づくり”をテーマに、国外に加え、佐賀市の中山間地域でも地域活性化に取組む認定NPO法人「地球市民の会」で、インターンを行うことにしました。

Q2.インターンとしての経験(勤務状況、大変だったこと、嬉しかったこと等)と、経験を通して学んだことは何ですか?
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子どもキャンプ事業

インターン先の事業のうち、私は主に佐賀市内の中山間地域活性化事業において、また、約半月間は、ミャンマー事業の現地事務所においても活動しました。

中山間地域活性化事業には、小学生キャンプ事業や日韓大学生交流事業、オーガニックコットンプロジェクトという3つの大きな事業があり、私はこれらの企画運営者の1人として、各事業のサイクルの始めから携わりました。特に小学生キャンプ事業はインターン先にとって初めての試みであったため、様々なマニュアルや資料の作成から始まることとなり、私も日々全力で仕事に取組みました。中でも苦労したのは集客と広報です。広報用のチラシづくりに関しては自分自身のアイデア力・デザイン力の未熟さを実感させられました。また、集客に関しても、これまでインターン先が取り組んできた事業とは集客対象者が全く異なったため苦心しました。それでも、多方面に向けて精力的に行動した結果、約80名の参加者が集まり、合計4つのコースのキャンプを実施することができ、初回の試みとしては成功といえる事業となりました。このように一つの事業において、全ての段階に携わらせてもらったことは、非常に価値のある経験となりました。同時に、地域住民と協働で当事業を計画したため、地域づくりのあり方や考え方、そして地域が抱える現状の課題などについて、大いに勉強になりました。自分自身の人脈を広げることができたのも大きな収穫です。

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協力隊活動時の写真

加えて、当会が展開するミャンマー事業についても、国内事務局で、また現地事務所で、両方の取り組みに関わらせてもらいました。その中で、国内事務局だからこそできること、逆に現地事務所にしかできないことが有る中で、互いの機能を生かしあう場面や互いの葛藤なども垣間見ることができ、協力隊とは異なる形の国際協力の現状について考えさせられました。

このように地域づくりについて、国内と国外それぞれから向きあったことで、途上国と日本の農村部が抱える地域づくりに対する課題には共通点が多くあること、国内と国外とを切り離すことは出来ないということを改めて痛感しました。日本側が、途上国から学ぶべき地域づくりのやり方や考え方もあると感じました。より良い地域社会づくりを行うためには、問題を共有し「グローカル」に物事をとらえることが大切だと思っています。

Q3.この経験を今後どのように生かそうと考えていますか?

インターンを通して、自分自身が、どのような観点から地域づくりに取り組んでゆきたいかという部分を見つけることができました。それは、①女性の自立支援②スローフードという2つの観点です。 国内外で地域に根付いた活動に関わってきた中で感じたことは、生き生きとしている地域は、女性達が元気だということです。さらに、持続的な地域づくりに対する女性の役割の重要性も実感しました。地域づくりについて、国内と国外で切り離すことなく、「グローカル」な視野をもって関わってゆきたいです。

・帰国隊員進路情報ページ