UNV経験レポート

協力隊の時はモロッコの村落部にて、村落開発普及員(現:コミュニティ開発)として活動してきた大竹さん。帰国後も社会的に弱い立場に置かれる人々の経済的・社会的エンパワーメントに携わりたいと思い、2016年よりUNVとして国連開発計画(UNDP)モロッコ事務所で地域開発、ジェンダーなどの分野で活躍された経験をご紹介します。

協力隊経験を生かしてUNVへ

「国際トイレの日」にて他のUNVとともに啓発活動に取り組むところ

「国際トイレの日」にて他のUNVとともに啓発活動に取り組むところ

UNDPが支援する若者の社会企業家を対象に、ジェンダーに関するワークショップを実施している様子

UNDPが支援する若者の社会企業家を対象に、ジェンダーに関するワークショップを実施している様子

青年海外協力隊時代には、村落部の女性を対象にした現金収入向上支援や(手工芸品の開発と販路の拡大)、中高生を対象とする英語の補習授業、学校保健や環境保全に関する啓発活動に取り組んできました。コミュニティ全体の生活レベル向上を図る活動をしながら、引き続きコミュニティレベルでのエンパワーメントに携わりたいと思い、以前から関心を持っていた国際機関(JOCV枠UNV制度)に、協力隊の任期修了後に応募しました。

UNVではプログラムオフィサーとして、主に地域開発、地方分権、移住、ジェンダーの分野におけるプロジェクト管理に携わりました。プロジェクトの一連の流れ(立案・計画、実施、モニタリング、評価)に関わることによって、UNDPがどのようにモロッコの政府機関が実施しているプロジェクトを支援しているかを学ぶことができました。

また、国連機関内のテーマ別グループの「ジェンダー」において、UNDPモロッコ事務所のジェンダーフォーカルポイントを務め、国連機関内でのジェンダー平等に関する取り組みの調整や、UNDPが支援するプロジェクトにおけるジェンダー主流化や事務所内でのジェンダー平等促進の強化に携りました。同分野には今後も関わっていきたいと思っているので、これはとても貴重な実務経験となりました。

他にも、国連機関内のテーマ別グループの「移住」においてもフォーカルポイントを務め、特に国際移住機関(IOM)とUNDPの共同プログラム「国家開発戦略における移住主流化」の企画・実施にも携わりました。同プログラムでは、両機関の本部からのモニタリング評価の出張者の受け入れや、国連職員を対象とする研修運営、移民・難民の受け入れに積極的に取り組む地方自治体への視察の調整および同行も担いました。

私の場合、協力隊派遣前訓練ではフランス語の研修を受けましたが、隊員時代はほとんどアラビア語で活動していました。一方で、UNDPモロッコ事務所の日々の業務はフランス語でしたので、UNVとして赴任した時はとても苦労しました。そのため、任期中はずっとフランス語授業に通い、上達に努めました。UNV任期が半年くらい経過した頃から、徐々に上司から仕事を任せられるようになり、前述の業務に加えて、所属部署(プログラム部)の定例会議の書記や、全プロジェクト報告会の企画・運営、モニタリング評価の統括なども任せられるようになり、全てにおいて積極的かつきめ細かくこなしたことが、最終的にはフランス語の上達や総合的な業務の良い評価につながりました。

UNV任期中に外務省実施のJPO(Junior Professional Officer)制度に合格、UNVの任期を終了した後2018年4月から、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のスーダン(ハルツーム)事務所に准プログラムオフィサーとして従事します。

これからUNVを目指す協力隊OB/OGの皆さんへ

「国家開発戦略における移住主流化」プログラムで、他の国連機関の職員とともに地方自治体を訪問

「国家開発戦略における移住主流化」プログラムで、他の国連機関の職員とともに地方自治体を訪問

将来、国連などの国際機関で働きたい人にとって、UNVとして国際機関で働く経験を持てることはとても大きなアドバンテージになると思います。実際に私がUNV任期中にJPO試験に合格できたのも、UNV制度を通して国連機関でプロジェクトマネジメントに携わった経験があったからだと思います。また私以外にも、UNVの経験を経てJPOに合格、あるいは自力で直接国際機関に就職した人もたくさんいます。JOCV枠UNVへの応募は、JOCV経験者であることが条件であるために、通常のUNV案件よりも圧倒的に競争率が下り、UNVとして派遣されるチャンスがアップします。ですから、UNVに関心があれば是非積極的に応募してみると良いと思います。そこから、いろんな将来の可能性が広がると思います。

・帰国隊員進路情報ページ