UNV経験レポート

三戸さんは、青年海外協力隊ではルワンダで小学校教育隊員として活動されました。過去のご自身の経験を通して教育の重要性を感じていた三戸さんは、国際機関での教育政策に携わりたいと考え、2019年より2年間、UNVでは国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のヨルダン事務所でEducation Programme Specialistとして活躍されました。その経験を紹介します。

応募のきっかけ

私の場合は、国際機関での自身の専門分野での経験を積むために本制度に応募しました。高校卒業後に工場のライン作業員としてキャリアをスタートした経験から、教育を受けられない人々に教育を与え、より大きなライフチャンスを享受してもらいたいと志すようになりました。大学卒業後に新卒で青年海外協力隊に参加し、その後、開発コンサルタントで2年間働きました。ロンドン大学教育研究所(UCL IOE)にて低所得国における教育政策の分野で修士号を取得し、教育政策の経験を国際機関で積む機会を探していました。自身の卒業のタイミングで教育局でのモニタリング評価と研究という自身の専門に合致した案件の募集があり、応募しました。専門性に合致した募集が卒業のタイミングであったこと、とても幸運であり、感謝しています。

UNVとしての業務

UNRWA本部教育局は、53万人以上ものパレスチナ難民の子どもたちへ主に初等・前期中等教育・TVET (職業・技術教育訓練)を提供しています。ガザ・西岸・ヨルダン・シリア・レバノンの5つの地域の子どもたちを対象とし、それぞれの地域のフィールド事務所と連携して公正で質の高い教育を提供しています。私はモニタリング評価と研究のユニットに所属していました。

モニタリング評価としては、指標データの収集・確認・文書化を行っていました。指標データはドナーへの報告にも大事なデータです。指標データが目標値に達していない場合には、担当者へ予測される理由の確認と対応策のフォローアップを行いました。また、データ収集の効率化を目的として、教育情報管理システムの開発も進めました。その過程では、教育政策の策定に価値のあるデータを必要な人が必要な時に簡単にみられるように様々な議論を重ねました。

研究としては、子ども達の学力を測るもの、生徒中心の教授法がUNRWA校にどれほど浸透しているかを測るもの、UNRWAの教育プログラムに対する様々な認識を測るものなどが計画されました。計画されていた研究の多くがCOVID-19によって延期となり、とても残念です。また、COVID-19へのレスポンスとしてUNRWAの家庭にどのくらいオンライン教育に対応できる家庭があるかを調べるサーベイや、学校閉鎖中に子ども達がどれくらいの学習を行っていたかを調べるサーベイを行いました。そして、この結果をUNRWAの教育政策へ活かしました。

概して、本制度への参加ができたことはとても幸運だったと感じています。教育という文脈でのモニタリング評価と研究の経験を積むことができました。また、経験を積んだことで更に学ぶ必要のある分野に気づくことができました。収集したデータの教育政策への活用や、インフォグラフィックスを用いたデータのわかりやすい形での提示などをテーマに学び続けていきたいです。

UNVを終えたその後

外務省のJPO派遣制度 にて、ニューヨーク国連本部に派遣され、Youth(若者層)に関するモニタリング評価と研究を行うこととなりました。Youth支援は教育だけでなく、保健・保護・就業など多岐にわたる分野を担当することとなるため、仕事の幅が広がるのを楽しみにしております。生涯を通して、モニタリング評価と研究のスキルを磨き続け、子ども・Youthに貢献し続けていきたいと考えています。

これからUNVを目指す協力隊OB/OGの皆さんへ

目指されるキャリアも様々だと思いますが、国際機関を志されるのであれば特に、1~2年間の国際機関での経験を積むことができる本制度をお奨めします。通常のUNVと違い、JOCV経験者だけしか受験できないため、通常のUNVより合格可能性が高まります。なかなかご自身の希望に合致した案件がないかもしれませんが、一つの選択肢として毎年の募集案件を確認するのがいいと思います。世界のどこかで皆さんとお会いできるのを楽しみにしております!

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