将来は国際協力の現場や国際機関で働きたいという思いを抱いていた川部さん。その志を胸に大学卒業後、青年海外協力隊としてフィリピンへ渡り、観光を通じた生計向上プロジェクトに取り組みました。帰国後は専門商社でフードバリューチェーンや流通、食品マーケティングを学び、さらなる専門性を求めてイギリスの大学院で農業経済学を修めました。修士論文の執筆中にJOCV枠UNVの説明会を知ったことが転機となり、長年の夢であった国連で働くという目標に一歩近づけると感じ、応募を決意したそうです。
10代の頃から将来は国際協力の現場や国際機関で働きたいという夢を持っていました。その想いがつながり、大学卒業後に青年海外協力隊に参加し、フィリピンにて観光を通した生計向上プロジェクトを実施しました。開発途上国の経済発展に貢献したいという思いと裏腹に、専門性のなさや、うまく活動を進められない微力さに打ちひしがれたのを覚えています。そこで、帰国後はより専門性を身に着けたいと考え、専門商社に就職し、果物の輸入・営業を行っていました。仕事を通し、果物という商品にどのように付加価値をつけるか、マーチャンダイジング・商品化計画を通して消費者の購入意欲を高める仕組みを作れるか、という試行錯誤を繰り返す中で、フードバリューチェンや流通、食品マーケティングについての知識を身に着け、この分野でやっていこうと心に決めました。その後、イギリスの大学院に進学し、農業経済学を学び、修士論文を書いている頃、JOCV枠UNVの説明会があることを知り、参加しました。幼いころから描いていたUNへの夢にやっと近づけるかもしれないと思い応募を決意しました。
写真1 デジタルツール導入企業での集合
写真2 支援企業でのモニタリング業務
2022年より実施しているプロジェクトExpanding Kaizen Initiative through Enhancing Sustainable Agri-Businessのプロジェクトチームに加わり、UNIDOのガーナ人職員(ナショナルスタッフ)とオーストリアの本部メンバーと協力しながら働いています。日本の生産向上手法であるカイゼンを通した人材育成・能力向上に加え、デジタル化を通したガーナの食品加工業・製造業の競争力強化を図るプロジェクトであり、アクティビティの計画・実施・調整業務、政府機関や民間企業等の関係機関との日々のコミュニケーションや調整、レポートの作成や事務作業のサポート等プロジェクトに関わる幅広い業務を行っています。
具体的にはプロジェクトのカウンターパートである政府機関職員のカイゼン指導およびコンサルティング能力向上のための研修やスタディツアー、中小企業従業員の能力開発のためのトレーニング、UNIDOがアフリカの製造業のデジタル化のために共同開発したデジタルソリューションツールのパイロット導入といったアクティビティを実施しました。特に、2025年8月に横浜にて開催されたTICAD 9への参加は貴重な経験でした。ガーナ貿易・アグリビジネス・産業大臣にも来日していただき、プロジェクトのイベントを開催しました。大臣をはじめ、政府機関関係者を多く引き連れての日本への渡航であり、スケジュールの調整、ロジスティクスのアレンジ等非常に緊迫した準備と実施期間でした。その中で、ガーナ側の調整をするナショナルスタッフと日本側の調整をする私の間でうまくすり合わせがすることができずにぶつかることがありました。お互いこのミッションを成功させたいという強い思いと、ガーナと日本の慣習の違いから、衝突してしまったと思います。プロジェクトマネージャーやチームメンバーの支えもあり、話し合いを重ね、ギャップのすり合わせをすることができました。UNIDOの仕事では本部で働く多国籍の同僚や現地事務所のナショナルスタッフと協力して、プロジェクトを進めていくため、相手の思いや主張を理解しようという姿勢、異なる意見や主張へのリスペクトを示すということは、本当に大切なことだと仕事を通して今も学び続けています。
UNVとしてUNIDOガーナで働く中で強く実感しているのは、優秀で信頼できるチームメンバーに巡り合え、一緒に働く機会を得られたことへの深い感謝です。特に、常に的確な助言と支援をくださるプロジェクトマネージャーと高い専門性と調整能力を持ち合わせた同僚に出会えたことは、このUNVの経験における財産だと思っています。彼らからの学びは多く、コーディネーターとしての調整力の幅の広さと醍醐味を日々学ばせてもらっています。
まずは、JOCV枠UNVの任期を全うし、プロジェクトに貢献することが私の現在の目標です。UNVを通して非常に学びの多い経験をさせていただいているとともに、UNIDOのプロジェクトのインパクトの大きさと組織のチームワークの良さを日々感じています。直属の上司であるプロジェクトマネージャーは私の今後の進路のロールモデルの一つだと考えています。任期終了後も、UNIDOで継続して働けるように努めていきたいと考えています。
写真3 写真ICAD9の集合写真(UNIDOメンバーと大臣、他ガーナ政府代表者)
UNVの経験はこれから国連機関で働きたいと考える方にとって非常に貴重で有意義な経験になると思います。私はJOCVの任期中にUNVのサイトへの登録を行いました。JOCV枠に限らず、UNVのTOR(Terms of Reference業務指示書)を随時チェックし、いつかのチャンスを常に伺っていました。私がUNVとして派遣されたのは登録からすでに7年以上が経過していました。正直、UNIDOで働くことはUNVに応募するまで想像もしていませんでした。しかし、現在のポジションは私のこれまでのキャリアやアカデミックのバックグラウンドからぴったりだなと思いますし、今後も働き続けたいと思える機関になりました。チャンスはどこに転がっているか分かりませんし、どの機関が合っているかもTORを開くまで分かりません。国際機関で働きたいという思いがあるのであれば、ぜひUNVの登録をしてTORを隅から隅まで読んでみてください。国際機関でのキャリアは一期一会だと思っています。自分にぴったりのフィールド、任地、業務のポジションが常にあるとは限らないですし、ささいな出来事や出会いからキャリアが広がっていく可能性もあるからです。多くの可能性にアプローチをし、自分の可能性を狭めないことが大事だと思って私もキャリア形成をしています。ぜひ、UNVも一つの選択肢だと思って、チャレンジしてほしいと思います。