現職教員特別参加制度とは、公立学校、国立大学附属学校、公立大学附属学校、私立学校および学校設置会社が設置する学校の教員が「教員」としての身分を保持したまま青年海外協力隊へ参加する制度です。また、本制度は日系社会青年海外協力隊・日系社会シニア海外協力隊にも適用されます。
参加教員の任国での活動の様子や帰国後の教員の様子をご覧ください。
平成12年度に「国際教育協力懇談会」(文部大臣(当時)の私的懇談会)は、現職教員の青年海外協力隊への参加促進を目的とし、青年海外協力隊に現職教員に対象を絞った制度を設けることを提言しました。これを受け、文部科学省が外務省、国際協力事業団(当時)及び都道府県教育委員会等と協力し、平成13年度に青年海外協力隊「現職教員特別参加制度」が創設されました。
現職教員は、指導案の作成、教材開発、各種技術指導など、子どもに密着した実践的な教育経験や能力を有しており、我が国の教育経験を活かした国際協力をすすめていくための重要な人材です。また、途上国では、開発へのプロセスの中で、特に教育分野での協力が重視されており、この要請に応える人材として教えるプロである現役の教員はまさに適任であるといえます。
さらに、教員が開発途上国において国際教育協力に従事することによって、コミュニケーション・異文化理解の能力を身につけ、国際化のための素養を児童・生徒に波及的に広めることや、帰国後に自身の経験を教育現場に還元することによって、将来の国際教育協力分野の人材の裾野を広げるのみならず我が国の教育の質を高めることにもつながります。
2008年には、「日本ブラジル交流年(ブラジル移住100周年)」を契機に、ブラジルをはじめとする中南米諸国における日系人社会の子弟教育に対する支援の一環として、日系社会青年海外協力隊に現職教員特別参加制度が適用されるようになりました。平成元年以降、国内に在住する日系人及びその子女が急増しており、言語や社会環境・教育環境の違いにより、日本の教育に馴染めない日系人児童が増加している。そのため、彼らへの教育支援を充実することが求められています。
このような背景の中、本制度によりブラジルに派遣された教員は、現地でのJICA海外協力隊経験をとおして、ポルトガル語の習得のみならず、日系社会における生活習慣・文化、学校教育環境等を学び、それらを帰国後の日系人児童への教育支援の充実に生かすことが期待されています。
※制度に対する教育委員会の期待や、帰国教員・派遣中教員によるJICA海外協力隊経験の教育現場への還元について、パンフレットでもご紹介しています。
本制度では、現職の教員が参加しやすいように派遣期間や応募手続を設定しています。主な特徴は以下の3点です。
一般募集の場合、派遣前訓練(2ヶ月強)と海外派遣(2年間)とを合わせた期間が、青年海外協力隊参加の期間です。一方本制度では、派遣前訓練と海外派遣期間を合わせて2年間としています。本制度の合格者は全て応募の翌年4月から訓練開始となり、2年後の3月下旬に帰国し、4月1日から復職が可能となるため、学年の区切りをまたぐことがありません。参加期間が4月1日から2年後の3月末日となり、同期間が現職参加促進費または現職教員派遣委託費の支給対象期間となります。
「外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律(派遣法)」、関連条例の適用を受けての「現職参加」となります。平成19年度に策定・施行された「地方公務員法の一部を改正する法律」に基づく「自己啓発等休業制度」に関する条例の適用を受けての派遣ではありません。
一般募集では応募書類をJICA(青年海外協力隊事務局)に提出しますが、本制度で応募される場合は学校長の推薦を得たうえで、公立学校教員の場合は教育委員会、国立大学附属学校教員の場合は国立大学法人、公立大学附属学校教員の場合は教育委員会または公立大学法人、私立学校教員の場合は各学校法人、学校設置会社の設置する学校の教員は各学校設置会社等(以下、教育委員会等)へ提出していただきます。
参加希望教員は以下の各項の全てを満たしている必要があります。
応募できる要請はJICA海外協力隊ウェブサイトでご確認いただけます。 「現職教員特別参加制度」を利用して応募が可能な要請は、検索画面の「現職教員特別参加制度」のチェックボックスにチェックをし検索を実行すると、抽出することができます。
小学校教育、数学教育、理科教育、障害児・者支援、青少年活動、体育、音楽、環境教育、美術、幼児教育、学校保健
隊員が派遣されている国にはJICA事務所が設置されており、安全面、健康面での後方支援を行っています。具体的には、安全情報の提供、安全性の高い住居の選定、平時・緊急時の連絡手段確保のための携帯電話や無線機の貸与などです。健康管理面では、医療従事者等支援要員の配置、現地での健康診断受診(1回/年)、医療保険体制、緊急移送体制などです。
現職教員特別参加制度を利用しなくても、公立学校教員であれば派遣条例や自己啓発等休業制度等の条例により、国立大学附属学校、公立大学附属学校、私立学校や学校設置会社の設置する学校の教員であれば各々の休職制度で現職参加することが可能です。また、現職教員特別参加制度の参加対象外となっている46歳以上の教員についても、本制度を利用せずに、JICA海外協力隊への現職参加が可能となります。
※応募者からよく寄せられる質問については よくある質問をご覧ください。